第44話 転-14
文字数 737文字
「文さん!」
ちょうど出勤する彼女をアキオは呼び止めた。
「どうしたんだ、そんな大きな荷物を持って」
彼女は目を丸くして彼の手元の荷物を指さす。
「これ、文さんの店の看板作ってきたんだ。これまでお店に看板がなくて、ここがバーだとは分からなかった人もいるだろうし。もし、よかったら使ってよ」
彼女は彼の心遣いに泣きそうになった。これまで彼がちょくちょく外出をしていた理由がこの看板製作だということが分かって、彼女は、自分のために彼がここまでしてくれることが嬉しかった。
「当たり前だ!ありがたく使わさせてもらうよ」
彼女は、少し鼻声で彼に感謝した。彼女は彼と二人で入り口の柱に、シンプルだが大胆に「響」と、彼女の店の名前が刻まれた看板を取り付けた。彼女の店名は、亡くなったおじいちゃんの名前を付けている。
彼女は看板を取り付け終わったら、誇らしげにおじいちゃんに向けて呟いた。
「おじいちゃん、アキオが私に看板作ってくれたんだ。かっこいいだろ。宝物がより一層輝いたよ」
そして彼女はそっと看板の「響」という文字をなぞった。
彼女が仕事から上がって一寝入りして目を覚ますと、彼は、ホームページの提案を彼女にした。
「ホームページなんて面倒なこと何で私が……」
「この前のおばさんが経営が上手くいっていないって話していたじゃん。今、新規の顧客を捕まえるためには、お店の情報を自分たちから発信していかなきゃだめだと思うんだ」
「まぁ、一理ある……でも、アキオが経営状況なんて気にする必要ない」
「僕も、文さんと一緒で、この店を失くしたくないんだ。だから、ホームページでお店をアピールしていこう」
彼の熱意に、彼女は渋々彼の提案に賛同することにした。
ちょうど出勤する彼女をアキオは呼び止めた。
「どうしたんだ、そんな大きな荷物を持って」
彼女は目を丸くして彼の手元の荷物を指さす。
「これ、文さんの店の看板作ってきたんだ。これまでお店に看板がなくて、ここがバーだとは分からなかった人もいるだろうし。もし、よかったら使ってよ」
彼女は彼の心遣いに泣きそうになった。これまで彼がちょくちょく外出をしていた理由がこの看板製作だということが分かって、彼女は、自分のために彼がここまでしてくれることが嬉しかった。
「当たり前だ!ありがたく使わさせてもらうよ」
彼女は、少し鼻声で彼に感謝した。彼女は彼と二人で入り口の柱に、シンプルだが大胆に「響」と、彼女の店の名前が刻まれた看板を取り付けた。彼女の店名は、亡くなったおじいちゃんの名前を付けている。
彼女は看板を取り付け終わったら、誇らしげにおじいちゃんに向けて呟いた。
「おじいちゃん、アキオが私に看板作ってくれたんだ。かっこいいだろ。宝物がより一層輝いたよ」
そして彼女はそっと看板の「響」という文字をなぞった。
彼女が仕事から上がって一寝入りして目を覚ますと、彼は、ホームページの提案を彼女にした。
「ホームページなんて面倒なこと何で私が……」
「この前のおばさんが経営が上手くいっていないって話していたじゃん。今、新規の顧客を捕まえるためには、お店の情報を自分たちから発信していかなきゃだめだと思うんだ」
「まぁ、一理ある……でも、アキオが経営状況なんて気にする必要ない」
「僕も、文さんと一緒で、この店を失くしたくないんだ。だから、ホームページでお店をアピールしていこう」
彼の熱意に、彼女は渋々彼の提案に賛同することにした。