第20話 承-14

文字数 394文字

 思い立ってからは彼の行動は早かった。要らないものリストに「大学」という文字を書いてから一週間も経たないうちに彼は、自身の通う大学の事務室に退学届けを貰いに行った。そして、文が仕事に行っているうちに必要事項を記入し、そっと封筒に入れて彼女にはまだ見つからないようにしておいた。ただ、彼女には心配をかけたくなかっただけなのだが。
 記入した翌日、彼は学校に行くフリをして封筒をポストに投函しに行った。そして、その帰り道に、実家の付近を散策してみた。何か、今後の手掛かりになることはないか必死に探した。しかし、幼少期のトラウマが大きいせいか何一つ小学校までの記憶が戻ってこなかった。彼は、疲れて近くの公園のベンチに座って休むことにした。
 そこの公園には小さな池があった。何故かは分からないが少し懐かしく感じた。昔ここで何かしていたのだろうか、覚えてはいないが彼はデジャブ感を拭えないでいた。
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