第107話 3.11から11年

文字数 2,432文字

 昨日のことになってしまいましたが3月11日は、東日本大震災が起きた日から11年目に当たります。
 あの時福島第一原発が事故を起こしてそれを機に日本のほとんどの原発が稼働を中止し、そのまま現在に至っています。

 もちろん、想定外の津波に襲われたからと言って事故が起こってしまったことは事実ですし、その影響は甚大だったことは間違いありません。
 ですが……。
 福島第一原発の原子炉は地震や津波によって損傷を受けていません、ひび一つ入っていないのです、自動停止装置も正常に作動しています。
 ただ、原発と言うものはスイッチを切ったからと言ってピタリと止まるものではなく、完全に停止するまでは冷却が必要、その為のポンプが津波によって作動しなくなり、炉の温度を下げられなくなってしまった、それが事故の内容です。
 もちろん、ポンプが作動しなくなったというのは大問題で、それを防げなかったのかと言う指摘はあって当然だと思いますが、考えていただきたいのはあれだけの津波を受けても炉そのものには何の損傷もなかったと言う事、冷却の手段さえ確保できていれば事故は防げた、つまり根本的な問題ではなく、改善の方法はいくらでもあるレベルの問題だったのではないだろうかと言う事です。
 ならば、現存する、老朽化などの問題を抱えていない原発に対しては二重、三重の安全対策を課した上で稼働させても良いのではないでしょうか?
 しかし、現実的には11年経った今も全国の原発は沈黙したままです。

 唯一の被爆国として、日本人は原子力に対する恐怖感を正しく持っていると思います。
 かつて『ターミネーター2』やアメリカ版『ゴジラ』で原爆が炸裂したシーンを見たことがありますが、どうやらアメリカ人は原爆を『とてつもなくでっかい爆弾』としか捉えていないフシがありますね、冷蔵庫の中に隠れただけで難を逃れられたり、はるか沖で上がったキノコ雲をバックに危機を乗り越えて再開した夫婦が抱き合ってたり……。
 そんな程度のものではないことは日本人なら誰でも知っています、ですから原発に対する恐怖心もわからないわけではありません。

 ですが……。

 現在、ウクライナへ侵略を理由にロシアには厳しい経済制裁が課せられていますし、日本もそのリーダー的役割を期待されています。
 ロシアはエネルギーの輸出大国、日本でも8%ほどの石油をロシアからの輸入に頼っているそうで、それがストップしたらどうなるか……。
 不足分は中東辺りから充当できるでしょうが、彼らは中々の商売上手、価格は吊り上げられるでしょうし、高値を維持するために『少しだけ足りない』状況を維持する程度の増産に留めるかもしれません、ガソリンや灯油だけでなく、電気代も高騰するでしょうし、そうなればほとんどすべての工業製品は値上げになります。
 また、『脱炭素』は世界の潮流であり、日本もその潮流に逆らうわけには行きません。
 今時『CO2を排出して何が悪い』と開き直れるような国家ではないのです。

 そして、不足する電力を補うのは太陽光ですか? 風力ですか?
 もちろん、太陽光は、それなしには地球環境が成り立たないほどの自然エネルギーですが、天候に左右されますし夜は発電できません、発電効率もあまり良くありませんから広い土地が必要、その為に森林を切り倒し山を切り崩してしまっては元も子もありません。 
 植物はCO2を吸収して酸素を輩出してくれる自然の浄化装置でもあります、そして森林が本来持っているはずの貯水能力も削いでしまえば山崩れや鉄砲水の要因になりますし、洪水も頻繁に起こるようになるでしょうね。
 建物の屋根を利用するというのは現実的な手ですが、既存の木造家屋に載せるのはお勧めできません、耐震性能が3割方落ちてしまいます。
 新築の建物に義務付けることも検討されていますが、太陽光パネルの寿命は10年程度といわれ、蓄電池も同様です、それらをどう廃棄して行くのかはほとんど議論されていないように思います。
 風力発電はもっと不完全です、風がなければ発電できませんし突風にも弱いものです、実際、突風でプロペラが壊れてしまったり塔が折れてしまったというような事例もあります。
 もちろんそれら自然エネルギーを利用して行く研究は進めて行く必要があると思います、いずれは石油も枯渇するものですし、環境に良いことは間違いありませんから。
 ですが、現状必要なエネルギーは今ある技術で得て行かなくてはなりません、そして、原子力はやはり現状では不可欠なものだと思います。

 更に突っ込んで言わせてもらえば、マスコミや特定野党は日本の国益、国力を何と心得ているのかな? と言う疑問があります。
『それは言い過ぎでは?』と思われることも覚悟で言わせてもらえば『彼らは日本の国力を削いで衰退させたいんだ』と思います、そう考えるならば彼らの言動は何もかも辻褄が合って来るのです。
 日本を弱体化させること、それが誰にとって都合の良いことかは想像に難くないと思います。

 ロシアがウクライナに攻め込む……あり得ないことではないと思っていましたが、現実にあそこまでやるとは正直思っていませんでした。
 プーチン大統領はもう少し理性的な人物だと思っていましたが、買いかぶりだったようです、それとも老化現象か何かでおかしくなってしまったんでしょうか?
 正直、中国が台湾や尖閣、沖縄に侵攻してくる可能性の方がずっと強いと踏んでいました。
 もちろんそれを諦めたとは思えません、おそらく中国は今回の戦争の行方を注意深く見守っていることでしょう、世界が、とりわけアメリカがどう出るのかを。
 どうやらロシアは失敗しそうなので慎重にならざるを得ないでしょうが、それを教訓として戦略を立て直して来るでしょう、中国は決して諦めませんよ。
 経済制裁と言った側面では日本の動向にも注視しているでしょうね、どうも岸田首相、林外相では心もとありませんが……。
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