くじらの背中 (7区 3km)
文字数 2,105文字
さて、先頭は早くも2.7km地点、
この7区第二の難所と言われている、
大桟橋(おおさんばし)、
「くじらの背中」に入ってきています。
普段は世界を旅する豪華客船なども
とまっているこのターミナル。
今、画面奥に見えています、
そのターミナルの入口までの道が、
登り坂になっていまして、
そこまで登ったあとUターンして、
今度は下ってくる。
そんなコースになっています。
先頭が、ジャスミンの又吉。
2位に、アイリスの栗原。
この順番は変わっていません。
ですが、追ってくる栗原のほうは
その差をどんどんと詰めてきています。
今、折り返し地点のところでちょうど、
二人のタイム差も確認できそうです。
又吉が後ろとの差を確認しました!
そして、ここでちょうどすれ違います。
おっ、チラっと見た!チラっと見た!
栗原も又吉のほうを一瞬見ました!
両者、Uターンの行きと帰り、
ちょうどすれ違うその瞬間に、
お互いの姿を見合いました!
その差がもうわずか10秒ほど!
2号車:
この栗原、中学高校ではバスケ部、
つまり大学に入るまで陸上経験は
全くありませんでした。
財布をくわえて逃げた猫を
追いかけていたところを、
偶然キャプテンの二神が見つけて
駅伝部にスカウトしたそうです。
アイリス女学院大学、
キャンパスは石畳なんですが、
それを感じさせないほど、
信じられないスピードで走り抜ける
栗原の姿を見て、
すぐに声をかけたそうです。
すごいですね、
半年でここまでになるなんて。
トラックのベストも16分28ですか。
普通じゃちょっと考えられないと
思います。
駅伝との出会い方なんかもね、
なんだか漫画みたいで。
また楽しみな逸材が現れましたね。
アナ:
先頭を行きますジャスミン大学は、
5区で神宮寺エリカが首位を奪い、
6区でも4年生井上がリードを守り、
最終、アンカーに繋いだわけですが。
今度はアイリス大学が反撃開始。
栗原楓、まだ1年生なんですが、
驚異的な追い上げを見せています。
おっ、そして?
そうこうしているうちに、
あっという間にアイリスの栗原の姿が
またさらに大きくなってきました!
もうその差が手元の計測で4秒ほど!
ということで、これ、松田さん。
ジャスミンの又吉は気づいてますか?
アナ:
栗原の中間点通過が10分20秒でした。
ですから、区間記録の遥か上を行く、
30秒から40秒以上速いペースで
走っていることになります、この栗原。
今、両腕をダラーンと下げました。
手元の時計で、
もうその差が2秒ありません!
アナ:
一気に行った! 一気に行った!並ぶことはしません!
7区3.8キロ地点!
ここを勝負所とにらんだでしょうか!
初出場の!アイリスの!
1年生の!栗原楓が!
33秒あった差をゼロにしまして、
今、前に出ました!
先頭逆転ッ!!!