第31話 ユンの彼氏の名前って?・・・
文字数 2,361文字
翼はユンの彼氏の家にお邪魔 をしていた。
「あの~・・・。」
「あん?何だぁ~?」
「まだ名前を聞いていないのですが、教えてもらえますか?」
「はぁ~! 何だってぇ!!」
ユンの彼氏は驚いた顔をした。
いや、驚いてもらってもこまる。
教えてもらっていないのだから。
ユンもこの彼氏のことを「彼氏が~」とか、「私の彼氏は~」とか言うだけだった。
そう、固有名詞たる名で呼んだことがないのだ。
彼氏だとユンが言っているのだから、ユンの彼氏に間違いはないのだろうけど。
でも、それなら親しみを込めて名前やニックネームで呼びそうなものである。
このヒト、本当にユンの彼氏なのだろうか?
もしかして、このヒト、ユンの何人か居るボーイフレンドの一人にしか過ぎないのでは?
だからか・・と、翼は思った。
そんな事を考える翼の様子を見て、ユンの彼氏は目を細めた。
「をぃ! てめ~、今、何か変なことを考えたろう!」
図星 である。
翼は思わずソッポを向く。
その様子を見てユンの彼氏は顔を真っ赤にした。
「翼! 吐きやがれ! いったい何を考えていやがる!」
「あ~・・、ええっと、す、素敵 な家ですね、ここ。」
「あったり前の、屁 の河童 でぇい!
言っとくがな、俺んちは庄屋 だ!
偉いんだ!
わかるか、庄屋だぞ!」
「あ、醤油屋 ですか、そりゃすごい。」
「そう、
「すごいです!
いやぁ、いいな~、僕、たまり醤油 が好きなんですよね。」
「へ?」
「香 ばしいし、何せ味が・」
「をぃ! 何を言ってやがる!」
「え、ですから醤油の話しを・・・。」
「醤油? なんで醤油の話しなんかしやがんで!」
「だから、ここ、
「はぁ!! ば、バカか、てめ~は!!
醤油屋じゃねぇ、庄屋だ!」
「え?醤屋 ですか、なるほど。
醤 を扱っている家なんですね。
すごいです!
で?・・、醤油から油を抜いた物って何?
醤って食べ物ですよね?」
「こんの~!! すっとこどっこい!
一昨日 来やがれ!」
「え~?! 一昨日に来いといわれても来れるはずがないじゃないですか~。
来れるというなら、どうやって一昨日に来るか教えてくださいよ。
あ、もしかして、これ、ご乱心ていうやつですか?
それは大変だ、気を確かにもってください!」
「へ?・・・・。」
「一昨日は無理ですけど、明日の朝10時とかなら来れますけど?」
「・・・・ああ、もういい、この話しはやめだ!」
「いいんですか? よかった、追い出されて来なおさないといけないかと思っちゃった。」
「あん? おっ、そうか、それだ!それがいい!」
「え?! いや、そ、それは!
それだと今日は泊まるところがなくなるじゃないですか!
そうなると野宿ですよ?
テントも何も持っていないから、野宿なんてしたくないんですけど・・。
それと野宿するとしても、何処で野宿すればいいのかも分からないですし。」
「そんなこたぁ、俺の知ったこっちゃない。
そんなもんは自分でなんとかしろ!」
「そんな~・・・。
あ、そうだ!
ユンの所にいけばいいんだ!
そうすれば、野宿なんかしなくてもすむよね?
そうだ、そうしよう!」
「こ、こんの唐変木 が!!
