37話 先生からの通告

文字数 1,133文字

どうした?
酒井先生が探すのを中断して集会室に集まれってよ
塩崎が見つかったのか?
海老原は首を横に振った。
いや、見つかってない。もう合宿も中止になって、解散しなきゃいけないかもしれない
ええっ、やっぱりそうなるのか・・・
塩崎が失踪した状況で合宿を続行するなんてできる訳がない。。ある程度、心のどこかでこうなると予想はしていたが、本当に中止になってしまうとは。
詳しくは酒井が集会室で説明するんだろ。早く行くぞ
分かった
僕と海老原は男子寮の集会室に向かって走り出した。
集会室には、すでにみんなが集まっていた。塩崎の安否を心配する話でもちきりだった。
塩崎の奴、一体どこに行ったんだろうな?ったく、心配かけやがって
若宮が畳の上にゴロリと寝ころんだ状態で言う。
これだけ探していないってことは・・・やっぱり家に帰っちゃったのかな?
鈴原はかなり落ち込んでいる様子だった。
いや、実家には顧問の酒井が連絡とったらしいが、家にはまだ帰っていないそうだ
そう答えたのは海老原だった。
下駄箱を調べたけど、靴もあったしな
ふん、団体行動を乱すなんてよろしくねいね。最悪な合宿だよ、まったく。おかげで、これじゃあダイエットにもならない
プーやんがボソボソと文句を言う。
プー、お前はバスケやる前と体重は同じじゃねーか
若宮が足でプーやんのお腹をつっついた。

と、ちょうどその時、顧問の酒井先生が集会室に入ってきた。みんなに緊張が走り、若宮も体を起こした。
ええ。みんなももう知ってるとは思うが、結局塩崎は見つからなかった。よって、合宿を続けるわけにもいかないので、これでバスケ部の夏の合宿は解散することに決めた
酒井先生がそう言うと、みんなは落胆した。
だが、やむを得ない。
先生、塩崎の事は今後どうなるんですか?
海老原が手を挙げて質問をした。
他の先生にもこの事を連絡したので、お前達が帰ったあとも、比較的学校の近くに住んでおられる先生たちで学校側で車で捜索するつもりだ。それでも見つからない場合は警察に捜索願を出す
・・・警察。その言葉を聞いて、事の重大さにあらためて気づく。

酒井先生は続けた。
それから、知ってる奴もいると思うが、もうすぐ台風がやってくる。今、2時10分だから、次に来る3時のバスに乗り遅れないようにすること。それに乗り遅れたら、台風の影響で最終の6時のバスが出ないかもしれない。必ず3時のバスに乗ること。いいな。じゃ、解散
そう言い終わると、酒井先生は集会室を出ていった。

みんな実感が無いのか唖然として、その場に座り込んでいる。
3時のバス・・・か。あと1時間もない。急いで支度をしなくちゃ
鈴原が壁時計を見て言った。
そうだ、若宮。お前、どうやって帰る?バイクで帰るのか?
海老原が思いだしたように言った。
つづく
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

「小川弘樹」

主人公。密かに鈴原あゆみに恋してる普通の高校生。でも鈴原が好きな事はみんなにバレバレ。鈴原が近いと少し声が大きくなるからだ。

最近、ワックスは髪型を自由に変えられる魔法の練り物だと思ってる。

「鈴原あゆみ」

バスケ部のマネージャー。とにかく明るくて、いつも笑顔を絶やさない。
明るすぎて悩み無用と思われてる。そんなわけないでしょ! と一応怒った事もある。
弘樹は怒った顔も可愛いと思った。

「海老原さとる」

バスケ部キャプテン。力強くみんなを引っ張っていく。多少強引なところもある。

あまり女の子の話とかしないので部員に疑われた事もあるが、普通に女の子が好き。らしい。

「武藤純一」

文武両道で、バスケもうまく、頭脳明晰。優しく、皆が熱くなった時も冷静に答えを導こうとする。殴られたら殴り返す男らしい一面も。

いつもメガネがキラリと光る。人の3倍くらい光る。風呂に入る時もメガネをつけるので、体の一部と言われている。横顔になるとメガネのフレームの一部が消えたりはしない。

メガネが外れると3みたいな目になる。

「若宮亮太」

ヤンチャな性格で、言いたい事はズバズバ言う。プーやんをいつもいじってる。背が少し低い。そこに触れると激怒するのでみんな黙っている。

「人をいじっていいのは、逆にいじられても怒らないこと、お笑いの信頼関係が構築されてることが条件だ」と武藤に冷静に指摘されたが、その時も怒った。

沸点が低い。というより液体そのものが揮発してる。

いつもプーヤンをいじってるが、格ゲーでボコられてる。すぐにコントローラーを投げるのでプーヤンにシリコンカバーを装着させられてる。

怖い話とか大好き。

「長野五郎」

略してプーやん。いや、略せてないけど、なぜかプーやんと呼ばれてる。いつも減らず口ばかり叩いてる。若宮にいじられながらも一緒にゲームしたりと仲が良いのか悪いのか謎。ゲームとアニメ大好き。犬好き。

将来の夢はゲームクリエイター。意外と才能あるのだが、恥ずかしいのか黙っている。

エクセルのマクロを少し扱えるので、自分はハッカーの素質があると言った時は武藤にエクセルを閉じられなくするマクロを組まれた。

「塩崎勇次」

おっとりした性格で、人からの頼みは断れない。心配性。
心配しすぎて胃が痛くなる事も多く、胃薬を持ち歩いている。

キャベツは胃に良い、だからキャベジンはキャベジンって言うんだよ、というエピソードを3回くらい部員にしてる。

黒いシルエット。それはが誰なのか、男なのか女なのか、しかし、人である事は確か、という表現ができる。少なくとも猫ではない。

だいたい影に隠れて主人公たちを見てニヤリと笑い、だいたい悪いことをする。
この作品では初っ端からアクティブに大暴れしてる。

酒井先生。バスケ部の顧問だが、スポーツに関する知識はない。

奥さんの出産が近いため、そわそわしている。

織田切努(おだぎり つとむ)。謎の転校生。

夏休みで、寮に慣れるためにやってきたらしい。 

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色