第6話 犬の説教
文字数 2,760文字
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人間のオスにしては高めな声が興奮したようにはね上がる。
おそらくこの小さい人間は、少年と分類される存在なのだろう。
すると人間たちの後ろにいた柴犬が、ずいっと前へ進み出てきた。
「行き場に困って、人間を頼ろうと調査している」
などと、見ず知らずの相手に打ち明ける気にはならない……。
言葉に窮したおれを見かねたらしく、イザベラが会話に交ざってきた。
言っておれはその場にやや小さく丸めた。
どこの誰の家かも知らない花壇の縁に座っている体が、横に生えている草花よりもコンパクトになる。
自己主張せず身を小さくすると、おれは自分を見つめる人間たちからプイと目を反らしてみせた。
そう言うだろうと思った。
続いて二度目の反省のポーズだ。
おれはパンフーの指摘を受け、顔の向きを戻す。
歯の裏側まで見えるほどの大口を開けると、ゆっくり息をはき出した。
普段見せることのない姿をじっくりと観察されて、少々気恥ずかしい……。
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そんなおれたちのやり取りには気づかず、こちらを観察しながら意味のわからないことを囁き合う人間たち。
メデアとイソルダが不満をぽつりと
少年に急かされ、パンフーは歩き出す。
きちんと飼い主の足並みに合わせて、早すぎず遅すぎず、絶妙な速度で。
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