いいか、それはだめだ、だめだっつ~とたらダメだ、それだけ止めやがれ!」
「え?だめ?」
「だめに決まっているだろうがぁ!!」
「あ、そう? なら此処 にいていいんだよね?」
「・・・な!」
「だめなの? じゃぁ、ユンに相談しにいこうかな~・・。」
「わ、分かった! こ、ここに泊まりやがれ、くそぉ!」
「よかった~、下宿先、確保っと。」
「げ、下宿さきだとう~!!」
「あ、あまり細かいことは気にしない方がいいですよ?」
「お、お前な~!!!」
「それよりも、名前です、名前!」
「あん? 名前? 誰の名前でぇ!」
「いや、アンタの。」
「俺か? 俺の名はケルだ。」
「ケル? ユンの彼氏でケル?」
「そうだ。」
「ああ! なるほどユンケルかぁ、そうか、そうか・・。」
「あん? なんだ、ユンケルって?
そんな恐ろしいことを良く平気で言えんな、お前は~・・。
言っとくけどな、ユンなんざ蹴ってみろ、倍返し、いや、そんなもんじゃねえぞ!
だから
「・・、ソウデスカ・・・。」
翼はユンケルをしらないケルを、残念な生き物かのように見た。
まぁユンケルを知らないのだから仕方が無いことなのであるが・・。
それよりも、だ・・・。
ユンにべた惚れで、ユンに逆らわず、いや、逆らえないケルである。
そんなケルが江戸っ子口調でキップが良さそうに話すのだ。
それなのにユンの尻にしかれているのである。
これを矛盾と言わずになんといえというのだろう?
そしてこの状況から、翼はなんとなくユンにDVを受け、嬉しそうにしているケルを想像した。
そうなると・・。
ユンは女王様的性格だという事になる。
そう、ムチを持って、黒皮の
そう想像したのであるが、ユンがムチを持った姿がシックリとこない。
女王様というより、ユンはどちらかというとツンデレだ。
そう思うとケルがユンにムチで打たれて喜んでいる姿も想像できない。
いや、ムチに打たれて喜んでいるケルを想像すれば面白すぎるのではあるが・・。
まぁ、どうでもいいか、と翼は思った。
居候 として面倒見てもらう自分としては、波風を立てずにお世話になろうと決心をしたのである。
ただ既に波風を頻繁に翼が立てた事を、翼本人が気がついていない。
ともかく無事に翼はケルと仲良く(?)暮らすことになったのである。
参考)
醤 というものがあります。
ですが、ここではオトボケの翼との会話としてお楽しみいただければと思います。
「あの~・・・。」
「あん?何だぁ~?」
「まだ名前を聞いていないのですが、教えてもらえますか?」
「はぁ~! 何だってぇ!!」
ユンの彼氏は驚いた顔をした。
いや、驚いてもらってもこまる。
教えてもらっていないのだから。
ユンもこの彼氏のことを「彼氏が~」とか、「私の彼氏は~」とか言うだけだった。
そう、固有名詞たる名で呼んだことがないのだ。
彼氏だとユンが言っているのだから、ユンの彼氏に間違いはないのだろうけど。
でも、それなら親しみを込めて名前やニックネームで呼びそうなものである。
このヒト、本当にユンの彼氏なのだろうか?
もしかして、このヒト、ユンの何人か居るボーイフレンドの一人にしか過ぎないのでは?
だからか・・と、翼は思った。
そんな事を考える翼の様子を見て、ユンの彼氏は目を細めた。
「をぃ! てめ~、今、何か変なことを考えたろう!」
翼は思わずソッポを向く。
その様子を見てユンの彼氏は顔を真っ赤にした。
「翼! 吐きやがれ! いったい何を考えていやがる!」
「あ~・・、ええっと、す、
「あったり前の、
言っとくがな、俺んちは
偉いんだ!
わかるか、庄屋だぞ!」
「あ、
「そう、
し ょ う や
だ、わかりゃいい! どうだ、すごいだろう。」「すごいです!
いやぁ、いいな~、僕、たまり
「へ?」
「
「をぃ! 何を言ってやがる!」
「え、ですから醤油の話しを・・・。」
「醤油? なんで醤油の話しなんかしやがんで!」
「だから、ここ、
し ょ う ゆ や
なんでしょ?」「はぁ!! ば、バカか、てめ~は!!
