第106話 平和ボケもほどほどにしておかないと……

文字数 4,819文字

 このところプーチン大統領の顔を見る機会が増えましたが、何か顔が変わっていません? いや、影武者だとか言うのではなく、以前のような眼光鋭い感じが薄れて少しボーっとした感じに見えるんです。
 まさか認知症が始まったんじゃないでしょうね、69歳のはずですからまだ早いと思うんですが、65歳くらいからはリスクが高まるそうなので……。
 もしそうだとしたら、恐ろしいですね、何をしでかすかわかりません。
 そして、それを止められない独裁国家の怖さも……日本の近くには独裁国家が他にもありますからね……。

 ところで、そのロシアのウクライナ侵略について、思った通り、レフトサイドからは色々な声が聞こえてきました。
 
 まずは共産党の志位委員長から。

【仮にプーチン大統領のようなリーダーが選ばれても、他国への侵略が出来ないようにするのが憲法第9条なのです】

 それ、ロシア国民に言ってくださいな、同様の憲法を何故持たないのかと。
 そしてプーチン大統領にも言ってあげて下さいな、『なぜあなたは9条の精神を理解できないのか』と。
 前にも書きましたが、私は9条の精神は崇高なものだと思います、ですが、惜しむらくば同様の憲法を持っている国はほぼ皆無です。
 少なくとも主要な国と核保有国は全てが同様の憲法を持たなければ、日本だけが戦争を放棄しても意味はありません……侵略戦争にはいかなる理由があっても反対ですが、防衛はまた別の話です。
 この志位委員長の発言には『防衛』と言う観点がすっぽり抜け落ちてますね。
 そもそも『侵略戦争もOK』とするような改憲を日本国民が許すはずもないのです、従って日本にはプーチンのようなリーダーが生まれようがありません。
 志位氏としては、ことさらに戦争に対する恐怖を煽って日本を丸腰にしておきたいんでしょうね。
 
 
 次に在大阪中国副領事の言葉です。
 
【弱い人は絶対に強い人に喧嘩を売るような行いをしてはならない、仮に強い人が後ろに立って応援すると約束してくれてもだ】

 思いっきり本音です、要するに「日本はアメリカが後ろ盾になると約束してくれても、わが国にたてつくんじゃないぞ」と言うことですよね。
 中国はこの戦争の行方を注意深く見守っていると思いますよ、で、「アメリカは動かない」と見定めれば、尖閣諸島や台湾への侵略のタイミングを計り始めると思います。
 侵略を計画し始めるんじゃないですよ、それはもうずっと前からやりたくてウズウズしているんですから。
 唯一の気がかりが消えれば後は『いつやるか』だけでしょう、いつ『今でしょ』となっても不思議はありません。
 現実のところ、アメリカを始めとして軍を派遣してウクライナを支援する国は出て来ていませんね、武器供与や資金援助、せいぜい義勇部隊にとどまっています。
 しかし、各国ともにかなり踏み込んだ経済制裁を実行に移しています、自国の不利益になることも厭わないレベルで……おそらくはロシアの想定を超えているでしょう。
 結果、戦況はウクライナの予想以上の抵抗もあり長引きそうな気配になっていて、ロシアにとっては負けに等しい結果に終わる可能性が大きくなって来ています、そうなればプーチン大統領の失脚は免れないでしょうし、ロシアの社会体制が大きく変わるかも知れません。
 中国はこれをどう見ているんでしょう。 
 プーチン氏は核の使用をほのめかしていますが、私はこれを相当追い詰められている証左だと見ます。
 
