24話 プライベートタイム その3

文字数 1,434文字

僕は塩崎の部屋に入った。塩崎はちょうど筋トレをしている最中だった。
よ、塩崎。励んでますな
97、98、99、100。ふー、終わり
顔には豆粒のような汗が噴き出している。塩崎はタオルで顔の汗を拭いた。
毎日やってるの?
うん・・・継続は力なり、だからな。でも本当は、毎日やるよりも、1日か2日おきぐらいにしたほうがいいらしいけど、リフレッシュしたいから、つい毎日やっちまうな。
塩崎は鉄アレイをベッドの下にしまい込んだ。
そうだ、弘樹、今日はお前が日誌の当番だから忘れるないようにね
あれ、そうだっけ?
そうだよ
ああ、この後書きに行くよ
僕はそう言うと部屋を出た。
僕は海老原の部屋に入った。海老原はベッドの上に大の字で寝ていた。難しい顔をしており、どうやら考え事をしているようだった。
海老原?
僕はおそるおそる声をかけた。
ん?なんだ驚いた、弘樹か
さっき、電話の呼び出しがあったけど、誰だったの?
僕はベッドに腰掛けた。
叔父さんだよ。日頃からいろいろお世話になってるんだ
そういえば俺、海老原のそういうこと、聞いたことなかったな
別に親戚のこと聞いて面白い話なんか何もないさ
兄弟はいるのか?
ん、めちゃくちゃ可愛い妹がいるよ。
ほほう・・・
そんなことよりさ、弘樹はここ卒業したら、どうする?大学に行くのか?
今度は急に海老原が質問をしてきた。
ここを卒業したら?うーん、多分、大学に行くと思うけど。俺の成績じゃ大したとこへは行けないかもだけど…
そう・・・か。みんなそうだろうな
海老原は少し寂しそうな表情を浮かべた。
海老原は進学しないのか?
俺は・・・就職するかもしれない。大人の言うことはアテにならねーからな
え? 何が?
いや、うちの親は大学行かせてくれるって言ってるんだけど、まぁ、そんな裕福な家庭じゃないって俺が一番知ってるからさ…いろいろ考えてしまうんだ。
そうだったんだ・・・
あ、なんか辛気臭くなってしまったな。悪い悪い
そのあと、しばらく雑談をして、部屋を出た。
確かここには鈴原がいるはずだ。僕はドキドキしながらドアをノックした。
あ、弘樹君!?ちょっと待って!今着替え中だから!
どうしよう。

僕はその場で鈴原の着替えが終わるのを待った。
弘樹君、いいよ、入って
中に入ると、そこにはパジャマを着た鈴原がいた。
いらっしゃい
こ、こんばんわ
僕はよそよそしく、返事をした。
どうしたの?
いや、別に・・・
僕はベッドに腰掛けた。

鈴原は窓際に行き、外の様子を伺った後、カーテンを閉めた。
なにか、外にいる・・・!
えっ?
ゾンビよ・・・ゾンビが寮を取り囲んでいるわ!
な、何を言い出すんだ鈴原
夏の暑さで頭がおかしくなったのだろうか?
えへへ、驚いた?
そう言うと、鈴原は僕の顔の前に一冊の本を差し出した。
なに、この本?
これね、長野君に借りたんだ
プーやんに?
そう、日本の高校生が主人公でね、もしも日本にゾンビが蔓延したらどうなるかってストーリーなの
それ、面白いの?
面白いよー。だってね、山奥の学校の寮が舞台なの。まるで私たちバスケ部の環境みたいでしょ。だから、余計に感情移入しちゃって。あ、弘樹君にも今度貸してあげるね。長野君には私から言っておくから
意外と鈴原とプーやんって親密なんだな。僕はちょっとプーやんに嫉妬した。
もしも、の話だけど
鈴原が前置きをして言った。
この寮がゾンビに囲まれちゃったら、弘樹君、私のこと助けに来てくれる?
え?あ、ああ。・・・ま、まぁね!
絶対だよ
まかせとけ
じゃあ、聞くけど、この部屋は何号室だったか覚えてる?
つづく
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登場人物紹介

「小川弘樹」

主人公。密かに鈴原あゆみに恋してる普通の高校生。でも鈴原が好きな事はみんなにバレバレ。鈴原が近いと少し声が大きくなるからだ。

最近、ワックスは髪型を自由に変えられる魔法の練り物だと思ってる。

「鈴原あゆみ」

バスケ部のマネージャー。とにかく明るくて、いつも笑顔を絶やさない。
明るすぎて悩み無用と思われてる。そんなわけないでしょ! と一応怒った事もある。
弘樹は怒った顔も可愛いと思った。

「海老原さとる」

バスケ部キャプテン。力強くみんなを引っ張っていく。多少強引なところもある。

あまり女の子の話とかしないので部員に疑われた事もあるが、普通に女の子が好き。らしい。

「武藤純一」

文武両道で、バスケもうまく、頭脳明晰。優しく、皆が熱くなった時も冷静に答えを導こうとする。殴られたら殴り返す男らしい一面も。

いつもメガネがキラリと光る。人の3倍くらい光る。風呂に入る時もメガネをつけるので、体の一部と言われている。横顔になるとメガネのフレームの一部が消えたりはしない。

メガネが外れると3みたいな目になる。

「若宮亮太」

ヤンチャな性格で、言いたい事はズバズバ言う。プーやんをいつもいじってる。背が少し低い。そこに触れると激怒するのでみんな黙っている。

「人をいじっていいのは、逆にいじられても怒らないこと、お笑いの信頼関係が構築されてることが条件だ」と武藤に冷静に指摘されたが、その時も怒った。

沸点が低い。というより液体そのものが揮発してる。

いつもプーヤンをいじってるが、格ゲーでボコられてる。すぐにコントローラーを投げるのでプーヤンにシリコンカバーを装着させられてる。

怖い話とか大好き。

「長野五郎」

略してプーやん。いや、略せてないけど、なぜかプーやんと呼ばれてる。いつも減らず口ばかり叩いてる。若宮にいじられながらも一緒にゲームしたりと仲が良いのか悪いのか謎。ゲームとアニメ大好き。犬好き。

将来の夢はゲームクリエイター。意外と才能あるのだが、恥ずかしいのか黙っている。

エクセルのマクロを少し扱えるので、自分はハッカーの素質があると言った時は武藤にエクセルを閉じられなくするマクロを組まれた。

「塩崎勇次」

おっとりした性格で、人からの頼みは断れない。心配性。
心配しすぎて胃が痛くなる事も多く、胃薬を持ち歩いている。

キャベツは胃に良い、だからキャベジンはキャベジンって言うんだよ、というエピソードを3回くらい部員にしてる。

黒いシルエット。それはが誰なのか、男なのか女なのか、しかし、人である事は確か、という表現ができる。少なくとも猫ではない。

だいたい影に隠れて主人公たちを見てニヤリと笑い、だいたい悪いことをする。
この作品では初っ端からアクティブに大暴れしてる。

酒井先生。バスケ部の顧問だが、スポーツに関する知識はない。

奥さんの出産が近いため、そわそわしている。

織田切努(おだぎり つとむ)。謎の転校生。

夏休みで、寮に慣れるためにやってきたらしい。 

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