第35話 Phase34
文字数 1,137文字
「そういえば、蒼。どうして俺の家がわかったんだ? 来たことなかっただろ」
「あー……ごめん。あのね、店長さんに聞いちゃったの」
「陸斗くんに。陸斗くんだめじゃん、個人情報教えたら」
俊は思わず苦笑した。
「違うの。私、ちゃんと事情を話して教えてもらったから。だから、店長さんのこと責めないで」
「わかってるよ。陸斗くんが何の理由もなしに個人情報漏らしたりしないって。それより、事情を言ったって……?」
「あの、ちょっとケンカしたって言って……」
「えっ」
俊は気まずそうな声をあげた。
「どうかしたの?」
「……からかわれると思うんだ、そういうの。俺、ケンカするような友達とかいなかったから、余計に」
俊はげんなりした顔をして、ため息をついた。
「多分、次に陸斗くんのところ行ったら、絶対言われる」
「……いいんじゃない? 結局仲直りできたんだし」
「それはそうなんだけど」
俊が苦笑したとき、部屋のドアがノックされた。
「蒼くん。ご飯食べてく?」
「あ、いえ! 僕、もうすぐ帰りますので」
蒼は慌てて立ち上がろうとする。
「遠慮しなくていいのよ? 今日、親いないから普通のご飯食べるの私だけなの。一人分よりも二人分の方が作りやすいし、むしろ食べていってくれない?」
「え、でも、私だけって……」
蒼は俊を横目で見る。
「ああ、俊にはちゃんと消化に良さそうなもの用意するわよ。ね、どう? 無理にとは言わないけど」
璃子はにこりと笑う。蒼は何となく、断れない雰囲気を察した。
「……じゃあ、お言葉に甘えます」
「そうこなくっちゃ! アレルギーとかない?」
「大丈夫です」
「オッケー、じゃあ、もう少し待っててね」
あっという間に、璃子は出ていった。
「……ごめんね、すぐ帰るって言ったのに」
「いや、こっちこそ。姉ちゃ……姉貴、強引だから。本当に大丈夫か?」
「うん。でも、驚かれるかも。私、あまり友達の家でご飯食べたりとかしてないから」
蒼の言葉に、俊は意外そうに眉を上げる。
「そうなのか? 蒼は友達多そうだから、そういう機会も多いのかと思った」
「うーん……一緒にいて、素が出ないとは限らないから。バレて、疎遠になるとか嫌だもん」
蒼は哀しそうに笑った。
「その分、俊くんといるのは楽だよ。本当の自分でいられるから」
「……そっか」
何だか俊は嬉しかった。
「俺も、蒼と一緒にいるのは楽だ。どこにいるよりも安心できる」
「……なんか、恥ずかしいね」
照れたように笑う蒼を見て、俊も急に恥ずかしくなった。
「俊ー。ご飯一緒に食べちゃう?」
ドアの向こうから璃子の声がした。
「うん、食べるかな」
平静を保って返事をした後、俊と蒼は顔を見合わせた。
「聞かれてたのかな」
「さあ……」
二人は顔を見合わせて、吹き出すように笑ってしまった。
「あー……ごめん。あのね、店長さんに聞いちゃったの」
「陸斗くんに。陸斗くんだめじゃん、個人情報教えたら」
俊は思わず苦笑した。
「違うの。私、ちゃんと事情を話して教えてもらったから。だから、店長さんのこと責めないで」
「わかってるよ。陸斗くんが何の理由もなしに個人情報漏らしたりしないって。それより、事情を言ったって……?」
「あの、ちょっとケンカしたって言って……」
「えっ」
俊は気まずそうな声をあげた。
「どうかしたの?」
「……からかわれると思うんだ、そういうの。俺、ケンカするような友達とかいなかったから、余計に」
俊はげんなりした顔をして、ため息をついた。
「多分、次に陸斗くんのところ行ったら、絶対言われる」
「……いいんじゃない? 結局仲直りできたんだし」
「それはそうなんだけど」
俊が苦笑したとき、部屋のドアがノックされた。
「蒼くん。ご飯食べてく?」
「あ、いえ! 僕、もうすぐ帰りますので」
蒼は慌てて立ち上がろうとする。
「遠慮しなくていいのよ? 今日、親いないから普通のご飯食べるの私だけなの。一人分よりも二人分の方が作りやすいし、むしろ食べていってくれない?」
「え、でも、私だけって……」
蒼は俊を横目で見る。
「ああ、俊にはちゃんと消化に良さそうなもの用意するわよ。ね、どう? 無理にとは言わないけど」
璃子はにこりと笑う。蒼は何となく、断れない雰囲気を察した。
「……じゃあ、お言葉に甘えます」
「そうこなくっちゃ! アレルギーとかない?」
「大丈夫です」
「オッケー、じゃあ、もう少し待っててね」
あっという間に、璃子は出ていった。
「……ごめんね、すぐ帰るって言ったのに」
「いや、こっちこそ。姉ちゃ……姉貴、強引だから。本当に大丈夫か?」
「うん。でも、驚かれるかも。私、あまり友達の家でご飯食べたりとかしてないから」
蒼の言葉に、俊は意外そうに眉を上げる。
「そうなのか? 蒼は友達多そうだから、そういう機会も多いのかと思った」
「うーん……一緒にいて、素が出ないとは限らないから。バレて、疎遠になるとか嫌だもん」
蒼は哀しそうに笑った。
「その分、俊くんといるのは楽だよ。本当の自分でいられるから」
「……そっか」
何だか俊は嬉しかった。
「俺も、蒼と一緒にいるのは楽だ。どこにいるよりも安心できる」
「……なんか、恥ずかしいね」
照れたように笑う蒼を見て、俊も急に恥ずかしくなった。
「俊ー。ご飯一緒に食べちゃう?」
ドアの向こうから璃子の声がした。
「うん、食べるかな」
平静を保って返事をした後、俊と蒼は顔を見合わせた。
「聞かれてたのかな」
「さあ……」
二人は顔を見合わせて、吹き出すように笑ってしまった。