46話 深い眠りへ

文字数 625文字

僕は小さな声でつぶやくように言った。背後から返事はない。武藤だろうか?僕はおそるおそる窓に反射するものを見た。

パンツいっちょの裸同然の僕が映っていて、ひどく情けない。僕の後ろには、何か白っぽいものが映っているが、それが何だか分からない。

ふと、脳裏に塩崎の顔が思い浮かんだ。
塩崎?
ベランダの排水溝は、雨水がまるで濁流のように流れ落ちているのが見える。その時、これまでにない大きな雷が近くに落ち、僕はその光に弾かれるように後ろを振り返った。
・・・・
誰もいない。確かに何かの気配を感じていた。

いや、今でもこの部屋に何かがいる。いつもと、何かが違うのだ。

僕はTシャツを着ると、ベッドに入り、布団にくるまった。寒さなのか、恐怖から来るものなのか、体がブルブルと震えて止まらなかった。

なかなか寝付けず、腕時計を見ると7時10分になっていた。

塩崎・・・どこへ行ってしまったんだ。なぜだか分からないが、さっきから塩崎の顔が頭から離れなかった。

何か妙な胸騒ぎがする。倉庫から見えたあの人影は、本当に武藤だったのだろうか?雷は何度も落ち、そのたびにビリビリとベッドが振動した。

雨は窓に叩きつけるように降りしきり、ガラスが割れないかと心配になった。しだいに体も温まってくると、麻酔を打たれたように意識が遠のいていく。

鈴原は今、どうしてるかな・・・?僕は最後に鈴原の笑顔を思い出すと、深い眠りへと落ちていった。
合宿4日目へつづく
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登場人物紹介

「小川弘樹」

主人公。密かに鈴原あゆみに恋してる普通の高校生。でも鈴原が好きな事はみんなにバレバレ。鈴原が近いと少し声が大きくなるからだ。

最近、ワックスは髪型を自由に変えられる魔法の練り物だと思ってる。

「鈴原あゆみ」

バスケ部のマネージャー。とにかく明るくて、いつも笑顔を絶やさない。
明るすぎて悩み無用と思われてる。そんなわけないでしょ! と一応怒った事もある。
弘樹は怒った顔も可愛いと思った。

「海老原さとる」

バスケ部キャプテン。力強くみんなを引っ張っていく。多少強引なところもある。

あまり女の子の話とかしないので部員に疑われた事もあるが、普通に女の子が好き。らしい。

「武藤純一」

文武両道で、バスケもうまく、頭脳明晰。優しく、皆が熱くなった時も冷静に答えを導こうとする。殴られたら殴り返す男らしい一面も。

いつもメガネがキラリと光る。人の3倍くらい光る。風呂に入る時もメガネをつけるので、体の一部と言われている。横顔になるとメガネのフレームの一部が消えたりはしない。

メガネが外れると3みたいな目になる。

「若宮亮太」

ヤンチャな性格で、言いたい事はズバズバ言う。プーやんをいつもいじってる。背が少し低い。そこに触れると激怒するのでみんな黙っている。

「人をいじっていいのは、逆にいじられても怒らないこと、お笑いの信頼関係が構築されてることが条件だ」と武藤に冷静に指摘されたが、その時も怒った。

沸点が低い。というより液体そのものが揮発してる。

いつもプーヤンをいじってるが、格ゲーでボコられてる。すぐにコントローラーを投げるのでプーヤンにシリコンカバーを装着させられてる。

怖い話とか大好き。

「長野五郎」

略してプーやん。いや、略せてないけど、なぜかプーやんと呼ばれてる。いつも減らず口ばかり叩いてる。若宮にいじられながらも一緒にゲームしたりと仲が良いのか悪いのか謎。ゲームとアニメ大好き。犬好き。

将来の夢はゲームクリエイター。意外と才能あるのだが、恥ずかしいのか黙っている。

エクセルのマクロを少し扱えるので、自分はハッカーの素質があると言った時は武藤にエクセルを閉じられなくするマクロを組まれた。

「塩崎勇次」

おっとりした性格で、人からの頼みは断れない。心配性。
心配しすぎて胃が痛くなる事も多く、胃薬を持ち歩いている。

キャベツは胃に良い、だからキャベジンはキャベジンって言うんだよ、というエピソードを3回くらい部員にしてる。

黒いシルエット。それはが誰なのか、男なのか女なのか、しかし、人である事は確か、という表現ができる。少なくとも猫ではない。

だいたい影に隠れて主人公たちを見てニヤリと笑い、だいたい悪いことをする。
この作品では初っ端からアクティブに大暴れしてる。

酒井先生。バスケ部の顧問だが、スポーツに関する知識はない。

奥さんの出産が近いため、そわそわしている。

織田切努(おだぎり つとむ)。謎の転校生。

夏休みで、寮に慣れるためにやってきたらしい。 

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