 
 安倍元首相からはかなり踏み込んだ発言がありました。
 
【アメリカとの核共有について、国内でも論議すべき】

 今はもう総理と言う立場にないからこそ、ここまで踏み込めるのかもしれませんが、現状核を保有しておらず、事態がひっ迫していることを考えれば、アメリカから核を借りるというのは非常に現実的な手段だと思います。
 先ほどの中国副領事の言葉からして、中国も侵略の意思を隠していませんし、もしここからロシア軍が総力を挙げて勝負に出ればウクライナは持ちこたえられないでしょう。
 経済制裁だって無期限に続けられるとは思えません、ロシアはエネルギーの供給源ですからね、ロシア経済の一時的な衰退ならば中国が支えるかもしれませんし、ひょっとすると強力な同盟が出来上がる可能性だってあります。
 そうなったら日本は沖縄方面だけでなく、北海道も守らなければならなくなりますよ。


 この安倍発言を、岸田首相は一刀のもとに切り捨てています。

【非核三原則を堅持するという我が国の立場から考えて認められない】

 だそうです。
 確かに日本人には核に対して強い嫌悪感を持っています、ほとんどアレルギーと言ってもいいくらいの……私とてそうです。
 ですが、ウクライナは核を放棄し、軍縮を推進した結果、今現在侵略を受けています。
 もし核を手放さなかったら……おそらくウクライナの人々は今日も安全に暮らしていただろうと思います。
 ウクライナ軍、ウクライナの人々は非情に勇敢に、粘り強く戦っていると思いますが、 近い将来、日本が同じような状況に置かれたらどうでしょうね?
 その時ですら戦わずに降伏することを声高に主張する人々はいるでしょうし、自衛隊の応戦にすら異を唱える政治家やマスゴミは後を絶たないのではないか?
 私はそう危惧しています。


 実際、政治家以外からもそのような声は聞こえて来ています。
 サッカーの本田圭佑選手、彼は一時ロシアのリーグに所属していたことがあり、ロシア通だと思うのですが。

【最初から協議を申し出ていたら、余計な犠牲者は出なかったかもしれない】

 相手が侵略の意思を明確にしている場合、戦わずして臨む『協議』は無条件降伏とほぼ同義語でしょう、銃の安全装置を外し、引鉄に指をかけている相手に対して話し合いは通用しません、大人しく白旗を挙げるか応戦するしかないのです、人間なら逃げると言う手もありますが、国は逃げられませんから。
 つまり、『戦うよりも降伏してしまった方が良かったのに』と言っているわけです。
『余計な犠牲者』と言う言い回しも引っかかりますね、国を守ろうとして命を落とした人に対してあまりにも敬意を書いた言い回しだと思います。
 空爆などで亡くなった民間人を指していたとしても『余計な』の一言は、それこそ『余計』です。
 

 ロシアを擁護するかのような発言も目につきます。
 まず当事者たるロシアの国連大使の演説から。

【ロシア軍はウクライナの市民に対して脅威を与えておらず、また、民間地域に砲撃などは行っていない】

 よくぞここまで白々しい嘘をつけるものだと思いますよね。
 一体いつの時代に生きているんでしょうか? スマホがここまで普及している現代では写真や動画付きでいくらでも発信できるのです。
 未だに『大本営発表』が通用するとでも?
 
 
 親露で知られる、維新の会・鈴木宗男議員。
 
【ロシアの方が一般市民を一人でも犠牲にしてはいけないと慎重、ウクライナは銃を置くべき】

  ロシアの大本営発表を鵜呑みにしているんでしょうか? 誰がそれを信じますか? 今朝(3/2)の産経新聞では約2,000人の民間人が犠牲になったと報じられていますが?
 
 
 社民党の機関紙・社会新報の記事です。
 
【米国のバイデン政権や主流メディアはイラク戦争の時のように怪しげな情報を拡散しながらロシアのウクライナ侵攻を宣伝している、だが基に協議されるべきはロシアが求めている安全の保障なのだ】

 もう何を言っているのかわかりません。
 自分に都合の悪いことは全て『怪しげな情報と宣伝』と斬り捨てています、自党がそれをやるもので他者もやるだろうと思っているのかもしれませんね。
 明らかに侵略戦争を仕掛けた側の『安全の保障』ですか……もう溜息しか出ませんね、ウクライナの安全は無視しても良いのでしょうか?
 

