その②
文字数 1,509文字
不法侵入の罪で縁は海崎のことを、再度警察に突き出す。まずは通報。
「お前、俺に勝っても意味はないんだよ…」
これはくだらない負け惜しみだ。だが縁は耳を傾けた。その続きを言うように指示した。
すると、
「東邦大会はお前のことを掴んでいるんだ。絶対に逃げられないさ。ここで死んだ方がよかったって、後悔することになるだろうな! ハハハハハ…」
不気味な笑い声が縁の不安を煽る。
「事務所の隣の部屋で聞いたぜ。東邦大会のトップ、清水ってヤツが、お前のことを殺そうと企んでいる。今、生き延びても、意味はない。どうせ死ぬんだよ、お前は!」
その言葉は縁の心の中に、言い表せられない心配を植え付けた。
(海崎を警察に差し出すのは変わらないけど、東邦大会のトップが僕のことを? だとしたら、近いうちに何か、あるかもしれない…!)
不安と心配は、覚悟を呼んだ。
(明日以降、鍍金たちに話そう。その清水ってヤツが、東邦大会の親玉! ソイツを倒す!)
そして覚悟は、揺るがぬ決意に変わるのだ。
「捕まったか。まあアイツも所詮は神通力を持って調子に乗った犯罪者。限界はあるよな? 期待した俺が馬鹿だったかもしれん」
縁の家を離れたところで浜井が見ていた。警察が来たということは、海崎の負けを意味する。結局彼は縁を倒せなかったのだ。
「さて、こんなところで油を売っている暇はない。早く町にいるとかいう、篠原を殺した神通力者を見つけ出さねば!」
浜井はさっさと移動した。
だが、彼の神通力者探しは難航した。
「目撃者がいないから…か? 全然証拠が見つからない。このまま闇雲に探しても効率的とは言えない。一度事務所に戻るか…」
浜井が追っているのはもちろん犁祢たちだが、彼らは相手を必ず殺すと決めている。だから、目撃情報が全くないのだ。襲われた生存者がいなければ、たどり着くことは難しい。
「調子はどうです、浜井さん?」
「駄目だ」
部下の河内が聞くが、その返事は暗い。
「でもソイツらって、僕たちの事務所を襲っているんですよね? だったら待っていれば今夜にでも、ここに来るかもしれませんよ?」
「冗談はやめろ、高田 」
高田も浜井の部下だ。ガタイの良い男で、見るだけで子供は逃げ出す迫力がある。
「しかし…可能性はあるのでは? もう寝場打市内に残っている大きな事務所はここしかありませんよ?」
七谷が心配そうにそう言った。
「言う通りではあるが……だが!」
けれども浜井には自信があった。ここは表向きのトップである清水がいる場所。言い換えるなら、ボスの住処。そう簡単に襲えるわけがない。
「今日は清水さんも独自に動いている。もしこの本丸を襲うつもりなら、それこそ返り討ちにしてやるのだ。そして思い知らせる。東邦大会の敵になることが、どんなに恐ろしいことかをな!」
そう言うと、テーブルの上に置いてあった果物を食べようとして手を伸ばした。が、
「おい、腐った食べ物を置いておくな。ばっちいだっろう!」
「へ? それは今日かったばかりの新鮮なフルーツですが……」
「何ぃ、これが?」
その皿の上にある果物は、完全に腐って腐敗臭を放っている。
(これが、今日買ったばかり? 嘘を…)
その瞬間、ガラスが割られた。何かが放り込まれたのだ。
「何事だ!」
事務所に入れられたもの。それは、大きな氷の塊。普通ならこんなことは起きるはずがない。季節は冬ではないのだ。
「も、もしや…!」
七谷が呟いた。その悪い予感が的中してしまったのだ。
「お前、俺に勝っても意味はないんだよ…」
これはくだらない負け惜しみだ。だが縁は耳を傾けた。その続きを言うように指示した。
すると、
「東邦大会はお前のことを掴んでいるんだ。絶対に逃げられないさ。ここで死んだ方がよかったって、後悔することになるだろうな! ハハハハハ…」
不気味な笑い声が縁の不安を煽る。
「事務所の隣の部屋で聞いたぜ。東邦大会のトップ、清水ってヤツが、お前のことを殺そうと企んでいる。今、生き延びても、意味はない。どうせ死ぬんだよ、お前は!」
その言葉は縁の心の中に、言い表せられない心配を植え付けた。
(海崎を警察に差し出すのは変わらないけど、東邦大会のトップが僕のことを? だとしたら、近いうちに何か、あるかもしれない…!)
不安と心配は、覚悟を呼んだ。
(明日以降、鍍金たちに話そう。その清水ってヤツが、東邦大会の親玉! ソイツを倒す!)
そして覚悟は、揺るがぬ決意に変わるのだ。
「捕まったか。まあアイツも所詮は神通力を持って調子に乗った犯罪者。限界はあるよな? 期待した俺が馬鹿だったかもしれん」
縁の家を離れたところで浜井が見ていた。警察が来たということは、海崎の負けを意味する。結局彼は縁を倒せなかったのだ。
「さて、こんなところで油を売っている暇はない。早く町にいるとかいう、篠原を殺した神通力者を見つけ出さねば!」
浜井はさっさと移動した。
だが、彼の神通力者探しは難航した。
「目撃者がいないから…か? 全然証拠が見つからない。このまま闇雲に探しても効率的とは言えない。一度事務所に戻るか…」
浜井が追っているのはもちろん犁祢たちだが、彼らは相手を必ず殺すと決めている。だから、目撃情報が全くないのだ。襲われた生存者がいなければ、たどり着くことは難しい。
「調子はどうです、浜井さん?」
「駄目だ」
部下の河内が聞くが、その返事は暗い。
「でもソイツらって、僕たちの事務所を襲っているんですよね? だったら待っていれば今夜にでも、ここに来るかもしれませんよ?」
「冗談はやめろ、
高田も浜井の部下だ。ガタイの良い男で、見るだけで子供は逃げ出す迫力がある。
「しかし…可能性はあるのでは? もう寝場打市内に残っている大きな事務所はここしかありませんよ?」
七谷が心配そうにそう言った。
「言う通りではあるが……だが!」
けれども浜井には自信があった。ここは表向きのトップである清水がいる場所。言い換えるなら、ボスの住処。そう簡単に襲えるわけがない。
「今日は清水さんも独自に動いている。もしこの本丸を襲うつもりなら、それこそ返り討ちにしてやるのだ。そして思い知らせる。東邦大会の敵になることが、どんなに恐ろしいことかをな!」
そう言うと、テーブルの上に置いてあった果物を食べようとして手を伸ばした。が、
「おい、腐った食べ物を置いておくな。ばっちいだっろう!」
「へ? それは今日かったばかりの新鮮なフルーツですが……」
「何ぃ、これが?」
その皿の上にある果物は、完全に腐って腐敗臭を放っている。
(これが、今日買ったばかり? 嘘を…)
その瞬間、ガラスが割られた。何かが放り込まれたのだ。
「何事だ!」
事務所に入れられたもの。それは、大きな氷の塊。普通ならこんなことは起きるはずがない。季節は冬ではないのだ。
「も、もしや…!」
七谷が呟いた。その悪い予感が的中してしまったのだ。