第１６話　正義のヒロイン

　あたしの名前はストーン・ノリダー。
　毎日毎日人種差別主義者や独裁者と闘っているの、そうよ、私は正義のヒロイン。
　人種差別主義には発言する権利もないわ、あたしがそう決めたんだからそれは絶対。
　だってあたしこそ正義なんだから。
　独裁者は憲法秩序を乱す存在よ、憲法をこよなく愛して大事に大事に守っているあたしとは相入れないわ、だからそれは悪、そうに決まってる。
　人種差別主義者や独裁者の定義ですって？
　そんなの必要ない、あたしがそうだと思ったらそうなの、異論は受け付けないわ。
　あたしの正義が日本の正義、あたしの正義からちょっとでも外れたらそれはもう正義じゃないわ、メロリン・タロウだって例外じゃない。
　あたしの仲間？　そうね、フォレスト・YOUがそうかしら、あたしの方がずっと美人だけどね。
　エリマキ・ブーメラン？　だめだめ、あの人顔が怖いもん。
　アニー・フリン？　あの人、いつかスキャンダルで潰れるわよ。
　セメントイテ・ピースボート？　論外よ、理由は……フフフ、わかるでしょう？
　あたしのボスはマットー・エダノン、だけどちょっと頼りないのよね、あたしが標的にされても助けてくれないんだもん、あんな頼りないボスは何時か押しのけてあたしがボスの座についてやるわよ、今に見てらっしゃい。

　誰も彼もみ～んなあたしの正義に従っていればいいの、そうに決まってる、だってあたしは絶対正義のヒロインなんだから。