30話 これまでを振り返る弘樹

文字数 1,031文字

僕は自分のベッドに仰向けになった。

ベランダの方からはパラパラと雨が降り出した音が聞こえた。明日は雨だろうか? 

それにしても、この2日間、いろいろなことが起こりすぎて、ひどく疲れた気がする。

今までの出来事を少し整理してみよう。

まず1日目。バスケの練習が終わり、僕たちは風呂に入った。そう、あの赤いペンペンの血で染まった風呂にだ。

今日見つけた犯行声明文の内容が正しければ、あの時点で、すでにペンペンは殺されていた。

夕食をとった後、僕たちは集会室に集められ、編入生の織田切君が紹介される。

その直後だ。僕たちのCDプレーヤーやMDなどが盗まれたことに気が付いたのは。

今もその犯人は分かっていない。

そして2日目の今日。朝起きて、掃除をしていたとき、消火栓の中からペンペンの死体を発見した。僕たちが夜、寝ている間に何者かによって運ばれたものと思われる。

そして、その死体を埋葬している間、1年生は全員帰ってしまう。1年生とこの事件は何か関係があるのだろうか? 結局、この寮には僕たち2年生だけになってしまった。

それでも部活動を続けてみたものの、その内容はひどいものだった。

その夜、ペンペンを殺したと思われる犯人からの犯行声明文が、なんと学習室で発見される。

今、その犯行声明文を書いた犯人について分かっていることは1つ。犯行声明文は、学習室のパソコンではなく個人のワープロで書かれたのではないか、ということだ。海老原のワープロを調べたところ、彼のワープロはパスワードが必要なので、調べられなかった。そして、武藤のワープロを調べると、なんと、犯行声明文の文書が本体に残っていたのだ。

これはどういうことなのかさっぱり分からない。

何だか、見てはいけないものを見てしまった気がする。


ざっとこの2日間をまとめてみると、こんな感じだ。僕は、ふと腕時計を見た。もうすぐ12時になろうとしていた。

考え事をしていると、時間が経つのが早い。少し眠くなってきた。

・・・・・・あれ、それにしても織田切君はどこへ行ったというのだろうか?

まあいいや。そのうち戻ってくるだろう。先に寝るとするか。僕は部屋の電気を消し、ベッドに潜り込んだ。

外からは、シトシトと雨の降る音が聞こえてくる。窓が開いているのだろうか?風も強いらしく、時折、窓ガラスはぶるぶると震えていた。きちんと窓を閉めたほうがいいかな、と思ったのもつかの間、僕は眠りに落ちていった。
合宿3日目へつづく
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登場人物紹介

「小川弘樹」

主人公。密かに鈴原あゆみに恋してる普通の高校生。でも鈴原が好きな事はみんなにバレバレ。鈴原が近いと少し声が大きくなるからだ。

最近、ワックスは髪型を自由に変えられる魔法の練り物だと思ってる。

「鈴原あゆみ」

バスケ部のマネージャー。とにかく明るくて、いつも笑顔を絶やさない。
明るすぎて悩み無用と思われてる。そんなわけないでしょ! と一応怒った事もある。
弘樹は怒った顔も可愛いと思った。

「海老原さとる」

バスケ部キャプテン。力強くみんなを引っ張っていく。多少強引なところもある。

あまり女の子の話とかしないので部員に疑われた事もあるが、普通に女の子が好き。らしい。

「武藤純一」

文武両道で、バスケもうまく、頭脳明晰。優しく、皆が熱くなった時も冷静に答えを導こうとする。殴られたら殴り返す男らしい一面も。

いつもメガネがキラリと光る。人の3倍くらい光る。風呂に入る時もメガネをつけるので、体の一部と言われている。横顔になるとメガネのフレームの一部が消えたりはしない。

メガネが外れると3みたいな目になる。

「若宮亮太」

ヤンチャな性格で、言いたい事はズバズバ言う。プーやんをいつもいじってる。背が少し低い。そこに触れると激怒するのでみんな黙っている。

「人をいじっていいのは、逆にいじられても怒らないこと、お笑いの信頼関係が構築されてることが条件だ」と武藤に冷静に指摘されたが、その時も怒った。

沸点が低い。というより液体そのものが揮発してる。

いつもプーヤンをいじってるが、格ゲーでボコられてる。すぐにコントローラーを投げるのでプーヤンにシリコンカバーを装着させられてる。

怖い話とか大好き。

「長野五郎」

略してプーやん。いや、略せてないけど、なぜかプーやんと呼ばれてる。いつも減らず口ばかり叩いてる。若宮にいじられながらも一緒にゲームしたりと仲が良いのか悪いのか謎。ゲームとアニメ大好き。犬好き。

将来の夢はゲームクリエイター。意外と才能あるのだが、恥ずかしいのか黙っている。

エクセルのマクロを少し扱えるので、自分はハッカーの素質があると言った時は武藤にエクセルを閉じられなくするマクロを組まれた。

「塩崎勇次」

おっとりした性格で、人からの頼みは断れない。心配性。
心配しすぎて胃が痛くなる事も多く、胃薬を持ち歩いている。

キャベツは胃に良い、だからキャベジンはキャベジンって言うんだよ、というエピソードを3回くらい部員にしてる。

黒いシルエット。それはが誰なのか、男なのか女なのか、しかし、人である事は確か、という表現ができる。少なくとも猫ではない。

だいたい影に隠れて主人公たちを見てニヤリと笑い、だいたい悪いことをする。
この作品では初っ端からアクティブに大暴れしてる。

酒井先生。バスケ部の顧問だが、スポーツに関する知識はない。

奥さんの出産が近いため、そわそわしている。

織田切努(おだぎり つとむ)。謎の転校生。

夏休みで、寮に慣れるためにやってきたらしい。 

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