第45話 転-15

文字数 516文字

 文はPCとは縁遠い生活を送っていたため、ホームページを開設するのは専らアキオが担っていた。彼もまた、若者とは言えどホームページ作成は初めての試みだったため、約束通りタクミの所へ通って基礎から応用デザインまで教えてもらっていた。
 彼にとって、思ったよりもグラフィックデザインが難しく、アトリエに時々泊まり込んでは、タクミとホームページ作成をしていた。タクミが教室を自分の生活スタイルに合わせてカスタマイズしていることもあってか、アトリエに泊まるのは思ったよりも心地よく、彼にとって難しいホームページ作成も苦ではなかった。なぜか、このアトリエは風呂トイレが完備してあった。
 タクミの技術が並外れていたおかげで、文のバーのホームページ作成の大半が一週間程度で終わってしまった。彼は、ほぼ完成したページを見ては感激していた。残りの細やかな調整は彼自身でできそうだと判断し、彼はタクミに焼き芋をたらふく奢った。これだけのことをしてもらったのに焼き芋だけで済むなんて安い男だと、彼は美味しそうに焼き芋を頬張るタクミを物珍しそうに眺めていた。ホームページの完成手前で喜んでいる二人を、ハルカは呆れたように一瞬見て、すぐに自分の作業に戻った。
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