20話 食いしん坊

エピソード文字数 1,077文字

どうしよう?僕は必死に頭の中で考えを巡らす。せっかく説得してここまでやってきたのに。

盗難事件・・・ペンペンの死・・・1年の帰宅・・・重なる出産の時期・・・

なんて僕たちは運が悪いのだろうか。先生の言うとおり、これ以上悪いことが起きないうちに合宿は中止したほうがいいのだろうか? 僕は短い時間で、結論を出した。
なに言ってるんです! 僕たちだけでも練習頑張ります!
ここで引き下がったら、酒井先生の思うつぼだ。
しかしだな。1年生が帰ってしまった責任はキャプテンのお前にも責任があるだろう?
ん? この先生はなにを勘違いしているんだ?
先生、キャプテンは海老原なんですけど・・・
え? 小川…お前ががキャプテンじゃなかったのか?
信じられない。キャプテンが誰かも把握してない顧問に、あれこれ指図されてたと思うとバカバカしくなってきた。
とにかく、合宿は続けます。失礼します!
僕はムッとした表情で事務室を出た。靴を履いて、足早に体育館に向かう。
1年が帰った!?
バスケ部キャプテンの海老原が間の抜けた声を出した。
本当か、弘樹?
武藤が身を乗り出して聞いてくる。
本当だよ。午前中に帰っちゃったらしいよ
ちっくしょう!あの根性なしの1年め!
若宮が床をバンバン蹴る。
やっぱり僕たちも帰ったほうがいいんじゃ・・・
塩崎がまた弱気なことを言う。
バカヤロウ塩崎! 俺たちだけでも残って練習、続けるぞ!
若宮が鼻息を荒く、宣言する。
そうだな、若宮が言うように練習は俺たちだけでも続けよう。基礎練習を繰り返そう。試合だけが練習じゃないからな・・・
海老原がキャプテンらしいことを言った。

いや、半分は意地になってるのかもしれない。
それじゃあ、お弁当を食べてから練習開始ね
鈴原が弁当を配りながら言った。みんなは座り込んで、弁当のふたを開ける。
あれ、弘樹君のが1つ足りない。持ってくるときはちゃんとあったのに
鈴原が空っぽの袋をのぞき込んで言った。僕の弁当が足りない?

誰か取ったのだろうか? 

僕はみんなの顔を見回した。そして、プーやんをじっと見つめた。目が合うと、プーやんは慌てて視線をそらせた。やけに目が泳いでいる。プーやんが、非常にあやしい・・・
プーやん、俺の弁当取っただろ?
え、なに言ってるの
僕はプーやんの後ろに回り込んだ。背中に隠すように、手つかずの弁当があった。
あー!これ俺の弁当だろ!勝手に人の分まで取るなよ!
い、いや、そうじゃなくて。1つ余ってると思ってですね・・・
いい加減なことを言うな!
僕は弁当を奪い返した。まったく何を考えているんだ・・・僕は弁当のふたを開けると、ご飯を口にかき込んだ。
つづく
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登場人物紹介

「小川弘樹」

主人公。密かに鈴原あゆみに恋してる普通の高校生。でも鈴原が好きな事はみんなにバレバレ。鈴原が近いと少し声が大きくなるからだ。

最近、ワックスは髪型を自由に変えられる魔法の練り物だと思ってる。

「鈴原あゆみ」

バスケ部のマネージャー。とにかく明るくて、いつも笑顔を絶やさない。
明るすぎて悩み無用と思われてる。そんなわけないでしょ! と一応怒った事もある。
弘樹は怒った顔も可愛いと思った。

「海老原さとる」

バスケ部キャプテン。力強くみんなを引っ張っていく。多少強引なところもある。

あまり女の子の話とかしないので部員に疑われた事もあるが、普通に女の子が好き。らしい。

「武藤純一」

文武両道で、バスケもうまく、頭脳明晰。優しく、皆が熱くなった時も冷静に答えを導こうとする。殴られたら殴り返す男らしい一面も。

いつもメガネがキラリと光る。人の3倍くらい光る。風呂に入る時もメガネをつけるので、体の一部と言われている。横顔になるとメガネのフレームの一部が消えたりはしない。

メガネが外れると3みたいな目になる。

「若宮亮太」

ヤンチャな性格で、言いたい事はズバズバ言う。プーやんをいつもいじってる。背が少し低い。そこに触れると激怒するのでみんな黙っている。

「人をいじっていいのは、逆にいじられても怒らないこと、お笑いの信頼関係が構築されてることが条件だ」と武藤に冷静に指摘されたが、その時も怒った。

沸点が低い。というより液体そのものが揮発してる。

いつもプーヤンをいじってるが、格ゲーでボコられてる。すぐにコントローラーを投げるのでプーヤンにシリコンカバーを装着させられてる。

怖い話とか大好き。

「長野五郎」

略してプーやん。いや、略せてないけど、なぜかプーやんと呼ばれてる。いつも減らず口ばかり叩いてる。若宮にいじられながらも一緒にゲームしたりと仲が良いのか悪いのか謎。ゲームとアニメ大好き。犬好き。

将来の夢はゲームクリエイター。意外と才能あるのだが、恥ずかしいのか黙っている。

エクセルのマクロを少し扱えるので、自分はハッカーの素質があると言った時は武藤にエクセルを閉じられなくするマクロを組まれた。

「塩崎勇次」

おっとりした性格で、人からの頼みは断れない。心配性。
心配しすぎて胃が痛くなる事も多く、胃薬を持ち歩いている。

キャベツは胃に良い、だからキャベジンはキャベジンって言うんだよ、というエピソードを3回くらい部員にしてる。

黒いシルエット。それはが誰なのか、男なのか女なのか、しかし、人である事は確か、という表現ができる。少なくとも猫ではない。

だいたい影に隠れて主人公たちを見てニヤリと笑い、だいたい悪いことをする。
この作品では初っ端からアクティブに大暴れしてる。

酒井先生。バスケ部の顧問だが、スポーツに関する知識はない。

奥さんの出産が近いため、そわそわしている。

織田切努(おだぎり つとむ)。謎の転校生。

夏休みで、寮に慣れるためにやってきたらしい。 

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