第43話 事の発端

文字数 648文字

 まあ、あくまでも想像です、特定の国や施設を指すものではありませんが、こんなことがあったとしても不思議じゃないよな、くらいのことは考えてます。
 

「この動物たちはすぐに焼却処分しておくように」
「へぇ、わかりやした」
「いいか? 手袋とマスクだけではだめだ、防護服をしっかり着込んで作業しろよ、使った防護服もすぐに焼却処分だぞ」
「へぇ、仰る通りに」
「じゃ、頼んだぞ」
 
「まあ、何の実験か知らねぇけんども、可哀そうになぁ」
「だけんどよ、もったいねぇとは思わねぇか?」
「何が?」
「これ、食えるんじゃねぇか?」
「いやいや、おっとろしいばい菌持ってるんじゃねぇのか? 防護服を着て作業しろって言われたでねぇか」
「別にそうは見えねぇがなぁ」
「ばい菌なんて目には見えねぇもんだ」
「おら達は知ってるから気味悪く思うけんど、見ぬもの清しとも言うでねぇか」
「そうだなぁ……」
「どうせ煮たり焼いたりすんだ、料理しちまえばばい菌だって死ぬべ?」
「まあ、そうだなぁ」
「市場に持って行きゃ良い金になるべよ」
「そうさなぁ……そうすべぇか」
「そうすべぇ、そうすべぇ」
「だったらよ、防護服なんぞ着てちゃ売れねぇぞ」
「そうさな、でもよ、マスクと手袋くれぇはせにゃなんめぇ?」
「手袋は軍手でええべ、マスクは風邪気味だとか言やぁ別に怪しまれねぇべ」
「そだな、じゃ、そうすべぇ、そうすべぇ」

 この二人が世界を巻き込む大惨事の発端となることは、まだ誰も知らない……当の二人でさえも……。
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