第74話 波乱の影
文字数 2,894文字
![](https://img-novel.daysneo.com/talk/75f75fb7d97fbd579304dfdac0213221.png)
早く去勢をしたい!
そう希望しているにもかかわらず、意思の疎通がうまくいかない人間たちに要望を伝えるのは困難だった。
どうすべきか考えていると、
ファーマが廊下からリビングにひょっこり顔をのぞかせてきた。
そう答えつつ、彼女は部屋の中へトコトコ入ってくる。
不安に駆られ、メデアとイソルダもここに来ているのではないかと周囲に目を配るが……
この場を去ろうと歩き出すと――
すれ違いざまにファーマが振り返って告げてきた。
いつになくファーマの口ぶりは慎重だ。
なにやら、不穏な予感がする……。
すらすらと受け答える割に、ファーマは重苦しい溜息をつく。
それからファーマは、プレイルームで起こった出来事について語りはじめた。
![](https://img-novel.daysneo.com/talk/c7753f712ae0bcba92b8feaa324ff1b7.png)
空はゴロゴロと不機嫌そうな雲につつまれて、暮れゆく大地に大粒の雫を降らしてる。
荒れそうな感じやなぁ……。
雨粒の滴る窓を見つめながら、アカリ婆とヒカリ爺は残念そうにこぼす。
すると――
ヒモのオモチャにじゃれてたメデアとイソルダも、口をそろえて批判する側にまわる。
ツートンの顔つきがみるみる一変した。
まさか、キャラが変わったんやろか……?
ツートンは怒り顔のままゆっくり窓のほうへ歩み、目の前にあるハンモックに恨み深いまなざしを据える。
ツートンはハンモックの上に跳び乗ると、やや尻を上げた。
案の定、ツートンはハンモックに尿をぶちまけた。
一瞬で部屋は汚臭まみれや。
それを悪質な行為と意識してるからか、余計に不快に感じる。
![](https://img-novel.daysneo.com/talk/7dbd7a485c347a23a454db336244b2fe.png)
なにが天罰やっ!
アホかーーーーーーーーっ!
![](https://img-novel.daysneo.com/talk/b9c3a5874cb034a49d03d76517805c4c.png)
言い終えるより早く足が動いて、おれは子どもたちのもとに駆け出していた。
(ログインが必要です)