第49話 お別れ会②
文字数 1,514文字
家族も含めてザコどもなどと、複数形にされるのは不愉快きわまりない。
心に炎が燃えあがる。
逆巻く怒り。怒気をはらんだ眼光が相手を突き刺し、赤々と焼き尽くすかのようだ。
すると――
突然、ツートンの様子が一変した。
それまでの強気な態度はどこへやら、慌てふためいて、あからさまな逃げ腰になる。
なんだその態度の変化は。
おれが本気の姿勢を見せたからか?
それとも、単にコイツが変なのか?
いずれにせよ、ビビりすぎだろう。
何もしてないとは、おかしな言い分だ。
感情的すぎるツートンへ、イザベラが冷静に説いて聞かせる。
おれが不満を訴えるまでもなく、イザベラがきちんと主張してくれる。
じつにありがたい。
相手がどう出るか、ひとまず遠巻きに眺めていると……
アミがツートンのそばに近づいてなぐさめた。
彼女たちの説得を受けて、ツートンはうなだれる。
彼は室内をトボトボ歩き、廊下にさしかかる手前で振り返った。
か細い声で、ここを去っていく子猫たちに別れを告げる。
ツートンはおれたちに背を向けると、通路の奥へ消えていった。
足音が遠ざかると、ファーマが吐息まじりにぼやきだす。
なんとなく場の空気は白けて、ヒカリ爺とアカリ婆などはすっかり沈黙しきっている。
それを振り払うように、ファーマが明るい口調で切りだした。
遊ぶ話が出た途端、メデアとイソルダは壁際へ駆け出した。
壁際には、登り棒の立っている。
元気に走っていく子猫たち。
微笑ましい図だ。
それを見ているだけで、たったいま起こった不快な出来事は、頭の片隅へと消えていった。
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