第63話 怪しい人たち

文字数 1,634文字

 昨年だったか、グレタ・トゥーンベリと言う『環境少女』が話題になりましたね。
 国連気候変動会議で『よくもそんなことを!』と演説したスウェーデンの高校生です、 シンパとアンチを同時に多数生み出しましたね。
 顔を歪めて罵倒する演説スタイルや、CO2を大量に出すからという理由で飛行機に乗らずヨットで大西洋を渡ったり、厳密な菜食主義を標榜したりと言った極端な主義と行動がその理由でしょう。
 彼女がそう主張するのは別に構わないと思うんですよね、私は同調できませんが。
 顔を歪めて罵倒するスタイルだって別に非難はしません、私は好みませんが。
 私が問題だと思うのは、彼女を必要以上に持ちあげようとする向きが居るってことです。

 そもそも、私自身は彼女を支持しません。
 環境保護は大事だと思いますし、食肉の生産は非効率的だってことも間違いではありません。

 ですが、彼女はなぜ中国の環境問題に言及しないんでしょう?

 CO2排出量トップは中国なんですよ? もちろん人口が多いと言う理由もありましょうが最大の排出国であることは事実ですし、中国ではCO2以外にも環境問題は山積みだと思うんです、もっと言うなら政府にも人民にもその問題に真摯に向き合う姿勢が見えてこないのが問題だと思うんですよね、環境に悪かろうが人命を脅かそうが、そんなことには目もくれず利益を求める姿勢は、まさしく『よくもそんなことが!』だと思うんですがね。
 グレタさんに限らず、多くの環境保護団体も中国と正面切って向き合っているようには思えません、それっておかしくないですか?

 環境問題だけじゃありません、人権問題もそうです。
 なぜ中国を非難しないのか不思議で仕方がない人は日本にもたくさんいます。
 今年香港で何が起こったか、知らない人はまずいませんよね?
 あれは民主的でしたか? 人権を尊重してましたか?
 でも、普段人権、人権と言ってる人たちの中にこれを批判した人はいましたかね?
 いや、形の上では言ったかもしれませんよ、共産党だって公式に遺憾を表明してるくらいですから。
 だけど、一回きりです。
 それじゃ『一応言いましたよ』ってアリバイ作りみたいなもんでしょう?
 中国や北朝鮮にも一応野党はあるんですよ、『一党独裁じゃない』と言い逃れするために。
 それと同じようなものです。
 いつもと同じように、いや、いつも以上に繰り返し繰り返し『人権を守れ!』とやらないならばダブルスタンダードと言われても仕方ないと思いませんか?
 香港と同じように、チベットや内モンゴル、ウィグルでも同じことが起こりました。
 北京オリンピックの頃、『フリーチベット』運動がありましたよね、2008年のことですから、民主党が勢力を拡大して政権交代が起こる直前のことです、あの頃、野党議員でフリーチベット運動に参加した人、賛同を表明した人はいましたか? チベットでは何人もの僧侶が抗議の焼身自殺をしていたんですがね。
 
 
 ウィグルで列車に乗せられて輸送されようとしている人々を写した動画が流出したのはご存知ですか? 参考にURLを貼っておきます。 
 
 https://www.youtube.com/watch?v=166ZyVlBG2Q

 あの国に不都合な動画は消されることがありますから、見られるうちに見ておいて欲しいと思います。
 彼らはどこに連れて行かれるんでしょう?
 動画の中で中国大使は『彼らは幸せに暮らしている』と発言していますが、どうも私にはそうは見えません。

『嘘は大きいほどバレない』などと言いますが、地球規模での大嘘を覆い隠すことはできません、そしてそれを指摘しないのは同じ穴の貉と言われても仕方がないですし、気づかないままでいることも無関心と同義だと思います。
 あからさまな嘘をスルーすることは、その嘘で隠そうとした行為を許容するのと同義だと思うのです。

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