54話 警察の取り調べ3

文字数 1,183文字

僕が自室で帰りの支度をしていると、ベッドからポケベルのメッセージが入る音がしたんです。

見ると枕元にポケベルがありました。
ポケベルって、これのことだね
望月刑事はカバンからポケベルを取り出した。
それです、そのポケベルです
望月警部がボタンを押すと、問題のメッセージが表示された。

『イマ チュウリンジョウ ヨコノ ソウコニイル』

そして、その文を読み上げた。
今 駐輪場 横の 倉庫にいる。

君はおかしいと思わなかったのか? こんなメッセージ
あのときは、気が動転してて。

ポケベルの裏には塩崎が写ったプリクラが貼ってあったから、てっきり塩崎からのSOSだと思ってしまいました。
確かにこのポケベルは塩崎君のものだと確認は取れている
ポケベルの裏に貼られたプリクラを見ながら望月刑事が言った。
そのメッセージを誰が入れたかは分かってるんですか?
鈴原が、素朴な疑問を投げかけた。
発信地は君たちの男子寮の緑電話からだ
それを聞いて、みんなは驚きの声をあげた。
お互いの顔をジロジロと見る。

望月刑事はその一人ひとりの表情を注意深く観察しているようだった。
わざと僕達に情報を提供したように思えた。


それで続きを話せよ、弘樹
ざわつきが収まった頃、若宮が催促してきた。
メッセージに驚いた僕は倉庫に向かいました。

中庭で鈴原と会って、いっしょに行くことになったんです
それは何時ごろだね?
やっぱり3時ちょっと前でした。3時のバスに乗らないといけないって焦っていたので覚えています。

それで・・・倉庫に入っても誰もいなくて、なぜか鍵をかけられ閉じこめられたんです。
間抜けな奴だな・・・
プーやんがつぶやいた。
甘い匂いがしたかと思うと、2人とも気を失いました
新聞に書いてあった薬品のことだな
海老原が新聞を見て言った。
あぁ、これはスーパーや薬局で売ってる商品にある化学反応を起こさせると、作れる方法が海外のインターネットサイトで発表され、問題になっている。

話がちょっと脱線したな、続きをよろしく、弘樹くん。
倉庫の中で目を覚ましたのは2時間後の5時でした。

1時間ぐらい鈴原と話をしたり、黙ったまま過ごしました。

そのあと6時になる直前、僕と鈴原は小窓から・・・
そこまで言うと、僕は口をつぐんだ。

武藤らしき人物を目撃したことを言うかどうか迷ったのだ。
小窓からどうした?
僕は深呼吸をし、決断した。

黙っておくことにした。武藤が別室で話したい、というのには何かわけがあるのかもしれないからだ。ここは武藤を信じよう。
小窓から・・・助けを呼んだけど、誰も気づいてくれませんでした。
そう言って、僕は武藤の方をチラリと見た。

武藤は僕と目が会うと、ばつが悪そうに目をそらした。

鈴原も怪訝な表情を浮かべ、僕の発言の真意を読みとろうとしていた。
それから? 続きを話して
望月刑事がペンでメモる手をとめて言った。

僕はつばを飲み込むと、続きを話した。
つづく
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登場人物紹介

「小川弘樹」

主人公。密かに鈴原あゆみに恋してる普通の高校生。でも鈴原が好きな事はみんなにバレバレ。鈴原が近いと少し声が大きくなるからだ。

最近、ワックスは髪型を自由に変えられる魔法の練り物だと思ってる。

「鈴原あゆみ」

バスケ部のマネージャー。とにかく明るくて、いつも笑顔を絶やさない。
明るすぎて悩み無用と思われてる。そんなわけないでしょ! と一応怒った事もある。
弘樹は怒った顔も可愛いと思った。

「海老原さとる」

バスケ部キャプテン。力強くみんなを引っ張っていく。多少強引なところもある。

あまり女の子の話とかしないので部員に疑われた事もあるが、普通に女の子が好き。らしい。

「武藤純一」

文武両道で、バスケもうまく、頭脳明晰。優しく、皆が熱くなった時も冷静に答えを導こうとする。殴られたら殴り返す男らしい一面も。

いつもメガネがキラリと光る。人の3倍くらい光る。風呂に入る時もメガネをつけるので、体の一部と言われている。横顔になるとメガネのフレームの一部が消えたりはしない。

メガネが外れると3みたいな目になる。

「若宮亮太」

ヤンチャな性格で、言いたい事はズバズバ言う。プーやんをいつもいじってる。背が少し低い。そこに触れると激怒するのでみんな黙っている。

「人をいじっていいのは、逆にいじられても怒らないこと、お笑いの信頼関係が構築されてることが条件だ」と武藤に冷静に指摘されたが、その時も怒った。

沸点が低い。というより液体そのものが揮発してる。

いつもプーヤンをいじってるが、格ゲーでボコられてる。すぐにコントローラーを投げるのでプーヤンにシリコンカバーを装着させられてる。

怖い話とか大好き。

「長野五郎」

略してプーやん。いや、略せてないけど、なぜかプーやんと呼ばれてる。いつも減らず口ばかり叩いてる。若宮にいじられながらも一緒にゲームしたりと仲が良いのか悪いのか謎。ゲームとアニメ大好き。犬好き。

将来の夢はゲームクリエイター。意外と才能あるのだが、恥ずかしいのか黙っている。

エクセルのマクロを少し扱えるので、自分はハッカーの素質があると言った時は武藤にエクセルを閉じられなくするマクロを組まれた。

「塩崎勇次」

おっとりした性格で、人からの頼みは断れない。心配性。
心配しすぎて胃が痛くなる事も多く、胃薬を持ち歩いている。

キャベツは胃に良い、だからキャベジンはキャベジンって言うんだよ、というエピソードを3回くらい部員にしてる。

黒いシルエット。それはが誰なのか、男なのか女なのか、しかし、人である事は確か、という表現ができる。少なくとも猫ではない。

だいたい影に隠れて主人公たちを見てニヤリと笑い、だいたい悪いことをする。
この作品では初っ端からアクティブに大暴れしてる。

酒井先生。バスケ部の顧問だが、スポーツに関する知識はない。

奥さんの出産が近いため、そわそわしている。

織田切努(おだぎり つとむ)。謎の転校生。

夏休みで、寮に慣れるためにやってきたらしい。 

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