新しい翼 (2区 7km-7.9kmタスキリレー)
文字数 2,037文字
心枝のストライドと腕振りが大きくなる。
普段のおっとりとした彼女の姿からは想像もできないほど、逞しく、鋭い動き。
今まで心枝は、常に先を行く姉の蓮李に憧れ、ひたすら背中を追ってきた。
まるで姉のコピーを目指すかのように。
「自分は姉には敵わない」
前半から飛ばしていく蓮李の走り。それと同じ走りができない心枝は、ランナーとしての自信を失っていた。
「(本来、姉妹は別の人間、別のランナーなんだ。
容姿は似ていても、骨格や筋肉の特徴は違っている部分も多い。
心枝には、心枝の走りがある。
蓮李を真似しても似なかった部分、今ではちゃんとキミの強みになっているよ。)」
アナ
「アイリスの立花監督が、この1年で最も伸びた選手と太鼓判を押す二神心枝!
監督も当初1区・2区は繋いで、3区・4区で逆転というイメージを描いているという話を試合前にされていましたが、もうこの2区で先頭に迫る走りですよね。」
「あのー、アイリスの皆さんはね、これまで全体的に故障者が多かったのを、今年からは栄養士の方がサポートについて、食生活から改善していったそうですね。
よく貧血持ちのランナーって、走ったあとはもう顔が真っ白になってしまうんですが。」
アナ
「高校は、駅伝の名門・佐久東高校の出身なんですが、高校時代は1度も駅伝を走ることができなかったそうです。
大学にも5000m18分台というタイムで入学してきました、ですから決して強いランナーではありませんでした。
高校、大学通して大きな駅伝はこれが初めて。」
中継所リポート
「まず先に渡すのはデルフィ大学!1年生西出から、4年生磯村へとタスキが渡りました。
そしていま1秒…2秒の差でアイリスが行きました!
2年生二神心枝、5位から三人を抜いて、2位にまで順位を押し上げました!」
「いま3年生・藤井聡子からタスキを受けてスタートしていきました!
ジャスミン大学!トップとは14秒差!」
中継所リポート
「さあ次に姿を現したのはデイジー大学、いや、ローズ大学が後ろから抜きました!4位がローズ大学!
4年生エースの姫路、これで10人抜き達成!14位からここまで順位を押し上げてきました!
3年生の松浦花音(かのん)へタスキリレー!」