28話 探偵ごっこ

文字数 1,528文字

文字?
文字の形が違うんじゃない?大きさや印刷された濃さも
・・・フォントが違うって事?
フォントにはゴシック体や明朝体などがあるが、僕も詳しいことはよく分からない。
本当だ。確かに違う・・・
ということは!?僕はハッとした。
この犯行声明文は、このパソコンのプリンタで出力されていないって事?
鈴原もうなずいた。日誌のファイルに挟まれてあったので、てっきり、目の前にあるパソコンで書かれて、ここのプリンタを使って出力されたんだと思いこんでいた。
ということは、他のパソコンか、ワープロで書かれたって事になるけど?
誰か、個人のワープロって、持ってたっけ?
ワープロ・・・
僕は頭の中で、あることを思い出した。
そうだ、確か、海老原と武藤が持ってたよ
2人とも、ベッドの下の引き出しに置いていたはずだ。
今からこっそり調べに行こうよ、弘樹君
え、今から?
何か手がかりがつかめるかもしれないよ
そうだな・・・
僕と鈴原はとりあえず、学習室を出た。
僕と鈴原は、海老原の部屋に入った。部員は解散したのだろう。都合の良いことに海老原もいない。
調べるなら今のうちだね
鈴原がはしゃいで言う。
確か、ベッドの下の引き出しにあったような
僕は床にかがみ込んで、引き出しを引いた。雑誌に紛れて、ワープロが顔を見せている。
あった!
僕はワープロの本体を引っぱり出した。
電源つけてみようよ
鈴原がコンセントをプラグに差し込んだ。僕はスイッチをONにする。

ウィーンとインクリボンのモーターが回転する音がする。ピピッと電子音が鳴ると、回転音はピタリと止まった。

ディスプレイ画面がパッと明るくなり、僕と鈴原は画面をのぞき込んだ。
ディスプレイには、こう表示された。

※パスワードを入力して下さいユーザー名:エビハラサトル パスワード:
パスワードがいるのか・・・
僕は適当にキーボードをたたいた。僕は適当に数字を入力した。

『****』米粒のようなマークが表示される。

『パスワードが違います』
そりゃパスワード知らないからね
僕はため息をついた。
これじゃあ、調べようがないよね
ああ。海老原本人以外はまったく使えないわけだな。

まぁ、俺らみたいに盗み見ようとするやつがいるから…
どうする?
仕方がない。海老原が戻ってきてもいけないから、今のうちに退散するか
僕と鈴原は海老原の部屋を後にした。
つづいて武藤の部屋に入る。

これまた都合の良いことに武藤は部屋にはいなかった。

こっそりと調べるにはもってこいの状況だ。僕は、何となくベッドの下の引き出しを引いた。中には医学の専門書が敷き詰められてある。その横に、ワープロが置かれてあった。
あった!
なんだか、ちょっと楽しくなってきた。

僕はワープロをベッドの上に置く。
電源、入れてみようよ
人の物を勝手に調べるなんて、良くないことなのに、鈴原もノリノリである。

鈴原がコンセントをプラグにさした。
ワープロって確か、電源を切る前の文書が、そのまま本体に保存される機能があるんだよな。だから、何か手がかりがあるかも
僕は期待を込めて電源をONにした。ウィーンとインクリボンのモーターがうなる。

ディスプレイがパッと明るくなり、僕たちは画面をのぞき込んだ。

そこに、見覚えのある文書が表示され、僕と鈴原はハッと息を呑んだ。

『ペンペンの死体をみんなが見つけた。ペンペンは僕が殺したんだ。ペンペンを縄で縛りつけて、ナイフで刺したとき、キャンキャンと泣き叫んでとても苦しそうだった。大量の血が僕の服に着いたので、お風呂で服や体を洗ったら、浴槽のお湯が少し赤くなった。みんながそれを見て不思議がっていたが、あれはペンペンの血なんだ。みんなそうとも知らず、風呂に入っているのが無性に面白かった。また殺そう』

僕と鈴原は顔を見合わせた。
つづく
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登場人物紹介

「小川弘樹」

主人公。密かに鈴原あゆみに恋してる普通の高校生。でも鈴原が好きな事はみんなにバレバレ。鈴原が近いと少し声が大きくなるからだ。

最近、ワックスは髪型を自由に変えられる魔法の練り物だと思ってる。

「鈴原あゆみ」

バスケ部のマネージャー。とにかく明るくて、いつも笑顔を絶やさない。
明るすぎて悩み無用と思われてる。そんなわけないでしょ! と一応怒った事もある。
弘樹は怒った顔も可愛いと思った。

「海老原さとる」

バスケ部キャプテン。力強くみんなを引っ張っていく。多少強引なところもある。

あまり女の子の話とかしないので部員に疑われた事もあるが、普通に女の子が好き。らしい。

「武藤純一」

文武両道で、バスケもうまく、頭脳明晰。優しく、皆が熱くなった時も冷静に答えを導こうとする。殴られたら殴り返す男らしい一面も。

いつもメガネがキラリと光る。人の3倍くらい光る。風呂に入る時もメガネをつけるので、体の一部と言われている。横顔になるとメガネのフレームの一部が消えたりはしない。

メガネが外れると3みたいな目になる。

「若宮亮太」

ヤンチャな性格で、言いたい事はズバズバ言う。プーやんをいつもいじってる。背が少し低い。そこに触れると激怒するのでみんな黙っている。

「人をいじっていいのは、逆にいじられても怒らないこと、お笑いの信頼関係が構築されてることが条件だ」と武藤に冷静に指摘されたが、その時も怒った。

沸点が低い。というより液体そのものが揮発してる。

いつもプーヤンをいじってるが、格ゲーでボコられてる。すぐにコントローラーを投げるのでプーヤンにシリコンカバーを装着させられてる。

怖い話とか大好き。

「長野五郎」

略してプーやん。いや、略せてないけど、なぜかプーやんと呼ばれてる。いつも減らず口ばかり叩いてる。若宮にいじられながらも一緒にゲームしたりと仲が良いのか悪いのか謎。ゲームとアニメ大好き。犬好き。

将来の夢はゲームクリエイター。意外と才能あるのだが、恥ずかしいのか黙っている。

エクセルのマクロを少し扱えるので、自分はハッカーの素質があると言った時は武藤にエクセルを閉じられなくするマクロを組まれた。

「塩崎勇次」

おっとりした性格で、人からの頼みは断れない。心配性。
心配しすぎて胃が痛くなる事も多く、胃薬を持ち歩いている。

キャベツは胃に良い、だからキャベジンはキャベジンって言うんだよ、というエピソードを3回くらい部員にしてる。

黒いシルエット。それはが誰なのか、男なのか女なのか、しかし、人である事は確か、という表現ができる。少なくとも猫ではない。

だいたい影に隠れて主人公たちを見てニヤリと笑い、だいたい悪いことをする。
この作品では初っ端からアクティブに大暴れしてる。

酒井先生。バスケ部の顧問だが、スポーツに関する知識はない。

奥さんの出産が近いため、そわそわしている。

織田切努(おだぎり つとむ)。謎の転校生。

夏休みで、寮に慣れるためにやってきたらしい。 

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