第6話  N.86、未知なるものは、 その⓺。終。

文字数 5,952文字

Q: Obstacles to what?
障害?...なんに対しての?...。

M: To self-forgetting.
(自己忘却?)
自分を忘れてしまうことに対してだ。
本当に懐にある、あなた自身を見失ってしまうことだ。
何かの思い/イメージ/感情にとらわれて、それと完全に同一化してしまうことだ。

Q: If worship and prayers are ineffectual why do you worship daily,
もし礼拝や祈りが十分でないのなら、何故あなたは日々礼拝を行うのですか?

with songs and music, the image of your Guru!
歌や音楽も供され、あなたの師の写真に対して!。

M: Those who want it, do it.
求める人々がいて、やっているだけだ。
I see no purpose in interfering.
その邪魔をする断る理由は、私には見当たらない。

Q: But you take part in it.
しかしあなたもそれに参加されてますよね。

M: Yes, it appears so.
そうだ。そうしている。

But why be so concerned with me?
しかし何故それほどまでに、私(のやること)にこだわるのかね?

Give all your attention to the question:
あなたの全注意を、この質問に合わせなさい:

‘What is it that makes me conscious?’,
『何が私を意識的にするのか?』これに...。

*(私の意識をハッキリとさせるものは何なのか?)

until your mind becomes the question itself and cannot think of anything else.
あなたのマインドがこの問いそのものとなるまで。
そして、他の何も考えることができなくなるまで。

Q: All and sundry are urging me to meditate.
ほぼ全員が、私に瞑想することを促してきます。

I find no zest in meditation, but I am interested in many other things;
(実は)私は瞑想にはあまり関心が持てないのです。もっと他のことに関心があるのです。

some I want very much and my mind goes to them;
そっちの方をたくさんやりたいし、私の心はそれらに向かってしまいます。

my attempts at meditation are so half-hearted.
瞑想における私の努力は、心半分といったところでしょうか...。

What am I to do?
私はどうすればいいでしょうか?

M: Ask yourself: ‘To whom it all happens?’
自己に尋ねてみなさい。いったい誰に「すべては起こっているのか?」を。

Use everything as an opportunity to go within.
あらゆることを、内に分け入る為の「機会」として利用しなさい。

Light your way by burning up obstacles in the intensity of awareness.
障害を焼き尽くすことによって、あなたの道を照らしだすのだ。
強烈な/最高強度の[認知/気づきの/認識]。
これの最中に起こる(自覚される)明晰性によって。

When you happen to desire or fear, it is not the desire or fear that are wrong and must go,
あなたは時に何かを強く欲しいと願う。もしくは何かをひどく恐れる、
この時の、これら欲望や恐怖は、別に間違ったものでもないし、
また去らさねばならないものでもない。

but the person who desires and fears.
しかし、求め、恐れている「The 個人」は(別だ)。これは去らさねばならない。

There is no point in fighting desires and fears
欲求や恐れと戦うことにポイントはない。

which may be perfectly natural and justified;
それらは完璧に自然なこと、もっともなことなのだろう。

It is the person, who is swayed by them, that is the cause of mistakes, past and future.
ポイントとされるべきものは、「The 個人」なのだ。
欲望と恐れに揺り動かされれ、統治されてしまっている「それこそ」なのだ。
過ちの原因なのだ...。過去において、また未来においても...。

The person should be carefully examined and its falseness seen;
「The 個人」(人格/エゴ/ペルソナ)は、注意深く、[調査/審査/考察]され、
それの[間違い/不正/不誠実/虚偽]が、(意識の光もて)知られなければならない。

then its power over you will end.
そうすれば、それがあなたに及ぼす影響力は終焉することとなる。

After all, it subsides each time you go to sleep.
ともかくにもだ...あなたが毎度眠りに入れば、それは鳴りを潜める。

In deep sleep you are not a self-conscious person, yet you are alive.
深い眠りにあるとき、あなたに自意識はない。
だが、あなたは生きてはいるではないか...。

When you are alive and conscious, but no longer self-conscious, you are not a person anymore.
あなたが生きて、意識的であるとき、されど、もはや自己を(あまり)意識していない...、
(こうなれば)、あなたは、もう「一個人」とは呼べないものなのだ。

During the waking hours you are, as if, on the stage, playing a role,
but what are you when the play is over?
あなたが目覚めて、起きて、生活している間の時間...、それは、まるで、ステージの上で
決められた筋書きに沿って/従っての役割を、(ただ)演じているかのようではないか。
しかしだ...、この劇の幕がおりたなら、あなたのは存在は何となるのだろうか?。

You are what you are;
あなたは、あなたとして(元々から) ”いる” 存在なのだ。
*(真実の自己は何の条件付けもされない生命もて、ただ存在するだけのもの。)

what you were before the play began you remain when it is over.
劇の始まる前の「あなたであったもの」...、その「あなた」は、劇がすんでも残る。

Look at yourself as performing on the stage of life.
人生のステージ上での演技を行なっているあなた自身を、よく見てみなさい(*)。

