第23話 信長がこの世から消えれば、小寺殿は直ちにここから出られます
文字数 535文字
小太郎は衣茅に頷いた。
忍び装束の二人を目の当たりにした孝高はここでようやく悟った。
(さては向こうも忍びを雇っておったか・・・)
小太郎が網の中で足を上げ丸くなった孝高に話しかける。
「悪く思わんでくだされ小寺殿。これも天下泰平のため」
孝高は語らず涼しい目で小太郎を見た。
その目に衣茅は直感的に思った。
(やはり只の武者ではない)
小太郎が呟く。
「小寺殿を特別の間で遇せよと荒木殿から下知を受けております。これより貴殿をご案内いたしまする」
そう告げると小太郎は網の上からさらに孝高を縄でぐるぐる縛り上げ、動けぬようにして衣茅と二人、外の郭まで運んだ。
一切の刃物を身に帯びておらぬこと確かめたうえで、手足だけを縛り直し、土牢に放り込んだ。
そして、小太郎は気休め的にまたこう告げた。
「努努(ゆめゆめ)、悪く思わんでくだされよ小寺殿。しかし、案ずることはありませぬ。信長がこの世から消えれば、小寺殿は直ちにここから出られます故」
すると孝高は身を屈めたまま呟く。
「案じてなどおらぬ。上様の治世が安泰であれば我が身などどれほどのものでもない」
囚われの身の強がりと決めつけ小太郎は言った。
「そう自暴自棄なさるな。せっかくの天稟、勿体なきこと。まだ使い道はありましょうや」
忍び装束の二人を目の当たりにした孝高はここでようやく悟った。
(さては向こうも忍びを雇っておったか・・・)
小太郎が網の中で足を上げ丸くなった孝高に話しかける。
「悪く思わんでくだされ小寺殿。これも天下泰平のため」
孝高は語らず涼しい目で小太郎を見た。
その目に衣茅は直感的に思った。
(やはり只の武者ではない)
小太郎が呟く。
「小寺殿を特別の間で遇せよと荒木殿から下知を受けております。これより貴殿をご案内いたしまする」
そう告げると小太郎は網の上からさらに孝高を縄でぐるぐる縛り上げ、動けぬようにして衣茅と二人、外の郭まで運んだ。
一切の刃物を身に帯びておらぬこと確かめたうえで、手足だけを縛り直し、土牢に放り込んだ。
そして、小太郎は気休め的にまたこう告げた。
「努努(ゆめゆめ)、悪く思わんでくだされよ小寺殿。しかし、案ずることはありませぬ。信長がこの世から消えれば、小寺殿は直ちにここから出られます故」
すると孝高は身を屈めたまま呟く。
「案じてなどおらぬ。上様の治世が安泰であれば我が身などどれほどのものでもない」
囚われの身の強がりと決めつけ小太郎は言った。
「そう自暴自棄なさるな。せっかくの天稟、勿体なきこと。まだ使い道はありましょうや」