第9話  朝日新聞的社説『民意について』(注釈付き)

文字数 863文字

 小紙でもしばしば『民意』と言う言葉を使う、『民意』とはなにか、を辞書で引けば「国民の意思、人民の意見」とある。
 日本は間接民主制を取る、したがって選挙の結果は民意を反映したものと考えることもできるだろう。
 だが、気になることがある。(注1)
 日本において、選挙権は日本国籍を持つ者にのみ与えられる権利だ、つまり『民意』を『国民の意思』であると定義するならば、その『国民』はいささか狭義の『日本国民』に限定されてはいないだろうか。(注2)
 現在日本には、日本国籍を持たないものの、明らかにその生活の基盤を日本に持つ人々が存在する、本来の母国語を話せない人々も少なくない、そんな彼らを、日本国籍を持たないからと言って排除するのはいかがなものか(注3)。
 ここはひとつ『民意』を『人民の意見』と考えてはどうだろうか。(注4)
 考えてみてほしい、(注5)日本はアジアの一員である、同じアジアに位置する諸国と同調することなく国策を推し進めることは孤立化を推し進めることになりはしないだろうか。
 日本国籍を持つ狭義の日本国民も、日本の参政権を持たない在日外国人も、広く公正な考えを持つならば周辺諸国の国民もまた『人民』だ。(注6)
『民意』を『人民の意見』と捉えるならば、選挙結果はごく一部の意見の表れに過ぎない、(注7)政府にはそのことを肝に銘じて(注8)よりグローバルな視点(注9)を持つことが必要なのではないだろうか(注10)


注1:ここから自分たちの考えに誘導しますよ、と言う意味
注2:範囲を広げて自分たちの考えまで持って行きますよ、と言う意味
注3:自分たちの考え方こそが正しい、と言う意味
注4:提案のふりをして言いくるめようとする表現
注5:ここから先が本題だ、と言う意味
注6:自分たちの考えを正当化するための拡大解釈
注7:選挙結果が気に入らない、と言う意味
注8:政府は自分たちの考えどおりに行動しろ、と言う意味
注9:共産主義的な視点を言い換えた言葉
注10:そうに決まってる、と言う意味


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