The performance may be splendid or clumsy, but you are not in it,
その演技は素晴らしいものかもしれない、もしくは下手くそなものかもしれない。
だが、(真実の)あなたは、その(演技そのものの)中にはいないのだ。

you merely watch it; with interest and sympathy, of course,
あなたはだた観ているだけ(*)。 関心と共感をもって。これは当然の話だ。

but keeping in mind all the time that you are only watching while the play-- life -- is going on.
しかし絶えず覚えておきなさい。あなたは、ただ観ているだけ、なのだと。
この劇が..つまりは人生が続いているあいだ...。

*介入:
現実には、この分離はありませんので、なので見れません。大部は、無意識/無自覚に、
プログラムのまま、生きているから。真実のあなたがいないのは、これと完全に同一化して
しまっているから。そんな事実にさえ気づいていない。気づけれない。なので、観ること、
知ること自体が、最初は不可能/無理/なんのこっちゃでしかない。本質としての自己、
関心と共感をよせてくれるあなたも、実は、意識下に埋没しきってしまっている。
よって、彼のここでの表現も、単なる修辞にしかならない方も出てくる...。
(本質が)観てても、何の意思伝達も表示も表層へは通りません。

とにかく、マハラジ の忠告である「よく見てみなさい」は、切っ掛けなのだ。
ほんの小さな楔。契機とすべきもの。
気になって、心に刺さって触れて、忘れられない指摘...これだけでいい...。

また違う次元の話を、この設定に持ち込んどきたい:
人生のあらゆる局面において、自分がその時/その状況において、最適なる、相応しいと
思われる ”役” を自覚的に行えるようにならなければならない。自然と与えられている
ロール(役割)に、よく気づいて、よくわきまえ

ようになって。
これは肯定的な意味における演技である。その場を活かすべく、名優として行う。

例)単に誰かが賞賛されるべきと感じ、誰も何も言わないのなら、

なのだ。
コートに舞い転がるプラごみに誰かが気づいて誰も動かないのなら、

なのだ。
変におしゃれな服着てきいっててしまい冷やかされたのなら、むしろ、返ってカッコつけて、
さらなる印象を演出して、”引きかけている” 皆から笑いを取るのだ(w)。
要点から外れていってしまいそうなのでもうやめる...。

これは、こういったことは、完成された、自立した個人にしかできないこと。
真に存在している人間にしかできないことである。肯定的な意味での演技も必要/大切なのだ。
ただし、演技であるとの自覚を忘れてはいけない。
*介入オスマイ。

Q: You are always stressing the cognition aspect of reality.
マハラジ 、あなたは、いつも、現実なるものの認識に重きを置かれています。
それは、多くの切り口をもった、多様性においてです...。

You hardly ever mention affection, and will -- never?
あなたは、ほどんど愛情や意思については語らない。一度たりともですか?

M: Will, affection, bliss, striving and enjoying are so deeply tainted
with the personal, that they cannot be trusted.

意思、愛情、無上の喜び、励むこと、そして楽しむこと。
こういったものは、[個人/人格/エゴ]に、根深く染まって/汚されてしまっているのだ。
なので、それらに信頼を置くことはできない。

The clarification and purification needed at the very start of the journey, only awareness can give.
(特別な意味における)浄化と純化がまず必要なのだ。”行程”の、ごく最初に、
ただ(自覚された)気づきのみが、これを与えることができる。

Love and will shall have their turn, but the ground must be prepared.
愛や、意思なるものの出番はやがてまわってくる。しかし、まずは、土俵の準備が必要なのだ。

The sun of awareness must rise first -- all else will follow.
自覚の太陽がまず最初に昇らなければならないーーすべては、その後を従う。



補記:



Re: Light your way by burning up obstacles in the intensity of awareness.
障害を焼き尽くすことによってあなたの道を照らすのだ。
〈強烈な/最高強度の〉自覚の明晰性による、認知の/気づきの/認識の中で。


なんか困ったことがあったなら、「どうしようか?」こうしようか?」で色々と悩む。
こういった時が「チャンスなのだよ」と。こういう状況下になってこそ、初めて、
内面で、語り出す/蠢き出す/動き出す/顕在化してくる思念や情動といったものがある。
こいつらを捉える/認知する/気づく/見定めることができるのは、この時



確執葛藤の最中に、変な努力、作為的な努力をするに等しい...。
新たな苦しみを背負うことになるが、このことが

を招きよせることとなる。
未知なる認知が起こる。突如、何処から知れぬところから飛来する。
思ってもみなかった洞察が起こり、このことによって何故か心が治る。

感情と同一化してしまっていて、最初はできようわけがない。
でも、ここにあることを覚えておくだけでもいい...。
繰り返しの中で、少しづつ何かが進行してゆく。
何かが堆積してゆく。
やがてに、より明晰に、明確になり、そして理解が結晶化する。  


*弁証法における第三項によるアウフヘーベンと同じ展開であると自分は考えてる。


 
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