第110話 発覚
文字数 2,916文字
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イザベラと話し込んでいる最中――
ふたりは寝ぼけ
やがて両目を閉じると、
子どもたちは何事もなかったかのように、再び眠りの世界へと旅立ってしまった。
おれは子猫たちのいるケージから出ると、その入り口付近でイザベラと横になった。
互いの体が密着していても、去勢のおかげで激しい欲求に巻かれることもなく、穏やかな気持ちでいられる。
イザベラはホッとしたように息をつき、両目をゆっくり閉じる。
おれへの嫌がらせだけならまだしも、家族への妨害行為を〝ある程度のこと〟などと割り切れるわけがない。
もっと受け入れがたいのは、いちいちヤツの顔色を
つい不満をこぼしてしまったので、口元をキュッとひきしめた。
――いっそここを出て行けば、ワルに悩まされることはなくなるのだが……。
とはいえまだ子猫は幼いし、イザベラはここでの育児を望んでいる。
家族で脱走するにしろ、いますぐ実行に移すのは得策ではない。
まず優先すべきは、ワルをどうにかすることだ――。
しばらく家族と過ごしたあと、おれは和室に戻った。
これといって何もすることはないが、空に陽が昇り、窓辺に光が射し込む時間帯になると、階段を下りてリビングへ向かう。
オーハラとトラヒコはすぐおれに気づいて、ダイニングテーブルの椅子から立ち上がった。
二人はこちらへ近寄ってくると――
片手でサッとシッポを掴み上げて、おれの尻をジロジロ見始める。
満足げにニッコリ微笑む人間たち。
なぜそれで笑顔になるのか、おれには意味不明だ……。
すると、ソファーのほうから声がした。
ひと足先にこのリビングへ来ていたファーマが、こちらへ歩みながら教えてくれる。
オーハラたちは、おれのそばにしゃがみ込んだまま会話を続ける。
まさか自分たちの会話が筒抜けだとは思ってもいないだろう。
オーハラとトラヒコは、しょんぼりしたように目線を下に向けながら、さらに話を続ける。
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おれはファーマと違って、シャドーからツートンに関わる過去を聞いている。
たしかにワルは迷惑な存在だが、悲しい思い出を利用するのは気が引ける。
果たしておれのしようとしていることは善なのだろうか。
疑問を感じながらも、足はリビングを出て、プレイルームへと向かっている。
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