ハイウェイ・シンドローム (2区6km)
文字数 1,988文字
アナ
「あっ、今、上空からの映像。根岸地区の製油所も映っています。
3区のランナーが待ち受ける、磯子中継所もそろそろ近づいてきました。
目まぐるしく順位が変動してきました2区ですが、いよいよ大詰めを迎えようというところ。
さあそして画面、先頭に戻ります。」
順位変動/通過タイム/トップとの差/大学名
01→01位/48:02/ +0:00 / デルフィ
02→02位/48:39/ +0:37 / デイジー
04→03位/48:40/ +0:38 / ジャスミン
05→03位/48:40/ +0:38 / アイリス
03→05位/48:53/ +0:51 / ネモフィラ
14→06位/48:56/ +0:54 / ローズ
12→07位/49:31/ +1:29 / リリー
アナ
「首位のデルフィが、2位デイジーとの差をさらに広げ、独走態勢に入っています。
そして3位のジャスミンとアイリスが、2位のデイジーをとらえました。ここが3校による2位争い。
そしてその集団についていけませんでした、ネモフィラが5位。
ですが、その後ろ、前回優勝のローズが、中継所で1分34秒あった差を54秒差までに縮めてきました。
現在はネモフィラと順位入れ替わって、5位まで上がったという情報が先程入ってきました。」
2号車実況
「今ですね、ちょうど高架下に降りてくるところで、ジャスミンの藤井が一気にギアを入れ替えました!
デイジーの岩田、そしてアイリスの二神を引き離しにかかります。
後ろの2校は全く反応できません!
その差が10mから20mと開いていきます!」
松田
「やっぱり、藤井さんね、後輩の心枝さんにこのままペースメーカーとして利用されてちゃいけないから、早めにスパートかけましたね。
タイプ的にも元々、短い距離よりロングスパートのほうが活きるタイプだと思います。」
藤井
「(監督からの指示は、残り2キロで早めのスパート。
心枝、確かにあんた、高校の頃より格段に速くなってるよ。
昔はひ弱で引っ込み思案で、いつも蓮李先輩の影に隠れてたけど、
ここまでついてくるなんて、正直驚いた。ホント別人みたい。
けどね、まだまだ私には勝たせないよ!)
ジャスミン大・神宮寺監督
「(ウチがエリカだけのワンマンチームにならず、チームぐるみで急成長を遂げられたのは、
高い状況判断能力と精神力を持った、副主将・藤井の力があったからこそだ。
後ろの2人とは格が違う。
このまま一気に1位との差を縮めて、3区の洋見のところでウチがトップを奪う!)」
「(ひょっとして、ここまで絶好調だった西出が急に失速してるのもこのせいなのか?
どうりでこの数年間、中山凛々子の記録に、ローズ大以外の選手が誰一人かすりもしないわけだ。
…このコースには攻略法があったんだ!)」