初めての景色 (3区 1km)
文字数 1,837文字
アナ
「さあそして、先頭争いに動きがありました!
みなと駅伝3区! 先頭に立ったのは、なんと初出場の、アイリス女学院大学!
スタートしてすぐはデルフィ大の磯村佳奈美と並走する形になったんですが、いま一気にギアを入れ替えてつき離しました!
松田さん、これは安藤が完全に前に出ましたね?」
松田
「腰高のフォームで、長い手足を目一杯使って大きなストライドで走れていて、とても良いと思います。
あのー、ヘレナさんはお父様がフランス人で、元トライアスロンの選手だったそうで、横浜で開催された世界大会にも出場されていたそうですよ。」
アナ
「そうですか!
まあ本人いわく、自分がハーフだから速いと思われるのは嫌なんだと。
むしろ高校生の時に日本に来て、チームの仲間から競技に対するストイックさ、粘り強さを学んで強くなったんだ。
という風にも話してくれました、安藤。
2位デルフィ大との差が離れてきました。」
「はい!そうなんです。
トップと14秒差でスタートした3位のジャスミンなんですが、現在先頭を走るアイリス、それから2位のデルフィと、ちょうど5秒くらいずつの等間隔での差になっています。
洋見の1キロ通過が先ほど、3分9秒でした!」
「先頭のアイリス・安藤の1キロが3分11秒でしたが、それよりもさらに2秒速いペースでジャスミン大の1年生・洋見が後ろから差を縮めてきていることになります。
ジャスミン大の神宮寺監督が、神宮寺エリカの次のエース候補と称する逸材、洋見がひたひたと後ろから追ってきています。
5000mの持ちタイムは15分26秒という、出場する全大学の1年生の中ではもちろんNo.1の記録、全出場者の中でも5位の記録を持っています。
さて、そして、そのさらに後ろとなると、どうなっているでしょうか?」
「はい。3号車は4位グループ、それぞれ前年の優勝校と準優勝校になります、ローズ大とデイジー大につけています。
ローズ大の3区は松浦花音・3年生、これが大学駅伝デビュー戦となります。
一方、デイジー大の3区は、双子のエース三浦姉妹の妹、三浦珠美・4年生が走っています。
この両者、タスキを受けてからずっと並走しています。
というのも、5000mのベストタイムを比較しますと、ローズの松浦が16分3秒、デイジーの三浦珠美が15分58秒と、力的にはほぼ互角の2人。
協力して前を追っていくことになりそうです。
1キロを3分16秒で通過していきました。」
「あのー、ローズ大の松浦さんね、尊敬する選手を聞いたら、中山凛々子先輩だって言っていましたよ。で、今日は中山さんと同じ3区を走れることを誇りに思って走りたいっていうこともお話しされていましたよ。」
「松浦は、非常に真面目な性格で、安定感のある走りをするなぁという印象ですね。
今まで駅伝では出番がありませんでしたが、今年四国のほうで行われたハーフマラソンでは学生トップを取っていますし、
スタミナ型の選手だと思いますので、後半の粘りに期待したいと思います。」
(実況)
「2年生・中山凛々子!5区の区間記録の更新は、もうほぼ間違いありません!
そのタイムは…、41分43秒!
41分台!とてつもない記録が誕生しました!」