第71話 紅の葛藤 前編
文字数 1,272文字
部屋を出ていた子どもたちが急ぎ足でおれのもとに戻ってきた。
おれはまだツートンを理解しきれていない。
だがシャドーから聞いて、ある程度は事情を把握したつもりだ。
ヤツの根幹にはドス黒い感情が根のようにはびこっていて、それが心の別キャラにまで波及しているという。
感情のねじれは深刻に響く。
恥エピソードを晒したくらいで、本当に収まるのだろうか?
話の効果でツートンを中心とする多重キャラたちが一時的に悦に浸れたとしても、それが継続するか疑問が残る……。
おれはピシャリと言い放ち、さっさと部屋を出た。
足早に2階へ上がると、和室から天袋に跳び乗る。
天袋は大地のお気に入りだった場所だ。
それがいまでは、おれのお気に入りの場所となりつつある。
ひとり薄暗い空間に籠っていると、頭にこびりついていた出来事がいちいち掘り起こさずとも浮かんできた。
おれはツートンの言葉を、冷静に振り返ってみることにした。
おれも所詮はただの猫。
どんなに抑制しようとも、コントロールしがたい感情がドバーッと溢れて、次々に怒りが沸きあがってくる。
あまりにも怒りが高ぶりすぎて、激しい興奮の
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