第91話 出逢い
文字数 3,016文字
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翌日になると、オーハラの家に次々人がやって来た。
おれは窓辺からじっと目を凝らし、玄関先にいる人間たちを観察する。
どれも見覚えのある顔だ。
訪問者はすべて、この『マジカル・ニャワンダ』でボランティアをしている人間たちなのだ。
彼女たちの挨拶にオーハラが応える。
〝散歩〟と〝アカリとヒカリ〟というキーワードで、彼女たちが日常会話をしていることくらいはおれにも理解できるようになった。
ほどなくして、その輪の中に別の人間が飛び込んできた。
おれは騒々しさにイラ立ちながら、遠巻きに苦情を
妙な
猫オタの発言を聞きながら、おれは呆れ口調でツッコんだ。
それからすぐに子猫の鑑賞会になった。
人々は和室に集まると、押し入れの中にいる子猫たちに熱視線を注ぐ。
猫オタが舌をふるって熱弁するが、耳を傾ける者は誰もいない。
その猫オタから一歩分距離を置きつつ、ボランティアの女性たちは感想を述べ合っている。
だが彼は、自分が周囲に相手にされないことを気にする素振りもない。
そんなことより、子猫たちが大事!
と言わんばかりに、彼は幼い猫たちを見つめながら拳をギュッと握った。
暑苦しいくらいに情熱を表現した直後だった。
猫オタは、突然クタクタと畳の上に座り込んだ。
隣にいる猫オタに話しかける女性たち。
その口調や表情は、心配しているというより、状況を軽んじているような印象を受けなくもない。
オーハラを先頭に、ボランティアたちも部屋から出ていく。
去り際に、猫オタはこちらを振り向いて言った。
涙を振りまきながら猫オタは走り去っていった。
おれは閉められた戸を開けて廊下へ出ると、階段を下りた。
リビングには、さきほど和室に集まっていた面々が集まっている。
人間たちは、大きなテーブルを囲んで座るという定番のスタイルを保ちつつ、それぞれ飲み物を手に語り合っている。
猫オタは言い淀んでコップの中のストローをグルグルとかき回す。
〝猫〟はわかるが、〝張り込み〟とは何だ?
張り込み……
張り込み……
張り込み……。
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おれは
そのときだった。
ピンコーン!
突如、真横を車が通過するかのように空気がふるえた。
インターフォンが鳴ったらしい。
耳を澄ませば、建物の外に誰かがいる気配がする。
オーハラは席を立って玄関へ向かった。
その後ろ姿を見ながら、猫オタは不思議そうにまばたきをパチパチと繰り返す。
オーハラが玄関のドアを開けると、明るい声と共に一人の女性が入ってきた。
声からして若そうだった。
人間の中でも、若年層に分類される年頃に違いない。
そのやり取りを見ていた猫オタが、口にくわえていたストローをポロッと落とした。
おもいがけない不意打ちを喰らったように、間の抜けた顔をして固まっている。
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