第17話 真の狙いは村重の首
文字数 631文字
天正6年(1578年)11月。村重を翻意させよとの信長からの命を受けた羽柴秀吉が切り札を使う。小寺孝高(後の黒田官兵衛)を有岡城に赴かせる。
この動きを小猿に届けたのは小太郎と衣茅である。百地丹波から小猿に加勢せよとの下知を受け、小太郎と衣茅は有岡城へ向かう。その前途、安土と京に立ち寄り、小寺家の常宿で孝高の企みを探った。
「小寺殿が?」
その報を耳にした小猿は幾分顔を顰めた。
小太郎は言った。
「小寺孝高は村重と旧知の仲でござる。翻意を促すには適任と判断したのであろう」
「しかし荒木殿はこれまでも信長から寄越された使者悉くお断りになっておられる。此度も翻意はされぬだろう」
小太郎が小さく首を振る。
「いや、小寺孝高はこれまでの使者とは違う」
「何が違う?」
「智謀に長けておる」
「籠城を決めた殿に、いまさらそのような智謀が何になる?」
「侮ってはいかん。孝高の軍師としての才は天下無双と聞く」
「随分、小寺を買っておるな小太郎。して衣茅、おまえはどう見る?」
小寺孝高という武将のことを調べあげた衣茅は小猿に問われて重い口を開けた。
「あの者、腹の底では天下取りを本気で考えておるかと・・・」
小猿が驚く。
「まさか、一介の地方侍が」
衣茅は真顔で言う。
「その地方侍、隙あらば、旧知は勿論、主君でも天下を取るためなら誑(たぶら)かす男です」
「信長の使者ではあらぬのか?」
「此度の目的は信長の誉を受けることです。真の狙いは村重の首かと」
「なんと、旧知を装う刺客であったか」
この動きを小猿に届けたのは小太郎と衣茅である。百地丹波から小猿に加勢せよとの下知を受け、小太郎と衣茅は有岡城へ向かう。その前途、安土と京に立ち寄り、小寺家の常宿で孝高の企みを探った。
「小寺殿が?」
その報を耳にした小猿は幾分顔を顰めた。
小太郎は言った。
「小寺孝高は村重と旧知の仲でござる。翻意を促すには適任と判断したのであろう」
「しかし荒木殿はこれまでも信長から寄越された使者悉くお断りになっておられる。此度も翻意はされぬだろう」
小太郎が小さく首を振る。
「いや、小寺孝高はこれまでの使者とは違う」
「何が違う?」
「智謀に長けておる」
「籠城を決めた殿に、いまさらそのような智謀が何になる?」
「侮ってはいかん。孝高の軍師としての才は天下無双と聞く」
「随分、小寺を買っておるな小太郎。して衣茅、おまえはどう見る?」
小寺孝高という武将のことを調べあげた衣茅は小猿に問われて重い口を開けた。
「あの者、腹の底では天下取りを本気で考えておるかと・・・」
小猿が驚く。
「まさか、一介の地方侍が」
衣茅は真顔で言う。
「その地方侍、隙あらば、旧知は勿論、主君でも天下を取るためなら誑(たぶら)かす男です」
「信長の使者ではあらぬのか?」
「此度の目的は信長の誉を受けることです。真の狙いは村重の首かと」
「なんと、旧知を装う刺客であったか」