夢の舞台で (4区 5km-タスキリレー)
文字数 2,016文字
アナ:
それでは画面、先頭に戻ります。
アイリスの歌川が中継所間近、
いよいよ最後の直線に入ってきました。
アナ:
松田さん、この歌川茉莉、
一度は差を詰められはしたんですが
終始落ち着いた走りを見せましたよね。
松田:
はい。そこはさすが4年生ですね。
茉莉さんのフォームを見てもね、
3区のヘレナさんとはまた対照的で、
重心が低くて跳ねない走り方ですから。
この4区のアップダウンや横風にも
上手く対応できてますよね。
アナ:
えぇ、そうですね。
こう何か、相手が差を詰めてきても、
全く動じないというような。
そんな力強い走りにも感じられます。
松田:
今、サングラスをしてて
表情までは分かりませんけど、
凄くいい顔付きで
走ってるような気がします。
アナ:
この歌川、1年生の冬に
故障をしてから、非常に長い間
リハビリに専念してきました。
5区を走る同級生の二神蓮李と
たった二人の部員から
スタートした駅伝部。
のちに2人を慕って
入学してきた後輩達と、
共にチームを1から作り上げてきました。
松田さん、辛い時期もあったでしょうが、
4年生、まさに集大成の走りですよね。
松田:
はい。よく頑張りましたね。
苦境を乗り越えて、
精神的にも人間的にも成長したと思います。
アナ:
それでは、いよいよ野島中継所、
近づいて来ました。
中継所リポート、お願いします。
中継所リポート:
はい。
選手達は、風光明媚な、
ここ金沢八景の地に別れを告げ、
元来た横浜港の方角へと走っていきます。
中継所リポート:
エース区間5区、待ち受けますのは、
キャプテン、二神蓮李、4年生です。
中継所リポート:
手を叩いて歌川の名前を呼びました。
中継所リポート:
二年前、部員二名で蒔いた種が
ようやく花開く時が来ました!
同じ舞台を夢見てきた二人…、
このみなと駅伝、
最初で最後のタスキリレー。
■1位 歌川 茉莉 (4年) → 二神 蓮李 (4年) アイリス大
中継所リポート:
サングラスを外した!
野島中継所トップは、4年生同士、
笑顔のタスキリレーーー!!!
二神蓮李がスタートしていきましたー!
中継所リポート:
静かにコースへ一礼をします、歌川。
サポートで来てくれている短距離部員:
茉莉さん、お疲れ様です!
後ろ離しましたよ!
立花監督:
(良かったな、頑張ってきて。ホントに…。)
中継所リポート:
さあ、続いて姿を現すのは、
ローズ大学です。
1年生の歌川瑠莉! 最後は疲れました!
■2位 歌川 瑠莉 (1年) → 松永 恵美 (4年) ローズ大
中継所リポート:
ルーキーから、大エースの松永恵美へ!
いま、ローズ大学、2位でタスキリレー!
ローズ大学・関コーチ:
前と59秒! 頼むぞメグミ!
中継所リポート:
トップとの差は59秒!
果たしてここから逆転なるでしょうか!
中継所リポート:
さあ続いてやってくるのは、
順位を1つ落としています、
ジャスミン大学。
待ち受けるのは、
女子学生長距離界のエース!
神宮寺エリカです!
■2位 松田 あゆみ (2年) → 神宮寺 エリカ (3年) ジャスミン大
中継所リポート:
今、神宮寺スタートッ!
トップからは1分10秒の差になりました!
昨年はトップと3分近く離れていましたが、
今年は1分10秒!
逆転のシナリオに向け、
神宮寺エリカが走り出していきました!
中継所リポート:
さあ続いて…、
デイジー大学が来ました!
チームを率いてくれた、主将副将の
琴美さん珠美さんを胴上げしたい、
そんな風に話していた花田!
3位ジャスミン大との差を縮めました!
■2位 花田 裕佳梨 (2年) → 三浦 琴美 (4年) デイジー大
中継所リポート:
エース・三浦琴美が今スタート!
トップとは1分36秒の差!
松永:
(5区は12.9キロもある。
焦ることは無い。
前のアイリスとの差はおよそ60秒。
蓮李とは1キロで5秒ずつ
縮めされすれば...)
松永は、中継所でタスキを貰う前に後ろのチームとのおよそのタイム差も確認していたが、3位のチームは目視で50メートルほど離れていた。
それだけに、1キロも満たないうちに神宮寺エリカが突如自分の真横に現れることは想定外であった。
松永:
(このわずか数百メートルの間に10秒近く詰めてきたっていうのか...!?)
2号車:
はい! ジャスミン大学の神宮寺エリカが来ました!
2号車:
なんと!
先ほど中継所では11秒後ろから
スタートした神宮寺なんですが、
ローズ大学のエース・松永を、
一瞥も(いちべつ)くれず、
抜き去っていきました!
これで2位逆転!
ジャスミン大学が再び2位浮上です!
松永:
(バカな! そんなペースで後半まで持つわけがない!)
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)