小さな巨人の足音 (5区 7km-8km )
文字数 1,496文字
アナ:
先頭のアイリス二神、ちょうど
長い直線道路を過ぎまして、
鳥浜駅の前に差し掛かっています。
ここからしばらくは、
シーサイドラインの線路に沿う形で、
走っていきます。
アナ:
あー、1号車から見ていても、
追ってくる2位のジャスミン大、
神宮寺エリカの姿が、
かなり大きくなってきました。
アナ:
先頭のアイリス大・二神蓮李が、
中間点の給水を迎えよう
というところ。
あー、口に含んだ後、今、
頭にもかけていきました。かなり、
コース上、蒸し暑いんでしょうか。
松田:
レース前からスタート直後は、
雨が降っていましたけど、
今は少し陽も出てますから。
路面の湿気が上がってきている
かもしれませんね。
アナ:
松田さん、やはりランナーにとって
湿気というのは嫌なものなんですか?
松田:
そうですね。
湿度が高いとなかなか
汗が蒸発してくれないので、
熱が体にこもってしまうんですよね。
呼吸も苦しいと思います。
アナ:
なるほど。
二神の中間点の通過が
21分15秒でした。
ですから、
単純計算で二倍しますと、
大体、42分30秒ペース、
ということになります。
アナ:
そして後ろ、神宮寺の様子、
どうなっていますか?
2号車です。
2号車:
はい。神宮寺エリカ、
ここまでローズ大学の松永を抜いて
2位にまで上がってきています。
こちらから見ていても
第1中継車の姿がどんどん
大きくなっていくのが分かります。
中間点の通過は20分41秒でした。
前との差はもう36秒です!
アナ:
ジャスミンの神宮寺エリカと、
アイリスの二神蓮李、その差が
かなり詰まってきました。
先ほど2号車の情報、
神宮寺の中間点通過を
単純に倍にしますと、
フィニッシュタイムは大体、
41分30秒あたり。
ということは、
やはり中山さんの区間記録、
41分57秒よりも速い、
区間新記録ペースで、
ここまでは来ていることになります。
咲月:
くそっ!こっちも途中まで
去年の区間賞のペースでは
来てるっていうのに!
アナ:
先ほど二神のほうは給水の際、
水を頭にかけていましたが、
神宮寺は水を少し口に含んだだけ。
これは、中山さん、
追ってくる神宮寺のほうが
やはり余裕があると見て
いいですか?
中山:
いや...。そうとも限らなくてですね。
先頭の二神さんのほうは、私、
前にチームメイトだったんですけど、
アナ:
えぇ。この二神は、
1年次にはローズ大学に在籍
していましたよね。
中山:
彼女は割と体格がしっかりしていて、
筋肉量も発汗量も多いタイプ
だと思うので、
頭...というか肩にも
水をかけたんだと思いますが、
中山:
身体の凄く小さい神宮寺さんが
同じことをやってしまうと、
今度、冷え...過ぎてしまうので。
今は、それぞれに合った
給水をしたんだと思います。
アナ:
あぁ、そうですか。なるほど。
ランナーのタイプによって、
そういった違いがあるんですね。
アナ:
目の前のランナー同士の
闘いも熾烈を極めていますが、
こうした厳しいコンディションとの
闘いにもなってきています。
アナ:
逃げるアイリスの二神のほうは、
ちょうど後ろを走る審判車に
身を隠すように中央分離帯寄りに。
一方追うジャスミンの神宮寺は、
二神の姿を視界に捉えるために
沿道寄りを走っています!
逃げるアイリス、追うジャスミン!
逃げる二神、追う神宮寺!
アナ:
追いかけるジャスミンが前を捉えるか、
それともアイリスが逃げ切るか。
はたまた、
この2校を脅かす大学が現れるか。
優勝争い、
まだまだ分からなくなってきました。
第6回みなと駅伝です。
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