◆ 忘備録(六十三) 八月十七日(日) 5 

文字数 436文字


 中島くんが出迎えてくれた。
 驚いたけど、疲れていることもあって「どうして?」と訊く気持ちにならなかった。

 ぼくがリヤカーを曳いている後ろで、中西くんがユーコに説明している。
  
 松本のビジネスホテルに泊まって観光をしていたそうだ。
『イオ』にも通っていたと聞いて、マニちゃんに気があるのだろうと思った。

 来月から東京の音楽事務所で働くのだから、中島くんにとっては付き合うチャンスだ。

「頑張れよ」と応援してくれているマニちゃんに、何かを言われて来たに違いない。
 青春だな。

 手伝いにきたのなら、ぼくの代わりにリヤカーを曳けばいいのにと思う。
 ユーコの声が明るい。
 それだけでも、大いに役に立っている。
 
 マニちゃんの電話番号を知っていることに優越感を持つ。
 ちっちゃな男だな。

 スナック『仏陀』のママさんは、50歳ぐらい。
 昼も店を開けて軽食を出している。

 とにかく、今夜の告知をするために町へ出ることにする。
 悪いパターンだ。
 パターン通りだとすると、客も少ない。




  
 
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