55話 警察の取り調べ4(事件編 完)

文字数 1,524文字

その直後、最終バスが行ってしまった時間だから、6時。

いや、6時をすぎていたかもしれません。
なぜか倉庫のカギが開いて、出ることが出来たんです。
誰かが開けてくれたんです。多分・・・

外は台風直撃で、すごい雨と風でした。

急いで6時のバスに乗ろうかとも迷いましたが・・・
いや、台風の影響で6時のバスは運行されなかった。
君たちはすぐに寮へ避難して正解だったよ。
そうだったんですね。

それで、男子寮に戻ると、事務室に電話がかかってきました
それが6時過ぎ、海老原君からの電話だね?
はい。さっきも言いましたが、僕は倉庫に閉じこめられたことを話し、海老原はプーやんとプリクラを撮ったことなどを話してくれました。

それから部屋に戻って、7時ごろ寝たんですけど、夜中の1時ごろに目を覚まして天井裏の塩崎の死体を見つけました。


直後に鈴原の悲鳴を聞いて・・・

鈴原の所へ行って、何者かに刺されて・・・
それからはよく覚えていません。
なるほど、よく分かった。
司法解剖の結果、塩崎君の死亡推定時刻は夜7時。
遺体は割と早く発見されたので、かなり正確だと考えている。

つまり、その時間に男子寮にいたのは小川弘樹君、鈴原あゆみさん、そして・・・
望月刑事はチラリと武藤の方を見た。
7時・・・に殺されたんですか?
鈴原が不安そうな声で言った。

7時といえば、僕は自分の部屋に戻って、ベッドで寝ようとしていた時刻より少し前だ。
正確に言えば、7時にとどめを刺されたと言うべきだろう。

手や足を縛られていた跡が残っていることから言えることは、どこかに拉致されていたのかもしれない。

しかし、天井裏でその時刻に息絶えたことはほぼ間違いない。
そんなバカな・・・

僕が部屋で寝ようとしていたとき、真上の天井で塩崎は殺害されたというのか!?

そんなことありえない。
なぜなら、そのとき僕は部屋にいたのだから!
望月さん! そのとき僕は自分の部屋にいたけど、天井から物音などしませんでしたよ!!

いくらなんでも、天井で犯行が行われていたら僕だって気がつきますよ。
殺害時刻が7時っていうのは何かの間違いじゃないですか?
僕はあせって抗議した。
君の話だと、殺害時刻に、君は殺害現場にいた事になる。

つじつまは合う。おかしくないさ
ちょ・・・ちょっと待って下さいよ!

僕を疑ってるんですか!? 

僕は犯人に刺されたんですよ!!
君の傷は致命傷になるような場所はどれも避けられていた。だから、こうしていまも生きているんだ。
薬品には痛みを麻痺させる麻酔効果もある。

それに、君の服に付着した血液からは死亡した塩崎君の血液が確認された。
それは塩崎を発見したときの・・・
天井裏の塩崎くんの遺体のすぐ横にはサバイバルナイフが発見された。

だが、そのナイフには君の指紋が検出されたんだよ。

これはどういうことなんだ? 彼にとどめを刺したときについたものなのか、それとも自分を刺したときについたのか・・・

いや、もうこの辺でやめておこう。

詳しいことは、署で聞かせてもらうから。むろん、傷がもっと回復してからだけどな
数週間後、、僕は点滴をぶら下げたまま、岡山警察署に連行されることになった。

物的証拠や、有力な手がかりが見つかるまでは、僕の疑いははれないそうだ。

・・・何かおかしな気がする。

真実は闇に葬られ、僕は真犯人の罠にかかってしまったような気がしてならない。

塩崎が殺された時刻に、学校に残っていたのは本当に僕たちだけだったのか?

自分の記憶を頼りに、もう一度よく考えてみないといけないのかもしれない。

何が本当で、何が嘘なのか。
僕の高校2年生の夏は、こうして幕を閉じた。
事件編 完

ご愛読いただきありがとうございました!

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登場人物紹介

「小川弘樹」

主人公。密かに鈴原あゆみに恋してる普通の高校生。でも鈴原が好きな事はみんなにバレバレ。鈴原が近いと少し声が大きくなるからだ。

最近、ワックスは髪型を自由に変えられる魔法の練り物だと思ってる。

「鈴原あゆみ」

バスケ部のマネージャー。とにかく明るくて、いつも笑顔を絶やさない。
明るすぎて悩み無用と思われてる。そんなわけないでしょ! と一応怒った事もある。
弘樹は怒った顔も可愛いと思った。

「海老原さとる」

バスケ部キャプテン。力強くみんなを引っ張っていく。多少強引なところもある。

あまり女の子の話とかしないので部員に疑われた事もあるが、普通に女の子が好き。らしい。

「武藤純一」

文武両道で、バスケもうまく、頭脳明晰。優しく、皆が熱くなった時も冷静に答えを導こうとする。殴られたら殴り返す男らしい一面も。

いつもメガネがキラリと光る。人の3倍くらい光る。風呂に入る時もメガネをつけるので、体の一部と言われている。横顔になるとメガネのフレームの一部が消えたりはしない。

メガネが外れると3みたいな目になる。

「若宮亮太」

ヤンチャな性格で、言いたい事はズバズバ言う。プーやんをいつもいじってる。背が少し低い。そこに触れると激怒するのでみんな黙っている。

「人をいじっていいのは、逆にいじられても怒らないこと、お笑いの信頼関係が構築されてることが条件だ」と武藤に冷静に指摘されたが、その時も怒った。

沸点が低い。というより液体そのものが揮発してる。

いつもプーヤンをいじってるが、格ゲーでボコられてる。すぐにコントローラーを投げるのでプーヤンにシリコンカバーを装着させられてる。

怖い話とか大好き。

「長野五郎」

略してプーやん。いや、略せてないけど、なぜかプーやんと呼ばれてる。いつも減らず口ばかり叩いてる。若宮にいじられながらも一緒にゲームしたりと仲が良いのか悪いのか謎。ゲームとアニメ大好き。犬好き。

将来の夢はゲームクリエイター。意外と才能あるのだが、恥ずかしいのか黙っている。

エクセルのマクロを少し扱えるので、自分はハッカーの素質があると言った時は武藤にエクセルを閉じられなくするマクロを組まれた。

「塩崎勇次」

おっとりした性格で、人からの頼みは断れない。心配性。
心配しすぎて胃が痛くなる事も多く、胃薬を持ち歩いている。

キャベツは胃に良い、だからキャベジンはキャベジンって言うんだよ、というエピソードを3回くらい部員にしてる。

黒いシルエット。それはが誰なのか、男なのか女なのか、しかし、人である事は確か、という表現ができる。少なくとも猫ではない。

だいたい影に隠れて主人公たちを見てニヤリと笑い、だいたい悪いことをする。
この作品では初っ端からアクティブに大暴れしてる。

酒井先生。バスケ部の顧問だが、スポーツに関する知識はない。

奥さんの出産が近いため、そわそわしている。

織田切努(おだぎり つとむ)。謎の転校生。

夏休みで、寮に慣れるためにやってきたらしい。 

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