第19話 承-13

文字数 413文字

 アキオはアルバイトらしく文のバーで週3回働くようにした。残りの時間は好きなことを見つける時間に充てろと彼女が言うのである。彼の中で大きな変化をもたらした彼女のバーでのアルバイト。彼はあの日から、自分がどうしていきたいのかしっかり見つめ直していかなければならないと思い、大学で使わなくなったノートに自分に必要なものリストを作ってみた。
 しかし、彼のノートには必要なものは彼女以外なく、必要でないもののリストばかり増えていた。そして、彼の中でずっと閊えていたわだかまりの正体が見えてしまった。
 彼は大学のノートをまじまじと見つめた。
 「……大学、要らないや……」
 大してやりたいことも目標もなく、周りが進学するから入っただけの、名前だけの大学に彼は果たして通う意味があるのだろうかと考えた。そんなに心地よいとも思わない空間にいて疲弊するくらいなら、少しでも早く没頭できる何かに出会って、潔く死んでしまいたいと彼は思った。
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