第117話 正義とは……

文字数 2,395文字

 あけましておめでとうございます。
 昨年世界を騒がせた最大の出来事はロシアによるウクライナ侵攻、それに異論をはさむ方はおそらくいらっしゃらないでしょう。
 私たち日本人も、単に『プーチンは悪いやつ』とか『ウクライナ可哀想』などという反射的な感想を持つだけでなく、そこからしっかりと学び、近い将来起こりうることを予測して対応策を練らねばなりません。

 昨年、岸田首相としては異例ともいえるスピード感を持って決まった、いわゆる『防衛増税』に関しては保守派からも左派からも非難の声が上がっています、かく言う私も反対ですが、反対するのは増税に関してのみです、実際、増税が決まった途端、後出しじゃんけんのように『埋蔵金』が出てきましたしね。
 ただし、保守派と左派の間では反対の意味合いが違っています。
 保守派からの反対はあくまで増税に対してだけです、私自身、防衛力増強に関しては『やっと腰を上げてくれたか』と思っています。
 岸田首相に関してはいろいろと批判的な私ですが、安部元首相ですらできなかった『防衛予算GDP比2%』を決断したことは評価して良いと思っています。
 対して、左派の反対は防衛力増強そのものに対するものです。
『やられたらやりかえす、それでは真の平和とはなりえない』というのはある意味正しいと思います、『地球上のすべての国が同じように考えるならば』という条件付きで。
 左派は憲法第9条を信奉して『一字一句変えてはならない』と主張しますが、地球上のすべての国が同様の憲法を定めるのでなければ、それはお題目に過ぎないと私は考えています。
 日本の周辺に目を向けてみましょう。
 北朝鮮はどうですか? しばしば日本海にミサイルを撃ち込んできますよね、日本のEEZ内に撃ち込んでくることもありますし、日本の上空を超えて太平洋に撃ち込んできたことすらありました。
 核に関しても不透明な部分はありますが、保有していると考えるべきでしょう、車の運転でもそうじゃないですか、『~ないだろう』ではなく『~かもしれない』と考えてハンドルを握らなければ危険は回避できません。
 韓国にだって無警戒ではいられません、何しろ反日を国是とし、小学生に反日感情を刷り込む教育すら施している国です、事実竹島は実効支配されたままです。
 ロシアも不気味ではあります、今はかなり疲弊しているでしょうからしばらくは動きそうにはありませんが、もともと北方領土問題がある国ですしね。
 やはり一番の脅威となるのは中国でしょう、核を保有していますし通常戦力でも日本を凌駕しています。
 しかも現在の指導者は独裁体制を固めていて、台湾統合に並々ならぬ意欲を示しています、もし台湾を手に入れたら次は間違いなく尖閣諸島、そして沖縄に手を伸ばしてくるだろうと私は考えています。
 荒唐無稽に聞こえるかもしれませんが、中国の最終目標は世界征服なのだと考えています、『中華』というのは『世界の真ん中に咲いた大輪の華』という意味、日本を手中にしてその経済力、技術力を手に入れれば世界征服をぐっと手元に引き寄せることができますよね。

 これは元防衛大臣政務官の山田宏氏の言葉ですが。
『アメリカが来て力の差が逆転するなら来るでしょう、しかしアメリカが全力で日本を守るでしょうか?』
『正義というものは対等なもの同士の間でのみ通用する論理です』
 どうです? 私はその通りだと思います。
 アメリカはウクライナを全力で守りましたか? してませんよね。
 普通に考えて、現在のアメリカとロシアの戦力差は歴然としていると思います、両国の軍事費/GDP比はアメリカ3.8%、ロシア4.1%と大差ありませんが、GDPそのものが4倍ほどの差があります、軍備の質にもだいぶ差がありますし。
 もしアメリカ軍が全力でウクライナ軍に加勢していたなら、とっくにロシアは撤退を余儀なくされたでしょうし、国そのものが大打撃を被っていたでしょう、でもそうはならなかった。
 それは当然でしょう、アメリカとてロシアという大国と事を荒立てたくはないのは当然です、互いに核保有国でもありますしね。
 かつて湾岸戦争でアメリカはイラクを叩きましたが、あの戦争は実質30分くらいで勝負はついていました、ハイテク兵器によるピンポイント爆撃で軍事拠点を一気に叩いて戦闘不能にしていまいました、その様子はTV中継までされて『これが今の戦争なのか』と驚かされた記憶があります。
 アメリカはイスラエルとの友好関係があり、イスラエルが存在することで中東への牽制になるというメリットもありましたから、アメリカはイラクを叩いたのでしょう、アメリカはしばしば正義を口にしますが、実際には自国のメリットにならないことはしたくないのが当然ですし、自国民を危険に晒すようなことはするはずもありません。
 もしアメリカが全力で加勢してくれるなら人民解放軍恐れるに足らずです、ですが実際は当てにはできません。
 アメリカによる『核の傘』というキーワードもしばしば目にしますが、相手国が核保有国ならば『日本が撃たれたら撃ち返してやる』なんてことを期待するほうが無理筋です、撃ち込んだら撃ち返されるのは目に見えているからです。
 そして、今現在、アメリカ経済にとってより重要なのは、日本と中国、どちらでしょう?
 アメリカは様々な点で中国を警戒していますから、日本が中国の手に落ちることは避けたいと考えるでしょうが、もし中国が日本を侵攻しようとすればすぐさま駆けつけてくれるとまでは期待しない方が自然でしょう。
 
 ですから、日本は中国をしても『手を出したら相応のしっぺ返しを食らうかもしれない』と思わせるくらいの防衛力は最低限度持たなければ国土を守れません。
 世界は『善い人』ばかりで構成されているわけではなく、力の論理こそが『正義』なのです、残念ながら。

 
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