第45話 Phase44
文字数 1,054文字
「俊、遅くなってごめん。飲み物切らしちゃってて……氷いれたから冷たいとは思うんだけど」
戻ってきた蒼は、なぜか立ち上がっている俊と侑里を見て首を傾げる。
「……何してたの?」
「ちょっと話を」
「そうそう。蒼の友達がどんな人か気になって」
「立ったまま?」
「さっきまで座ってたから」
そう言いながら、俊は慌てたように座り直した。蒼はいぶかしげな顔をしながらもその前にコップを置いた。
「私、自分の部屋で飲む。コップちょうだい」
「え? それなら自分で行けばよかったのに……はい」
蒼は文句を言いながらも素直にコップを渡した。
「ありがとね、蒼」
仕方なさそうに息をつく蒼は、優しく笑っていた。
「それで? 本当は、何話してたの?」
「別に、何でもないことだよ。なんで蒼と友達になったかとか」
「へえ、そんなこと話してたの? 侑里が僕のことに気づいていることじゃなくて?」
蒼の言葉に、俊は声を詰まらせた。
「もしかして、聞いて……」
「飲み物持ってくるだけにしては、僕が戻ってくるの遅かったと思うけど。二人とも真剣に話してるから入りにくくて……」
蒼は俊の目の前に座り直す。
「でも、嬉しかったよ。味方でいてくれるってわかったから」
「友達の味方でいたいと思うのは当然だろ」
俊はギュッと手を握り締めた。
「家族に味方がいるとは限らないって知ってるから。でも、信じて味方でいてくれる人はいてほしいだろ。俺にとってはそれが蒼で、俺もそうなりたいって思えた」
「な、なんか恥ずかしいね……」
蒼はぱっと目を逸らした。俊も急に耳の温度が上がった気がした。
「恥ずかしいけど……俊の味方だからね、僕」
蒼は頬を染めながら笑った。
「そ、そういえば、蒼の妹がいるけど練習するのか?」
「あー……そうだね、侑里いるし、今日はやめておこうかな。いい?」
「俺は構わないけど。練習中の歌聴かれるのは、なんか恥ずかしいからな」
だよね、と蒼は笑った。
「蒼、さっき俺、蒼の妹に学校祭見に来て、みたいなこと言ったけど言ってよかったか? その、蒼は秘密にしているみたいだから、学校祭に来られたらわかるだろ」
「いいよ。もともと、僕も今年は見に来てって言うつもりだったから」
「それって……」
俊は驚いて蒼を見た。蒼は俊の言いたいことを察したように、静かにうなずいた。
「やっぱり、本当の自分を見てほしい。知ってほしい。受け入れてもらえるかはわからないけど」
蒼の目は覚悟にあふれていた。俊にもその気迫が伝わる。俊は心に何かが湧き上がるのを感じながら、蒼の目を見てうなずいた。
戻ってきた蒼は、なぜか立ち上がっている俊と侑里を見て首を傾げる。
「……何してたの?」
「ちょっと話を」
「そうそう。蒼の友達がどんな人か気になって」
「立ったまま?」
「さっきまで座ってたから」
そう言いながら、俊は慌てたように座り直した。蒼はいぶかしげな顔をしながらもその前にコップを置いた。
「私、自分の部屋で飲む。コップちょうだい」
「え? それなら自分で行けばよかったのに……はい」
蒼は文句を言いながらも素直にコップを渡した。
「ありがとね、蒼」
仕方なさそうに息をつく蒼は、優しく笑っていた。
「それで? 本当は、何話してたの?」
「別に、何でもないことだよ。なんで蒼と友達になったかとか」
「へえ、そんなこと話してたの? 侑里が僕のことに気づいていることじゃなくて?」
蒼の言葉に、俊は声を詰まらせた。
「もしかして、聞いて……」
「飲み物持ってくるだけにしては、僕が戻ってくるの遅かったと思うけど。二人とも真剣に話してるから入りにくくて……」
蒼は俊の目の前に座り直す。
「でも、嬉しかったよ。味方でいてくれるってわかったから」
「友達の味方でいたいと思うのは当然だろ」
俊はギュッと手を握り締めた。
「家族に味方がいるとは限らないって知ってるから。でも、信じて味方でいてくれる人はいてほしいだろ。俺にとってはそれが蒼で、俺もそうなりたいって思えた」
「な、なんか恥ずかしいね……」
蒼はぱっと目を逸らした。俊も急に耳の温度が上がった気がした。
「恥ずかしいけど……俊の味方だからね、僕」
蒼は頬を染めながら笑った。
「そ、そういえば、蒼の妹がいるけど練習するのか?」
「あー……そうだね、侑里いるし、今日はやめておこうかな。いい?」
「俺は構わないけど。練習中の歌聴かれるのは、なんか恥ずかしいからな」
だよね、と蒼は笑った。
「蒼、さっき俺、蒼の妹に学校祭見に来て、みたいなこと言ったけど言ってよかったか? その、蒼は秘密にしているみたいだから、学校祭に来られたらわかるだろ」
「いいよ。もともと、僕も今年は見に来てって言うつもりだったから」
「それって……」
俊は驚いて蒼を見た。蒼は俊の言いたいことを察したように、静かにうなずいた。
「やっぱり、本当の自分を見てほしい。知ってほしい。受け入れてもらえるかはわからないけど」
蒼の目は覚悟にあふれていた。俊にもその気迫が伝わる。俊は心に何かが湧き上がるのを感じながら、蒼の目を見てうなずいた。