それぞれの眼差し (スタート前 2区中継所にて)
文字数 815文字
-- 本牧中継所 (2区待機所) --
2区のランナー達がそれぞれウォーミングアップを始めている。
彼女達はレース開始後30分程ですぐに出番が来るため、
1区のランナー達とほとんど変わらない時間からアップをしている。
心枝
(ローズの姫路さん、ジャスミンの藤井さん、デイジーの岩田さん...
すごいメンバー...
高校の頃、全然かなわなかった人達ばっかりだ...)
蓮李
「今日はとにかく自分の走りに集中するんだ。周りは関係ない。」
蓮李は心枝の肩を寄せて、周りにいる他校の選手達を見渡した。
蓮李
「もし集団走になったら、心枝はピッチ走法の人とは歩幅が合わないと思う。だからその時は、無理に周りに付き合わなくていい。」
ピッチ走法とは、小さい歩幅で脚の回転を速くして走る走法のこと。2区で心枝と対決するローズの姫路、ジャスミンの藤井、デイジーの岩田らは、皆ピッチ走法だ。
大きい歩幅でゆったりと走る心枝のストライド走法とは、1歩の大きさもリズムも変わってくる。
そのため、心枝がピッチ走法の選手と走ると、大きなストライドにも関わらず、周りにつられてピッチが細かく速くなってしまい、余分にスタミナを消耗してしまうことがある。
蓮李
「そういう時は、少し相手から距離をとって、自分の走りやすいコース取りで走るんだ。」
心枝
「わかった、ありがとう。お姉ちゃんが来てくれて少し落ち着いたよ。」
蓮李は心枝と握手した後、駐車場のほうへ走っていった。
走り去っていく蓮李の姿を、かつてのチームメイトであったローズ大の姫路が見つめる。
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