第24話 承-18
文字数 1,539文字
文の過去を知ってから数日。アキオは相変わらず、バーでのアルバイトをただ楽しみながら一日一日を過ごしていた。この日はバーの店休日だった。彼女は彼の仕事ぶりを見て仕事道具について少し教えておこうと思った。
「アキオ、最近バイト頑張っているな」
「ありがとうございます!」
「少しお酒作ってみたくないか?」
「うん。だけど、僕、お酒の作り方、何も知らないよ」
「今から教えてやるさ」
そうして彼女はキッチンの棚から金属器具とグラスをいくつか持ってきた。そうして彼女は右から金属器具はメジャーカップ、シェーカー、バースプーン、ストレーナー、スクイーザーだと教え、次いでグラスをミキシンググラス、カクテルグラス、トールグラスオールドファッショングラスと紹介した。彼にとってすべて初耳の器具やグラスで目が回りそうだった。
そんな彼の様子を見て彼女はゆっくりそれぞれに説明を加えた。メジャーカップは砂時計のような見た目で小さいほうが30ml、大きい方が45mlのカクテルを作るとき用の計量カップのこと。シェーカーは、バーテンダーがシャカシャカ振っているイメージのもので、材料を撹拌するためのもの。バースプーンは小さなスプーンがついていて氷やお酒を混ぜる(ステア)するためのもの。ストレーナーは、氷だけを取り除いてカクテルをグラスに注ぐための器具。スクイーザーはレモンやライムなどの果汁を絞るための器具のこと。
「いったん器具の説明は終わりだ。次はグラスについて説明するからついてこれるか?」
「OK」
ミキシンググラスは、シェイクする必要のないカクテルの材料を入れてステアするためのグラス。カクテルグラスはカクテルを注ぐためのグラスだが、背丈が短い逆三角形のグラスはショートカクテル用のグラスでアルコール度数が高いカクテルに用いられる。トールグラスは、主に炭酸水やジュースを用いたカクテルに使用される。オールドファッショングラスは、口が広く背が高いグラスで、ロックや水割りを飲んだりするのに使われる。
「それで、よく使われるお酒っていうのがあって、実際に飲んでみるか」
彼女はそっちがメインだったというばかりにごっそり酒瓶を持ってきた。
「左からジン、ウォッカ、テキーラ、ラム、ウイスキー、ブランデーだ」
Tシャツ一枚のバーテンダーからかけ離れた格好をした彼女は、バーテンダーらしく氷をグラスでステアし、ウイスキーをトクトクと注いだ。
「大学生なら大抵のこのお酒は飲んだことあるだろう。だが、大人の嗜み方はウイスキーにあるんだ」
ニマっと笑った彼女は五つのグラスを彼の前に差し出した。
「この違い何か分かるかな?」
彼は一つずつちまちまとそれぞれのウイスキーを飲んだ。しかし、あまりお酒を飲まない彼は何が違うかなんて到底分かるはずもなく訝しげに首を傾げることしかできなかった。
「……味が違う」
自信なく彼は呟いた。
「あはは。当たらずとも遠からず、といったところだね」
彼女は彼の子供じみた反応を面白がった。
「いいか、このウイスキーたちは主に産地と原料が違う。そして、今回は産地で分けてみた。左からスコットランド産のスコッチ、アメリカ産のアメリカン、カナダ産のカナディアン、アイルランド産のアイリッシュ、日本産のジャパニーズだ」
「国が違うだけでこんなにも味が違うんだね」
「正確に言うとそれはちょっと違うけど、癖の有無はだいぶん違ってくるね」
彼は、これからのアルバイトに活かせるように記憶が飛ばないうちにメモに書き留めておいた。
彼女は酒豪だ。休みの日というのもあり、彼女はお酒の勉強だと言ってその日、彼は潰れるまで飲まされた。
「アキオ、最近バイト頑張っているな」
「ありがとうございます!」
「少しお酒作ってみたくないか?」
「うん。だけど、僕、お酒の作り方、何も知らないよ」
「今から教えてやるさ」
そうして彼女はキッチンの棚から金属器具とグラスをいくつか持ってきた。そうして彼女は右から金属器具はメジャーカップ、シェーカー、バースプーン、ストレーナー、スクイーザーだと教え、次いでグラスをミキシンググラス、カクテルグラス、トールグラスオールドファッショングラスと紹介した。彼にとってすべて初耳の器具やグラスで目が回りそうだった。
そんな彼の様子を見て彼女はゆっくりそれぞれに説明を加えた。メジャーカップは砂時計のような見た目で小さいほうが30ml、大きい方が45mlのカクテルを作るとき用の計量カップのこと。シェーカーは、バーテンダーがシャカシャカ振っているイメージのもので、材料を撹拌するためのもの。バースプーンは小さなスプーンがついていて氷やお酒を混ぜる(ステア)するためのもの。ストレーナーは、氷だけを取り除いてカクテルをグラスに注ぐための器具。スクイーザーはレモンやライムなどの果汁を絞るための器具のこと。
「いったん器具の説明は終わりだ。次はグラスについて説明するからついてこれるか?」
「OK」
ミキシンググラスは、シェイクする必要のないカクテルの材料を入れてステアするためのグラス。カクテルグラスはカクテルを注ぐためのグラスだが、背丈が短い逆三角形のグラスはショートカクテル用のグラスでアルコール度数が高いカクテルに用いられる。トールグラスは、主に炭酸水やジュースを用いたカクテルに使用される。オールドファッショングラスは、口が広く背が高いグラスで、ロックや水割りを飲んだりするのに使われる。
「それで、よく使われるお酒っていうのがあって、実際に飲んでみるか」
彼女はそっちがメインだったというばかりにごっそり酒瓶を持ってきた。
「左からジン、ウォッカ、テキーラ、ラム、ウイスキー、ブランデーだ」
Tシャツ一枚のバーテンダーからかけ離れた格好をした彼女は、バーテンダーらしく氷をグラスでステアし、ウイスキーをトクトクと注いだ。
「大学生なら大抵のこのお酒は飲んだことあるだろう。だが、大人の嗜み方はウイスキーにあるんだ」
ニマっと笑った彼女は五つのグラスを彼の前に差し出した。
「この違い何か分かるかな?」
彼は一つずつちまちまとそれぞれのウイスキーを飲んだ。しかし、あまりお酒を飲まない彼は何が違うかなんて到底分かるはずもなく訝しげに首を傾げることしかできなかった。
「……味が違う」
自信なく彼は呟いた。
「あはは。当たらずとも遠からず、といったところだね」
彼女は彼の子供じみた反応を面白がった。
「いいか、このウイスキーたちは主に産地と原料が違う。そして、今回は産地で分けてみた。左からスコットランド産のスコッチ、アメリカ産のアメリカン、カナダ産のカナディアン、アイルランド産のアイリッシュ、日本産のジャパニーズだ」
「国が違うだけでこんなにも味が違うんだね」
「正確に言うとそれはちょっと違うけど、癖の有無はだいぶん違ってくるね」
彼は、これからのアルバイトに活かせるように記憶が飛ばないうちにメモに書き留めておいた。
彼女は酒豪だ。休みの日というのもあり、彼女はお酒の勉強だと言ってその日、彼は潰れるまで飲まされた。