第２３話　承－１７

　「私もね、最初はやりたいこともなりたいものも無かった。だけど、このおじいちゃんのおかげで今の私がある。私は、昔の自分を見ているようであの時のアキオをどうにかしてあげたいと思った。アキオにとって私はあのおじいちゃんのような存在になりたいと思えた。だから私は、アキオの面倒を見る。たとえどれだけ時間がかかってもいい。生き甲斐を見つけて、それを達成してほしい。ただそれだけなんだよ」
　アキオは文の本音と過去に絶句した。彼女の本当の姿はやはり、バーテンダーの時の格好良い姿なのだと思い知らされた。彼女の凛々しい姿に憧れを抱くと共に、彼の今後を思うと何も進展していない現状に失望する彼であった。