第38話 転-8
文字数 1,281文字
連勤も終わり、アキオは三人の常連客から貰ったそれぞれの意見をまとめていた。そこで彼は、看板とホームページを作ることを思いついた。とはいうものの、何から手を付けていいか分からず、彼は兎に角、デザインを学びたかった。
これまでとは違って彼は自分で美術教室やアトリエを調べて。いくつか雰囲気を見て見ることにした。三連勤したから彼は、しばらく文からアルバイトの休みを取らせてもらい、気になる所を一つ一つ、その連休の中で回ってみることにした。
散策している中で一つ彼の目を惹くアトリエがあった。それは文のアパートのある町から二駅はなれた所にあり、ひっそりと存在していた。全体が草木で覆われており、入り口は一目見ただけでは分からなかった。茂みを掻き分けると、レンガ造りの階段があって、そこを下ると木目調のドアが建てつけられてある。彼は、恐る恐るその扉を開けた。
「失礼します……」
「はーい、どなた?」
「あ、初めまして、僕、アキオというんですけど、ここに興味があって来ました……」
「そうなんだ。あ、適当に座って!」
気さくに彼を案内をしたのは、高身長で彼より少し年上に見える柔和な顔つきをした男性だった。その奥にはぶっきらぼうな態度の青年と、個性的な服装を身にまとった少女がいた。彼らの名前はそれぞれユウタ、タクミ、ハルカといった。
「それじゃぁ、このアトリエkakuregaについて少し説明していくね」
「はい」
このアトリエは基本的に三人でお互いに切磋琢磨しながら各々の作品を創り上げていくスタイルをとっている。また、毎月7日の月1回、美術大学出身の先生が訪れて、絵の指導をしてくれる。基本的にジャンルは問わず、それぞれ好きなように作品を創って、年1回、開催できるようだったら展示会みたいなものを開いているらしい。
「アキオはどうしてここに来たの?」
「僕、ある店の看板とホームページをどうしても作りたくて。でも、デザインの仕方とか全く何も知らないから学びたいと思っているんです。それで、ここを見つけました」
彼はただ、彼女の店を守りたい、彼女をあのバーと心中させたくないという気持ちが溢れて、上手く説明ができなかった。
「デザインはたぶん、自分で作品を創っていくうちに定着していくと思う。その、君を動かす気持ちがエネルギーになってくれるんじゃないかな。僕たちは、お互いに手を差し伸べながら作品を創っていく。今の君が一番求めている基本の知識を得たいのなら来月の7日に必ず来るといいよ。先生がアドバイスしてくれる」
「僕を、ここの仲間にしてもらえませんか。きっと、僕一人の力だけでは不十分すぎる……どうしても創り上げたいものがあるんです」
「それなら是非、うちへようこそ」
このアトリエは入会費が5000円で、あとはどれだけ通っても月会費が500円(別途材料費)だった。彼は、迷いなく入会した。これまで足を運んだ教室の中で、ここだけ違った空気を感じた。彼は何も用意することなく、足を運んでしまったため、この日は一先ず帰ることにした。
これまでとは違って彼は自分で美術教室やアトリエを調べて。いくつか雰囲気を見て見ることにした。三連勤したから彼は、しばらく文からアルバイトの休みを取らせてもらい、気になる所を一つ一つ、その連休の中で回ってみることにした。
散策している中で一つ彼の目を惹くアトリエがあった。それは文のアパートのある町から二駅はなれた所にあり、ひっそりと存在していた。全体が草木で覆われており、入り口は一目見ただけでは分からなかった。茂みを掻き分けると、レンガ造りの階段があって、そこを下ると木目調のドアが建てつけられてある。彼は、恐る恐るその扉を開けた。
「失礼します……」
「はーい、どなた?」
「あ、初めまして、僕、アキオというんですけど、ここに興味があって来ました……」
「そうなんだ。あ、適当に座って!」
気さくに彼を案内をしたのは、高身長で彼より少し年上に見える柔和な顔つきをした男性だった。その奥にはぶっきらぼうな態度の青年と、個性的な服装を身にまとった少女がいた。彼らの名前はそれぞれユウタ、タクミ、ハルカといった。
「それじゃぁ、このアトリエkakuregaについて少し説明していくね」
「はい」
このアトリエは基本的に三人でお互いに切磋琢磨しながら各々の作品を創り上げていくスタイルをとっている。また、毎月7日の月1回、美術大学出身の先生が訪れて、絵の指導をしてくれる。基本的にジャンルは問わず、それぞれ好きなように作品を創って、年1回、開催できるようだったら展示会みたいなものを開いているらしい。
「アキオはどうしてここに来たの?」
「僕、ある店の看板とホームページをどうしても作りたくて。でも、デザインの仕方とか全く何も知らないから学びたいと思っているんです。それで、ここを見つけました」
彼はただ、彼女の店を守りたい、彼女をあのバーと心中させたくないという気持ちが溢れて、上手く説明ができなかった。
「デザインはたぶん、自分で作品を創っていくうちに定着していくと思う。その、君を動かす気持ちがエネルギーになってくれるんじゃないかな。僕たちは、お互いに手を差し伸べながら作品を創っていく。今の君が一番求めている基本の知識を得たいのなら来月の7日に必ず来るといいよ。先生がアドバイスしてくれる」
「僕を、ここの仲間にしてもらえませんか。きっと、僕一人の力だけでは不十分すぎる……どうしても創り上げたいものがあるんです」
「それなら是非、うちへようこそ」
このアトリエは入会費が5000円で、あとはどれだけ通っても月会費が500円(別途材料費)だった。彼は、迷いなく入会した。これまで足を運んだ教室の中で、ここだけ違った空気を感じた。彼は何も用意することなく、足を運んでしまったため、この日は一先ず帰ることにした。