第124話 レンポーVSピースボート

文字数 1,378文字

アナウンサー「さあ、本日のメインイベント60分一本勝負です、赤コーナーのレンポーは気合十分、首に筋を浮き上がらせて般若の形相、対するピースボートは人を食ったようなヘラヘラ笑いを浮かべて余裕の表情」
解説者「方向は真逆ですが挑発的であることにはどちらも引けを取りませんね」
ア「さあ、ゴングです、おっと、レンポーつっかけましたがピースボートが身をかわしました」
解「レンポーの気合を削ごうとする作戦かも知れませんね、ピースボート得意の戦法で、『二番じゃダメ』のレンポーには有効ですが、メインイベントでこれはいただけませんね」
ア「さあ、仕切り直し、今度は手四つに組んだ! おっと、ピースボート、得意の『ネコババ』です!」
解「相手の目を盗んで懐に引っ張り込む、直線的なレンポーには有効な技ですが、一歩間違うと自ら窮地に陥る危険な技でもあります」
ア「ピースボート、一旦懐に入れたレンポーをいなしました、ロープ際たたらを踏んで踏みとどまったレンポー、歯を剥いて向かって行きます」
解「得意の『カミツキ』ですね」
ア「反則技なのでは?」
解「なぜかレフェリーには見えないらしいですね」
ア「しかしピースボートそっぽを向いています、これはどうした?」
解「『しらばっくれ』ですね、レンポーの『カミツキ』に対抗して人を食ってかかっています」
ア「レンポー、ますます鬼の形相」
解「いけません、熱くなりすぎると術中に嵌ります」
ア「ピースボート、何か叫んでいます」
解「『セメントいてや』ですね、窮地に追い込まれた時に発する、相手の気合を逸らそうとする戦法ですね」
ア「しかしレンポー、それに構わずロープまで押し込んで行きます、ピースボート何やら叫びながらロープに腕をかけてこらえる!」
解「『へこたれへん』です、これが出ると暖簾に腕押し、柳に風、相手の力を受け流してしぶとさを発揮しますよ」
ア「レンポー、大きな口を開けて襲い掛かります、これは『カミツキ』か?」
解「いやいや、ピースボートに『カミツキ』は通じません、既に『煮ても焼いても食えない』を繰り出していますから」
ア「ピースボート!『ソーリソーリソーリ』と連呼!」
解「レンポーには分不相応な野望がありますからね、『ソーリソーリソーリ』は有効かも知れません」
ア「両者一旦離れました、おっと、ピースボート左腕をレンポーに見せつけています、力の誇示か?」
解「いやいや、入れ墨を見せつけて脅そうとしているんでしょう、前科一犯ですから」
ア「レンポー、『前科一犯』にひるんだか? 反対側のロープへ飛びました」
解「いや! これは必殺技『ブーメラン』です!」
ア「レンポー、ピースボートをロープに追い詰めた! おおっと! とうとう『カミツキ』が炸裂しました!」
解「レンポーにはこの二つしかありませんからね」
ア「もう一つ『ダブスタ』があるのでは?」
解「ですがそれは効きません、ピースボートもその使い手ですから」
ア「では『二重国籍』ならばどうでしょう?」
解「それもあまり効きません、同じ穴のムジナですから」
ア「おっと、両者もつれ合うようにリング下に転落だ! これは酷い、見るに堪えない泥試合になりました! レフェリーがゴングを要請! 今ゴングが連打されました、両者リングアウト、ノーコンテストです!」
解「『共倒れ』ですね……しかし、これが最良の結果なのかも知れません」
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