27話 鈴原と弘樹

文字数 1,306文字

僕は鈴原を追って部屋を出た。鈴原のいそうな場所ってどこだろう・・・

僕は、そっとA-3号室のドアを開けた。そこに鈴原はいた。ベッドに腰掛けてうつむいてべそをかいている。
鈴原
顔を上げた鈴原の目は、赤く充血していた。その瞬間、鼻水がたれた・・・僕は鈴原の横に腰掛けると、部屋にあったティッシュを差し出した。
ほら、涙ふけよ。鼻水も
鈴原は無理に笑って、ティッシュを受け取った。
だ、大丈夫か?
うん・・・
ごめん、ケンカなんかして。俺達も、不安でイライラしてたんだよ
うん、分かってる・・・
その後二人は押し黙ってしまった。
・・・・・・
・・・・・・
沈黙を破ったのは鈴原だった。
あのね、昨日の夜、私が落としたコンタクトをみんなが探してくれたでしょ
うん
すごく、嬉しかったんだ。私、あんなに優しくされたの、久しぶりだったから
大げさだなぁ
鈴原は首を振った。
ううん、ほんとに。中学のころなんて、優しい人なんていなかったから
どんな中学だよ
僕が突っ込むと、鈴原はそうだね、と笑った。
お、俺はいつだって、鈴原に優しく、するぜ
ありがとう
鈴原はクスクスと笑った。

しばらく話していると鈴原も元気を取り戻したようで、僕はホッとした。
じゃぁ、俺はそろそろ行くよ
僕は部屋を出た。僕は1人で考え事をしたくなり、学習室に向かった。
学習室に来ると、僕はパソコンのある机の椅子に座る。
ポケットから、先の犯行予告とも呼べる、紙を開いた。

この文章に何か犯人の手がかりがあるかもしれない。僕はゆっくりと、声に出して文を読み上げた。

『ペンペンの死体をみんなが見つけたペンペンは僕が殺したんだペンペンを縄で縛りつけてナイフで刺したときキャンキャンと泣き叫んでとても苦しそうだった大量の血が僕の服に着いたので、お風呂で服や体を洗ったら浴槽のお湯が少し赤くなったみんながそれを見て不思議がっていたがあれはペンペンの血なんだみんなそうとも知らず風呂に入っているのが無性に面白かったまた殺そう』

読む度に怒りがこみ上げてくる。僕は椅子の上であぐらをかき、腕を組んで、
うーん・・・
としきりに唸った。誰がこんな事を書いたのだろう?

背後から音声がするので、振り向くと、そこには鈴原が立っていた。
鈴原・・・大丈夫か?
僕か見る限りでは鈴原はだいぶ落ち着いている様子だった。
うん・・・さっきはありがとう。

それより、1人で何してるの?
鈴原が犯行声明文をのぞき込む。
いや、この文章を読んで、犯人を知る手がかりがないかなって思って
ふうん。まるで探偵だね。どれどれ、私にも見せて
鈴原はぐいっと犯行声明文に顔を近づけた。シャンプーのいい香りがした。
(女の子はなんでシャンプーだけでこんないい香りさせるんだ。俺が同じシャンプー使っても絶対こんな匂いは漂わせないぞ・・・)
ふむふむー・・・・
どう、鈴原?何か分かった?
これはどこにあったの?
日誌のファイルに綴じられていたんだよ。それを若宮が見つけた
僕は日誌を鈴原に渡した。
ふうん・・・
鈴原は日誌と犯行声明文を交互に見つめ始めた。何をしてるんだろう?
あれぇ・・・これ・・・
鈴原が変な声を出す。何か分かったのだろうか?
これ、見てよ。この日誌の文字と犯行声明文の文字
つづく
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登場人物紹介

「小川弘樹」

主人公。密かに鈴原あゆみに恋してる普通の高校生。でも鈴原が好きな事はみんなにバレバレ。鈴原が近いと少し声が大きくなるからだ。

最近、ワックスは髪型を自由に変えられる魔法の練り物だと思ってる。

「鈴原あゆみ」

バスケ部のマネージャー。とにかく明るくて、いつも笑顔を絶やさない。
明るすぎて悩み無用と思われてる。そんなわけないでしょ! と一応怒った事もある。
弘樹は怒った顔も可愛いと思った。

「海老原さとる」

バスケ部キャプテン。力強くみんなを引っ張っていく。多少強引なところもある。

あまり女の子の話とかしないので部員に疑われた事もあるが、普通に女の子が好き。らしい。

「武藤純一」

文武両道で、バスケもうまく、頭脳明晰。優しく、皆が熱くなった時も冷静に答えを導こうとする。殴られたら殴り返す男らしい一面も。

いつもメガネがキラリと光る。人の3倍くらい光る。風呂に入る時もメガネをつけるので、体の一部と言われている。横顔になるとメガネのフレームの一部が消えたりはしない。

メガネが外れると3みたいな目になる。

「若宮亮太」

ヤンチャな性格で、言いたい事はズバズバ言う。プーやんをいつもいじってる。背が少し低い。そこに触れると激怒するのでみんな黙っている。

「人をいじっていいのは、逆にいじられても怒らないこと、お笑いの信頼関係が構築されてることが条件だ」と武藤に冷静に指摘されたが、その時も怒った。

沸点が低い。というより液体そのものが揮発してる。

いつもプーヤンをいじってるが、格ゲーでボコられてる。すぐにコントローラーを投げるのでプーヤンにシリコンカバーを装着させられてる。

怖い話とか大好き。

「長野五郎」

略してプーやん。いや、略せてないけど、なぜかプーやんと呼ばれてる。いつも減らず口ばかり叩いてる。若宮にいじられながらも一緒にゲームしたりと仲が良いのか悪いのか謎。ゲームとアニメ大好き。犬好き。

将来の夢はゲームクリエイター。意外と才能あるのだが、恥ずかしいのか黙っている。

エクセルのマクロを少し扱えるので、自分はハッカーの素質があると言った時は武藤にエクセルを閉じられなくするマクロを組まれた。

「塩崎勇次」

おっとりした性格で、人からの頼みは断れない。心配性。
心配しすぎて胃が痛くなる事も多く、胃薬を持ち歩いている。

キャベツは胃に良い、だからキャベジンはキャベジンって言うんだよ、というエピソードを3回くらい部員にしてる。

黒いシルエット。それはが誰なのか、男なのか女なのか、しかし、人である事は確か、という表現ができる。少なくとも猫ではない。

だいたい影に隠れて主人公たちを見てニヤリと笑い、だいたい悪いことをする。
この作品では初っ端からアクティブに大暴れしてる。

酒井先生。バスケ部の顧問だが、スポーツに関する知識はない。

奥さんの出産が近いため、そわそわしている。

織田切努(おだぎり つとむ)。謎の転校生。

夏休みで、寮に慣れるためにやってきたらしい。 

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