32話 部屋の交換

文字数 932文字

ど、どうしたの弘樹!?
電気をつけ、パッと部屋が明るくなった。
あ・・・明かりをつけるな!!
織田切君はそう叫ぶと、弾かれるようにして自分のベッドに倒れ込み、気を失った。まるで、何かにとり憑かれたようだった。僕はハアハアと息を切らし、その場に座り込んだ。
大丈夫か、弘樹!?
ああ・・・
僕と塩崎は部屋を出て、給湯室に来ていた。塩崎は呑気にラーメンを作っている。僕は頭を抱え込んでいた。
大丈夫か、弘樹?
大丈夫じゃないよ。あいつ、変なんだよ。言動も、行動も何もかも全てが。こっちはおかしくなりそうだよ。昨日から、全然眠れやしない
塩崎は僕の横に座り、鍋から直接ラーメンを食べ始めた。
あ、弘樹も食べる?
いや、いい
辺りにはラーメンのいい匂いが漂っていたが、僕は食欲を失っていた。腕時計を見ると、夜中の2時だった。問題の織田切君は、さっきの出来事が嘘みたいに、いびきをかきながら寝ている。外はザアザアと雨が激しく降っており、時折、雷が遠くの方で落ちる。塩崎は、ラーメンを食べ終わり、鍋をテーブルに置くと、こう言った。
よし、今日は僕と弘樹の部屋、交代してやるよ。ゆっくり寝ろよ
え?
寝不足なんでしょ?僕は平気だよ。一度寝たらなかなか起きないたちだから
いいのか?
いいよ、遠慮するなって。僕のベッドはそのままだから、今から行って寝ろよ。僕は鍋を洗ってから弘樹の部屋で寝るから
そう・・・か
少し気が引けるが、寝不足なのは事実だ。塩崎の言葉に甘えるとするか。
すまないな。遠慮なくそうさせてもらうよ。また織田切君に何かあったら、すぐに行くから
うん。じゃあね、弘樹。おやすみ
おやすみ
僕は塩崎の部屋のB-6号室に向かった。
塩崎の部屋は、塩崎らしくきれいだった。よく片づけられており、ゴミひとつ落ちていない。ただ、僕の助けを聞きつけて飛び起きたのだろう。掛け布団はベッドからはみ出て乱れていた。これ以上、起きていてもろくな事が起きそうにないので、僕はそそくさとベッドに潜り込んだ。塩崎は僕の部屋で大丈夫だろうかと気にかかったが、そんなことを考えているうちに、僕はいつの間にか寝てしまっていた。
今回の合宿で、いろいろな事件が起きたが、この日、もっとも大きな事件が発生した。
突然、体がゆさゆさと揺らされた。
つづく
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登場人物紹介

「小川弘樹」

主人公。密かに鈴原あゆみに恋してる普通の高校生。でも鈴原が好きな事はみんなにバレバレ。鈴原が近いと少し声が大きくなるからだ。

最近、ワックスは髪型を自由に変えられる魔法の練り物だと思ってる。

「鈴原あゆみ」

バスケ部のマネージャー。とにかく明るくて、いつも笑顔を絶やさない。
明るすぎて悩み無用と思われてる。そんなわけないでしょ! と一応怒った事もある。
弘樹は怒った顔も可愛いと思った。

「海老原さとる」

バスケ部キャプテン。力強くみんなを引っ張っていく。多少強引なところもある。

あまり女の子の話とかしないので部員に疑われた事もあるが、普通に女の子が好き。らしい。

「武藤純一」

文武両道で、バスケもうまく、頭脳明晰。優しく、皆が熱くなった時も冷静に答えを導こうとする。殴られたら殴り返す男らしい一面も。

いつもメガネがキラリと光る。人の3倍くらい光る。風呂に入る時もメガネをつけるので、体の一部と言われている。横顔になるとメガネのフレームの一部が消えたりはしない。

メガネが外れると3みたいな目になる。

「若宮亮太」

ヤンチャな性格で、言いたい事はズバズバ言う。プーやんをいつもいじってる。背が少し低い。そこに触れると激怒するのでみんな黙っている。

「人をいじっていいのは、逆にいじられても怒らないこと、お笑いの信頼関係が構築されてることが条件だ」と武藤に冷静に指摘されたが、その時も怒った。

沸点が低い。というより液体そのものが揮発してる。

いつもプーヤンをいじってるが、格ゲーでボコられてる。すぐにコントローラーを投げるのでプーヤンにシリコンカバーを装着させられてる。

怖い話とか大好き。

「長野五郎」

略してプーやん。いや、略せてないけど、なぜかプーやんと呼ばれてる。いつも減らず口ばかり叩いてる。若宮にいじられながらも一緒にゲームしたりと仲が良いのか悪いのか謎。ゲームとアニメ大好き。犬好き。

将来の夢はゲームクリエイター。意外と才能あるのだが、恥ずかしいのか黙っている。

エクセルのマクロを少し扱えるので、自分はハッカーの素質があると言った時は武藤にエクセルを閉じられなくするマクロを組まれた。

「塩崎勇次」

おっとりした性格で、人からの頼みは断れない。心配性。
心配しすぎて胃が痛くなる事も多く、胃薬を持ち歩いている。

キャベツは胃に良い、だからキャベジンはキャベジンって言うんだよ、というエピソードを3回くらい部員にしてる。

黒いシルエット。それはが誰なのか、男なのか女なのか、しかし、人である事は確か、という表現ができる。少なくとも猫ではない。

だいたい影に隠れて主人公たちを見てニヤリと笑い、だいたい悪いことをする。
この作品では初っ端からアクティブに大暴れしてる。

酒井先生。バスケ部の顧問だが、スポーツに関する知識はない。

奥さんの出産が近いため、そわそわしている。

織田切努(おだぎり つとむ)。謎の転校生。

夏休みで、寮に慣れるためにやってきたらしい。 

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