31話 深夜の奇行

文字数 1,322文字

僕は殺気のようなものを感じて目を覚ました。何時だろう? 暗くて、なにも見えず、頭はぼんやりとしている。

耳には、ザーザーと本降りと化した雨の降る音が入ってくる。部屋には殺意に満ちた空気が充満していた。何だろう、この嫌な感じは。背中がじっとりと濡れているのがわかる。

何かがいつもと違う・・・

何だろう。 雷?いや、違う。そんな違和感じゃない。何かもっと、恐ろしい物だ。胸が苦しい。
と、突然ピカリと閃光が走り、ベッドの側に、1人のシルエットが浮かび上がった。
わっ!
僕は驚いて息を呑んだ。

ドクン・・・鼓動が高鳴る。

その黒い影は、ベッドの傍らに立ったままピクリとも動かず、こちらを見ている様だった。

・・・織田・・・切君?

僕は声を出そうとしたが、なぜか口が動かない。・・・金縛り? 僕は目だけをキョロキョロ動かし、今、何が起きようとしているのか確かめようとした。
・・・人形の・・・するぞ・・・からだ・・・
ふいに、黒い影がボソボソと声を発した。何を言っているのかは声が小さくて聞き取れない。
・・・逃げないと・・・いつも・・・される・・・フフフ
不気味に笑い出した。もう一度、雷が落ちた。

瞬間、黒い影の手に、何か光るものが見える。それは、サバイバルナイフだった。何を・・・するつもりなんだ!?

犯行声明文に書かれていた最後の言葉を思い出した。『・・・また殺そう』もしかして、僕のことをペンペンと同じ目に合わせる気なのだろうか・・・助けを呼ばなきゃ・・・
・・・けて・・・助け・・・
恐怖からか思うように口が動かない。黒い影はしばらく動かなかったが、深く息を吸い込むと、手を挙げて、ナイフを振りかざした。僕は気を失った。

気が付くと、僕はベッドから落ちて、床の上にうつぶせになっていた。
ぐ・・・
僕は頭を振りながらゆっくりと起きあがった。さっきのは夢だったのだろうか

・・・立ち上がった瞬間、お尻に何かが当たった。振り向くと、それは織田切君だった。
わっ!!
僕は驚いて、思わず声をあげた。
・・・ごめん・・・ごめんなさい
え?
何が何だかワケが分からない。
あんな事するつもりはなかったんだ。だけど、だけど・・・
織田切君は急に顔を手で覆った。
織田切君?
でも、人形が言ったんだ!だから、僕はそれに従うしかなかったんだ!僕は悪くない・・・僕はただ・・指示に従っただけなんだよ
織田切君は僕の肩をグッとつかんだ。
でも責めないでくれ!・・心のよりどころ・・僕のことを分かってくれる・・誰も悪くない
そう言い終わると、突然その場に崩れ、泣き出した。そして、頭をゴンゴンとベッドに打ち付けた。
誰がっ悪いんだ!チクショウ!みんな!バカにしやがって!復讐してやる!ざまあみろ! 悪いのはお前らだ!うううっ!チクショウ・・・チクショウ・・・!!
ベッドがぎしぎしと音を立てた。
やめろ、織田切君!やめろって!誰か・・・誰か来てくれぇ!!
僕は織田切君をベッドからひき離そうとしたが、すごい力でどうすることも出来ず、助けを求めた。織田切君は僕に抵抗して必死に頭を打ち付ける。
やめろ・・・やめろ・・・やめろって!
僕は織田切君を押さえ込もうとするが、信じられない力で抵抗してくる。ドアが開き、塩崎が部屋に駆けつけた。
つづく
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登場人物紹介

「小川弘樹」

主人公。密かに鈴原あゆみに恋してる普通の高校生。でも鈴原が好きな事はみんなにバレバレ。鈴原が近いと少し声が大きくなるからだ。

最近、ワックスは髪型を自由に変えられる魔法の練り物だと思ってる。

「鈴原あゆみ」

バスケ部のマネージャー。とにかく明るくて、いつも笑顔を絶やさない。
明るすぎて悩み無用と思われてる。そんなわけないでしょ! と一応怒った事もある。
弘樹は怒った顔も可愛いと思った。

「海老原さとる」

バスケ部キャプテン。力強くみんなを引っ張っていく。多少強引なところもある。

あまり女の子の話とかしないので部員に疑われた事もあるが、普通に女の子が好き。らしい。

「武藤純一」

文武両道で、バスケもうまく、頭脳明晰。優しく、皆が熱くなった時も冷静に答えを導こうとする。殴られたら殴り返す男らしい一面も。

いつもメガネがキラリと光る。人の3倍くらい光る。風呂に入る時もメガネをつけるので、体の一部と言われている。横顔になるとメガネのフレームの一部が消えたりはしない。

メガネが外れると3みたいな目になる。

「若宮亮太」

ヤンチャな性格で、言いたい事はズバズバ言う。プーやんをいつもいじってる。背が少し低い。そこに触れると激怒するのでみんな黙っている。

「人をいじっていいのは、逆にいじられても怒らないこと、お笑いの信頼関係が構築されてることが条件だ」と武藤に冷静に指摘されたが、その時も怒った。

沸点が低い。というより液体そのものが揮発してる。

いつもプーヤンをいじってるが、格ゲーでボコられてる。すぐにコントローラーを投げるのでプーヤンにシリコンカバーを装着させられてる。

怖い話とか大好き。

「長野五郎」

略してプーやん。いや、略せてないけど、なぜかプーやんと呼ばれてる。いつも減らず口ばかり叩いてる。若宮にいじられながらも一緒にゲームしたりと仲が良いのか悪いのか謎。ゲームとアニメ大好き。犬好き。

将来の夢はゲームクリエイター。意外と才能あるのだが、恥ずかしいのか黙っている。

エクセルのマクロを少し扱えるので、自分はハッカーの素質があると言った時は武藤にエクセルを閉じられなくするマクロを組まれた。

「塩崎勇次」

おっとりした性格で、人からの頼みは断れない。心配性。
心配しすぎて胃が痛くなる事も多く、胃薬を持ち歩いている。

キャベツは胃に良い、だからキャベジンはキャベジンって言うんだよ、というエピソードを3回くらい部員にしてる。

黒いシルエット。それはが誰なのか、男なのか女なのか、しかし、人である事は確か、という表現ができる。少なくとも猫ではない。

だいたい影に隠れて主人公たちを見てニヤリと笑い、だいたい悪いことをする。
この作品では初っ端からアクティブに大暴れしてる。

酒井先生。バスケ部の顧問だが、スポーツに関する知識はない。

奥さんの出産が近いため、そわそわしている。

織田切努(おだぎり つとむ)。謎の転校生。

夏休みで、寮に慣れるためにやってきたらしい。 

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