第28話 承-22
文字数 558文字
アキオは満足げな顔をして展覧会を後にした。手土産に、ヒマワリのポスターカードを買っていた。昔は汚かった、今では整然とした文の部屋に彩りでも取り入れるためにそのポスターカードを飾ろうと彼は思っていた。
「ねぇ、疲れたんだけど。ちょっとあそこで休憩していかない?」
「何、ホテルで休もう見たいな風に言ってるんだよ。喫茶店に行こうとか言えないのかな……」
「あ、ちょっと呆れたでしょ。いいよ、どうせ冗談が通じないんでしょ」
文はふいと先に、帰りの喫茶店に入った。彼女は甘い飲み物が苦手だ。だから、いつもブラックコーヒーを頼む。そのせいか、彼の頼む飲み物がお子様のように見える。彼はコーヒーが苦手だ。なので、いつもミルクティーを頼む。彼はこれまで気にしてこなかったが、彼女といて初めて自分が子供じみていると感じた。
「そういえば、アキオはいつから絵が好きだったの?」
「うーん、正確には覚えていないけど、もの心ついた時からかなぁ」
「じゃあ、今通っている大学は美術系?」
「いや、文学部。ほとんど絵は関係ないよ。昔、両親に美術に進むことを反対されてからずっと諦めてきたんだ」
「そっか」
彼女はこれ以上彼に踏み込んで聞けないと判断して、会話をやめた。それからは他愛のない話をして、その喫茶店を後にした。
「ねぇ、疲れたんだけど。ちょっとあそこで休憩していかない?」
「何、ホテルで休もう見たいな風に言ってるんだよ。喫茶店に行こうとか言えないのかな……」
「あ、ちょっと呆れたでしょ。いいよ、どうせ冗談が通じないんでしょ」
文はふいと先に、帰りの喫茶店に入った。彼女は甘い飲み物が苦手だ。だから、いつもブラックコーヒーを頼む。そのせいか、彼の頼む飲み物がお子様のように見える。彼はコーヒーが苦手だ。なので、いつもミルクティーを頼む。彼はこれまで気にしてこなかったが、彼女といて初めて自分が子供じみていると感じた。
「そういえば、アキオはいつから絵が好きだったの?」
「うーん、正確には覚えていないけど、もの心ついた時からかなぁ」
「じゃあ、今通っている大学は美術系?」
「いや、文学部。ほとんど絵は関係ないよ。昔、両親に美術に進むことを反対されてからずっと諦めてきたんだ」
「そっか」
彼女はこれ以上彼に踏み込んで聞けないと判断して、会話をやめた。それからは他愛のない話をして、その喫茶店を後にした。