醤油屋じゃねぇ、庄屋だ!」
「え?
すごいです!
で?・・、醤油から油を抜いた物って何?
醤って食べ物ですよね?」
「こんの~!! すっとこどっこい!
「え~?! 一昨日に来いといわれても来れるはずがないじゃないですか~。
来れるというなら、どうやって一昨日に来るか教えてくださいよ。
あ、もしかして、これ、ご乱心ていうやつですか?
それは大変だ、気を確かにもってください!」
「へ?・・・・。」
「一昨日は無理ですけど、明日の朝10時とかなら来れますけど?」
「・・・・ああ、もういい、この話しはやめだ!」
「いいんですか? よかった、追い出されて来なおさないといけないかと思っちゃった。」
「あん? おっ、そうか、それだ!それがいい!」
「え?! いや、そ、それは!
それだと今日は泊まるところがなくなるじゃないですか!
そうなると野宿ですよ?
テントも何も持っていないから、野宿なんてしたくないんですけど・・。
それと野宿するとしても、何処で野宿すればいいのかも分からないですし。」
「そんなこたぁ、俺の知ったこっちゃない。
そんなもんは自分でなんとかしろ!」
「そんな~・・・。
あ、そうだ!
ユンの所にいけばいいんだ!
そうすれば、野宿なんかしなくてもすむよね?
そうだ、そうしよう!」
「こ、こんの
いいか、それはだめだ、だめだっつ~とたらダメだ、それだけ止めやがれ!」
「え?だめ?」
「だめに決まっているだろうがぁ!!」
「あ、そう? なら
「・・・な!」
「だめなの? じゃぁ、ユンに相談しにいこうかな~・・。」
「わ、分かった! こ、ここに泊まりやがれ、くそぉ!」
「よかった~、下宿先、確保っと。」
「げ、下宿さきだとう~!!」
「あ、あまり細かいことは気にしない方がいいですよ?」
「お、お前な~!!!」
「それよりも、名前です、名前!」
「あん? 名前? 誰の名前でぇ!」
「いや、アンタの。」
「俺か? 俺の名はケルだ。」
「ケル? ユンの彼氏でケル?」
「そうだ。」
「ああ! なるほどユンケルかぁ、そうか、そうか・・。」
「あん? なんだ、ユンケルって?
そんな恐ろしいことを良く平気で言えんな、お前は~・・。
言っとくけどな、ユンなんざ蹴ってみろ、倍返し、いや、そんなもんじゃねえぞ!
だから
ユンを蹴る
のはやめておけ。」「・・、ソウデスカ・・・。」
翼はユンケルをしらないケルを、残念な生き物かのように見た。
まぁユンケルを知らないのだから仕方が無いことなのであるが・・。
それよりも、だ・・・。
ユンにべた惚れで、ユンに逆らわず、いや、逆らえないケルである。
そんなケルが江戸っ子口調でキップが良さそうに話すのだ。
それなのにユンの尻にしかれているのである。
これを矛盾と言わずになんといえというのだろう?
そしてこの状況から、翼はなんとなくユンにDVを受け、嬉しそうにしているケルを想像した。
そうなると・・。
ユンは女王様的性格だという事になる。
そう、ムチを持って、黒皮の
ぼでぃすーつ
なる物を来た、あの女王様である。そう想像したのであるが、ユンがムチを持った姿がシックリとこない。
女王様というより、ユンはどちらかというとツンデレだ。
そう思うとケルがユンにムチで打たれて喜んでいる姿も想像できない。
いや、ムチに打たれて喜んでいるケルを想像すれば面白すぎるのではあるが・・。
まぁ、どうでもいいか、と翼は思った。
ただ既に波風を頻繁に翼が立てた事を、翼本人が気がついていない。
ともかく無事に翼はケルと仲良く(?)暮らすことになったのである。
参考)
ですが、ここではオトボケの翼との会話としてお楽しみいただければと思います。