その④
文字数 1,467文字
一方その頃、事務所の外に栗原の言っていた援軍が集まっていた。だが、中々前に進めない。それもそのはずで、隆康、菜穂子、愛倫が行く手を阻んでいるからだ。
「コイツら…!」
一般構成員は、バタバタと死んでいく。しかし中には神通力者もいる。
「俺に任せな!」
井郷 という神通力者が、隆康たちの前に出た。彼は竹刀を持っている。
「その竹刀で、俺たちと勝負するとでも?」
「舐めるなよ?」
井郷がそれを振った。すると街路樹が綺麗に真っ二つ。通常ではあり得ない切れ味だ。
「俺はな…この手で持ったものなら何でも、鋭い切れ味を与えることができるのさ。これでお前らをバラバラにしてやる!」
そして竹刀を構えて突っ込む。
「危ねえ!」
隆康は自分の体に神通力を使った。空気よりも軽くすることで一瞬で浮き上がり、その鋭い一撃を宙に浮いてかわす。
「じゃあ、私の氷と勝負よ!」
菜穂子も、氷で剣を作った。
「へ! たかが氷で何ができる?」
容赦なく井郷は切りかかる。同時に菜穂子も剣を振り下ろし、それを受ける。互角だ。
「やるなあ! だがよ…!」
卑怯なことに井郷は、懐から手帳を取り出した。そしてそれを菜穂子に投げつけた。
「ああ!」
菜穂子の腕が、切り裂かれ血が流れる。
「言っただろう? 何にでも切れ味を与えることができるんだぜ? それがたとえ、何の殺傷能力もない手帳でも!」
バランスを崩した菜穂子は後ろに下がってしまい、そして転んだ。
「トドメと行くかあ!」
井郷は竹刀を振り上げた。
しかし、竹刀は菜穂子に振り下ろされなかった。ドスンと井郷の後ろに落ちたのだ。
「は…?」
愛倫の仕業である。
「私のことを忘れられては、困りますよ?」
愛倫は竹刀にのみ、尋常ではない重力を付加した。その重さに耐え切れず竹刀は、井郷の指から抜け落ちたのだ。
「何が起き……」
それ以上、井郷は喋れなかった。菜穂子がすぐに起き上がり、氷の剣で井郷の喉元を突いたからだ。この一撃で、井郷は絶命。
「助かったわ、愛倫!」
菜穂子は怪我を氷で覆い、これ以上出血しないようにした。
「ふう、見ていて冷や汗かいたぜ…」
隆康も安全を確認すると降りてくる。
「後は、一般構成員だけですね」
普通の人の相手は、彼らにとっては簡単なことだ。それに事務所から、犁祢たちも戻ってきた。
「雑魚狩りか…。まあいい、今日の余韻はそれで良しとしよう」
伊集院がそう言うと、六人は一斉に構成員に襲い掛かる。それは戦いと言うより、一方的な虐殺であった。
犁祢の神通力を前に、立っていられる人物はいない。ある者は酸欠で、またある者は酸素中毒で死に至る。
心は特別な行動こそしないものの、対面した相手よりも速く動き、そして与える一撃が全て致命傷。
伊集院はたいして動かなくても、相手を腐らせる。体が壊死した構成員はすぐに魂も朽ち果てる。
菜穂子は氷の粒を、弾丸のように撃ち出した。一撃で、二、三人が体を撃ち抜かれて倒れる。
隆康は触れた相手を軽くし三十メートルほど浮かせると神通力を解いた。高所から落下して、構成員の死体は潰れた。
愛倫が重力を強くすると、相手は地面に崩れて身動きが取れなくなる。拳銃を構えて撃ってくるのだが、その重力は百八十度反対に強く働かせているので撃った構成員を貫く。
あっという間の虐殺を、六人はまるで害虫を殺すかのように楽しんでいた。
「コイツら…!」
一般構成員は、バタバタと死んでいく。しかし中には神通力者もいる。
「俺に任せな!」
「その竹刀で、俺たちと勝負するとでも?」
「舐めるなよ?」
井郷がそれを振った。すると街路樹が綺麗に真っ二つ。通常ではあり得ない切れ味だ。
「俺はな…この手で持ったものなら何でも、鋭い切れ味を与えることができるのさ。これでお前らをバラバラにしてやる!」
そして竹刀を構えて突っ込む。
「危ねえ!」
隆康は自分の体に神通力を使った。空気よりも軽くすることで一瞬で浮き上がり、その鋭い一撃を宙に浮いてかわす。
「じゃあ、私の氷と勝負よ!」
菜穂子も、氷で剣を作った。
「へ! たかが氷で何ができる?」
容赦なく井郷は切りかかる。同時に菜穂子も剣を振り下ろし、それを受ける。互角だ。
「やるなあ! だがよ…!」
卑怯なことに井郷は、懐から手帳を取り出した。そしてそれを菜穂子に投げつけた。
「ああ!」
菜穂子の腕が、切り裂かれ血が流れる。
「言っただろう? 何にでも切れ味を与えることができるんだぜ? それがたとえ、何の殺傷能力もない手帳でも!」
バランスを崩した菜穂子は後ろに下がってしまい、そして転んだ。
「トドメと行くかあ!」
井郷は竹刀を振り上げた。
しかし、竹刀は菜穂子に振り下ろされなかった。ドスンと井郷の後ろに落ちたのだ。
「は…?」
愛倫の仕業である。
「私のことを忘れられては、困りますよ?」
愛倫は竹刀にのみ、尋常ではない重力を付加した。その重さに耐え切れず竹刀は、井郷の指から抜け落ちたのだ。
「何が起き……」
それ以上、井郷は喋れなかった。菜穂子がすぐに起き上がり、氷の剣で井郷の喉元を突いたからだ。この一撃で、井郷は絶命。
「助かったわ、愛倫!」
菜穂子は怪我を氷で覆い、これ以上出血しないようにした。
「ふう、見ていて冷や汗かいたぜ…」
隆康も安全を確認すると降りてくる。
「後は、一般構成員だけですね」
普通の人の相手は、彼らにとっては簡単なことだ。それに事務所から、犁祢たちも戻ってきた。
「雑魚狩りか…。まあいい、今日の余韻はそれで良しとしよう」
伊集院がそう言うと、六人は一斉に構成員に襲い掛かる。それは戦いと言うより、一方的な虐殺であった。
犁祢の神通力を前に、立っていられる人物はいない。ある者は酸欠で、またある者は酸素中毒で死に至る。
心は特別な行動こそしないものの、対面した相手よりも速く動き、そして与える一撃が全て致命傷。
伊集院はたいして動かなくても、相手を腐らせる。体が壊死した構成員はすぐに魂も朽ち果てる。
菜穂子は氷の粒を、弾丸のように撃ち出した。一撃で、二、三人が体を撃ち抜かれて倒れる。
隆康は触れた相手を軽くし三十メートルほど浮かせると神通力を解いた。高所から落下して、構成員の死体は潰れた。
愛倫が重力を強くすると、相手は地面に崩れて身動きが取れなくなる。拳銃を構えて撃ってくるのだが、その重力は百八十度反対に強く働かせているので撃った構成員を貫く。
あっという間の虐殺を、六人はまるで害虫を殺すかのように楽しんでいた。