1つ繋いで (2区 1km)
文字数 2,033文字
立花監督:
(よしっ! まずは1つ繋いだな。いい位置で2区に渡ったぞ。
この位置ならすぐ前に選手も見えてるし、追いやすい。勝負はここからだ!
く〜、朝姫、ホントによくやったぞ! 早く電話しよう!)
アナ
「さあそして!ようやく14番目でローズ大が来ました。
去年の優勝校が苦しいスタートとなりました。」
■14位 佐々木 千鶴 (4年) → 姫路 薫 (4年) ローズ大
中継所リポート
「いまエースの姫路へ、4年生同士のタスキリレー!
トップからは、なんと1分34秒の差!
佐々木、最後はフラフラになりました。なんとかタスキを渡しました。」
立花はローズ大との秒差を確認したあと、朝姫に声を掛けるために、山下中継所にいる咲月へ電話した。
電話に出た声は息がまだ少し上がっていたので、何も言わずとも咲月がすでに朝姫に代わってくれているのが分かった。
朝姫
「ホントにごめんなさい。勝手に黒田さんについていったせいで、こんなことになっちゃって・・・。」
立花監督
「いいんだよ! 朝姫が前に出たことで流れが変わった。ローズ大の佐々木に、スパート勝負をさせなかったんだ。よくやったよ。」
朝姫はその時、待機所に入ってくる佐々木の姿が見えた。
ローズ大の部員
「泣かないでください。まだ終わってないですよ。きっと姫路さんが逆転してくれます。大丈夫ですよ。」
トップと1分34秒差の14位に沈んだ佐々木は、顔が上げられないようだった。
サポートの選手に肩を抱えられながら、泣き崩れている。
朝姫
「走ってる時、花ちゃんの言葉を思い出して、頑張れたんだ。」
立花監督
「え・・・?」
(俺の言葉って、どれだ?…というか、さっきはオレの話、全然聞いてなかっただろ!)
立花監督
「お、おう…。
そ、そうだ!できたら咲月さんと一緒に6区の柚希のところへ行ってやってくれ。
アイツきっと喜ぶぞ。ああ見えてめちゃくちゃ寂しがり屋だから。」
立花監督
(今のって、本当に朝姫だよな…? 心枝といい、朝姫といい、みんなどうしちゃったんだよ。 ランナーズハイってやつか?)
立花監督
(とにかく、ローズは出遅れて、ジャスミンも見える位置にいる。
正直、今のウチの力じゃ、まだこの2校には10回やったら9回は負けるだろうけど、
残りの1回勝てる日が今日かもしれない…!
2区も攻めるぞ、心枝!)
アナ
「さて、レースは2区に入っています。コースの紹介です。」
コースガイド
「我慢比べの1区から、激動の2区へ。
2区は、国道357号線を行く7.9km。
比較的走りやすいフラットなコースが続くため、各校のスピード自慢が集結します。
レースの展開がガラッと変わるごぼう抜きも見ものです。」
アナ
「観光の名所みなとみらいの街並に、いったん別れを告げ、
選手達は首都高速湾岸線高架下、国道357号線を南西に進み、
3区のランナーが待つ、磯子中継所を目指します。」
アナ
「先頭を行きます、デルフィ大の西出。早くももう1キロを通過します。いま1キロの通過、3分14秒。松田さんこのペースどうご覧になりますか。」
松田
「はい。西出さんの、5000mベストが、16分20秒ということで、3分14秒は少し速すぎる気はするんですが、今そこまで無理してる感じもないので、先頭で気持ちよく走れているということだと思います。」
アナ
「そのあたり、何かこう、実力以上のものが出せている、といったレースにここまではなっているでしょうか。」
アナ
「さて本日のゲスト解説、ローズ大学OGの中山凛々子さんは、第2回大会、ご自身が1年生の時にこの2区を走りまして、いきなり区間新記録を樹立しました。
25分16秒という素晴らしいタイム、その記録は未だに破られていません。
中山さん。ご自身の経験も踏まえて、このコースの攻略法というのは、どういったものになるんでしょうか?」
中山
「そう…ですね。私の場合は、コースを三つに分けて考えていて。」
中山
「最初、いま走っている高架下では、速いペースで押していってリズムを作って、このあとトンネルみたいになっている上の道路に…」
中山
「はい。入ってからは、それまでの勢いよりは…」
中山
「はい、少し抑えて、またラスト、高架下に戻ってくるところで一気に切りかえる、っていうのを意識していました。」
アナ
「なるほど!
という、今、中山さんからの貴重なお話も伝えていただきましたが。
さあ快調に飛ばしている、デルフィ大・西出の走り。
このまま先頭をひた走っていきそうです。
第6回、みなと駅伝です。」
鉄紺忍者 さんのツイート
@tetsukontasukiw
1分前に投稿
ゲスト解説の中山選手に、興味津々で2区の攻略法を聞くお二人がかわいいwww
#みなと駅伝
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