 北朝鮮も陰謀論のような事を発信しています。

【ロシアによるウクライナ侵攻の背景には米国と西側諸国の覇権的政策と高圧的な態度がある】

 まあ、あの国のことですから西側諸国は全て悪と言う認識なんでしょう、それとも一歩国外に出れば周りは悪魔ばかりがはびこる世界なんだと信じ込ませておかないと国が持たないのかな? 覇権的政策と高圧的な態度……鏡を見ながら言っているようにしか思えません。


 鳩山由紀夫元総理、この人がかつて首相であったことがいまだに信じられません。

【ウクライナのゼレンスキー大統領は、自国のドネツク、ルガンスクに住む親露派住民を『テロリストだから絶対に会わない』と虐殺までして来たことを悔い改めるべきだ】

 いやぁ、そんな虐殺が行われていたとは知りませんでしたよ、エビデンスは何ですか? あ、ロシアの報告書ね……もし本当に虐殺が行われていてそれを隠し通して来れたなら、ゼレンスキー大統領は奇跡的なまでに有能ですね。
 ロシアの報告書を鵜呑みにして、一方的に西側を悪とする立ち位置は、もう北朝鮮と変わらないですね。


 立憲民主党・末松義規議員のツィート。

【ゼレンスキー大統領のケースは、人気者だし魅力もある方ですが、ロシアと言う獰猛な国家から国を常に防衛せざるを得ないことを考えると、「若さ」が「馬鹿さ」になっているように感じます】

 つまりロシアにたてつくのは愚かなことだったと? 相手が国を奪いに来ていたとしても?
 ゼレンスキー大統領を岸田首相に、ロシアを中国に置き換えても同じことを呟くのでしょうね、と言うか、むしろそのつもりでのツィートだったんだろうと思います。
 炎上の兆しを察したのか、大急ぎで削除したらしいですが、消したところでなかったことにはなりません、と言うよりも、これをツィートしたら炎上するだろうと言うことすら念頭になかったんでしょうね。
 リツミン党が憲法論議のテーブルにすらつこうとしない理由が良くわかります、日本が防衛力を持つことは彼らと彼らが信奉する国にとって不都合だからですね。


 マスゴミも論点ずらしに躍起ですね。
 青木理氏と言えば、かの反日番組・サンデーモーニングのコメンテーターとして名高いですが。

【こういう力の蛮行が横行したことで、むしろ他国が、そして我々が『力の論理に対抗しなくちゃいけないんだ』と言う、ある種軍拡の罠にはまってしまうことが怖い】
 だそうです。
『力の論理に対抗しなくちゃいけないんだ』まではわかります、問題はその先、『ある種軍拡の罠にはまってしまうことが怖い』と言う部分です。
 確かに覇権主義の大国が力の論理を振り回すならば、その脅威を感じている国は軍備を増強しなければならないでしょう、ですが、それを『罠にはまる』と表現するのはどうでしょう? 
 青木理氏の論調からは防衛と言う観点が隠蔽されています、防衛力の強化を軍拡と言い換えて、あたかも力を持てば覇権主義に傾いてしまうかのような印象を与えようとしているのではないでしょうか。
 練り上げた文章を読み上げたのではなく、TV番組中のコメントですからそこまで計算してはいなかったかもしれませんが、だとしたら余計に性質が悪いと思います、青木氏の思考回路がそうなっていると思われるからです。
 
 色々挙げて来ましたが、とにかくロシアによるウクライナ侵略は現在進行中の現実です、戦争と言うものは歴史の教科書の中にだけ存在するものではないのです。
 日本は平和です、凶悪事件が皆無というわけではありませんが、寝室に銃を用意しておく必要は感じずに暮らせます、スリや置き引きも皆無というわけではありませんが、常に警戒しなければならないと感じることもありません。
 ですが、それは世界標準ではないのです。
 大事なことなのでもう一度書いておきます。
 日本は戦争を放棄していますが、戦争は日本を放棄してはくれません、平和、平和とお題目のように唱え、9条を首からぶら下げているだけでは守れないのです。
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